■プロフィール

ぷろどおむ

Author:ぷろどおむ
元サッカー少年。今はしがない化学屋です。

■最近の記事
■最近のコメント
■最近のトラックバック
■月別アーカイブ
■カテゴリー
■FC2カウンター

■ブロとも申請フォーム
■ブログ内検索

■RSSフィード
■リンク
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


スポンサー広告 | --:--:--
ふたたびコメントへのお返事(遺伝子組換え作物について)
というわけで,後半戦です。

また、全然関係ない疑問ですいません。遺伝子組み換えとは、と検索を続けていたところ、
「遺伝子組み換え食品を食べると死ぬ。」という大変怖いサイト
http://alternativereport1.seesaa.net/article/56417926.html
がかなり上位にあったんですが、これって科学的根拠があるんですか?


拝見しましたが,全く根拠のある話ではありませんのでご安心下さい。どちらかというと,誰かのジョークを真に受けてしまった,あるいはこのページそのものがジョークというレベルです。

遺伝子組換え作物を食べると,その遺伝子が人体に悪影響を与えるなどという主張は,このページに限らず様々なところに散見していますが,それは遺伝子というものを何か別のもの,たとえば非常に堅い金属の固まりとかそういうものと誤解しているのではないか,としか思えない発想です。正直言って,その様な主張を本気でされている方は,遺伝子と遺伝子が働く機構について全く理解してないと言わざるを得ません。

ご存じかもしれませんが,念のため。遺伝子というものはわずか4種類の核酸が様々な順序で非常に数多く繋がってできているDNAの中のほんの一部分,全体の配列の中にある特別な順番を持って特別な意味を持ったその一部分のことです。この特別な部分が,それぞれ特定の蛋白質を創り出すことで,生命活動をコントロールします。ですから,その特別な配列の一部分が変わっただけで,精確な蛋白質を創り出すことができなくなる=その遺伝子が持つ機能を働かせることができなくなってしまうという非常に精巧な仕組みを持ったものです。

つまり,たとえ何か特別な配列を持った遺伝子を食べたとしても,胃酸による酸加水分解反応でその配列が切られてしまった瞬間にその遺伝子は何の意味も持たなくなり,もっと数多く存在している他の遺伝子たちと何の区別もできないものに変わってしまうのです。

同様に蛋白質もある一定の配列を持つことにより,酵素として働くなどの意味を持つことができる化合物です。そのため,胃酸によりアミノ酸やペプチドと呼ばれる小さなものに分解されてしまうことで,元々その蛋白質が持っていた意味(=機能)はなくなってしまいます。これが,コラーゲンなどをいくら大量に食べても,プラセボ効果以上の結果を期待することができない理由です。

もし,遺伝子や蛋白質を食べることで,その遺伝子や蛋白質の機能を獲得することができるのであれば,世界中に光合成を獲得した草食動物が満ちあふれていてもおかしくないはずですよね?でも,実際にはそんなことはないわけです。つまりはそういうことです。

遺伝子組み換えは出来るだけ避けていますが、お菓子の糖分の原料のでんぷんとなると、表示義務はないだけでほとんどが遺伝子組み換え由来のでんぷんだと思います。
みんな遺伝子組み換えでない、と書いてあったら大丈夫だと思っているみたいですが、使っている油は大手メーカーが遺伝子組み換え不分別ですので、世の中の食べ物はほとんど全てが遺伝子組み換えが入っています。
そのサイトが本当なら、人間に転移するとなると、ちょっと食べてもアウトになり、食べたら最後(かなり怖い)、死ぬまで体内で毒性が継続すると、大変驚く事が書いてあります。
精製後であっても遺伝子は残る事もあるため、でんぷんだったら大丈夫、というわけではありませんので、不安ですね。これも勉強不足が原因ですかね。その怖いサイトが科学から見てまったくのデマで嘘なら、良いんですけど。


大変失礼とは思いますが,間違いなく遺伝子組換えや様々な物質に対するご理解が不足していることが原因だと思います。また,精製されたデンプンや油には機能するような遺伝子は入っていません。なぜなら精製過程で熱や化学処理などを行っていますので,まず確実に壊れているからです。

ついでですが,旧来の交配による品種改良では,たとえばより病気に強い品種を作り出そうとしたら,デンプンをあまり作らないような品種になってしまった。等と言うことがよく起こります。遺伝子組換え作物を心配する必要がないと言うことをより深く理解するために,この辺から少し細かく説明してみましょう。

そもそも従来の交配による育種ではどのようなことが起きているのでしょうか。異品種交配により産まれた子供の遺伝子は,親とは違う形に組み換えられて,新しい表現型(見た目,性質,味など)になります。これが「遺伝子」という観点から見た「品種改良の姿」です。人間で言えば,有色人種と白色人種が結婚した場合,その子供は基本的に有色人種よりの肌や髪の毛の色を持ちますが,元々の有色人種よりは薄い色になります。これが表現型の変化であり,白色人種どうし,(同一の)有色人種同士などの夫婦からは産まれてこない表現型です。また,親が違う人種であった場合,同じ親から産まれた兄弟姉妹同士でも肌や髪の色が微妙に異なっていることが良くあります。植物や家畜における異品種同士の交配でも,これと同様のことが起こります。そして「品種改良」では,このようにして得られた様々な表現型から,目的の表現型を「選別」するのが主な作業です。様々な品種を掛け合わせ,通常は出てこないような劣性遺伝を引き起こしたり,あるいは突然変異を起こした品種の系統(=突然変異を起こした遺伝子)を維持し,目的の品種を創り出そうと努力しています。人間で言えば,たとえば亜麻色の髪をもつ目の大きな女の子が産まれてくるまでパートナーやカップルの組み合わせを換え続けるようなものでしょうか(^^;

しかし,実際子供のいらっしゃる方ならおわかりになるでしょうが,自分の思い通りに夫婦の良いところだけを遺伝してくれたような子供が生まれてくることなんてあり得ませんよね?たいていは,良いところもあれば悪いところも遺伝してしまう(たとえば妻の美しい髪の毛が遺伝しくれたのはうれしいが,口うるさいところまで遺伝してしまったとか(^^;)ことが普通です。ですから,従来の育種でも形は大きいが味が悪いとか,味はよいけど形が小さいとか,そういう様々な失敗が繰り返されてきたわけです。そして,そんな失敗を繰り返しながら,偶然思い通りになった品種(=思い通りの遺伝子組換えができたもの)を見つけ出し,精魂込めて(表現型を維持しながら)増やすことで,新しい品種としてきたわけです。

ただ,その時に注目しているのが,味や見た目だけだったりすると,実際畑で大量に育ててみたら非常に病気に弱くて育てにくい品種だった,なんて言うこともざらにあります。また確率的に言えば,未知の毒を生成している可能性だって,もちろんゼロではありません。

これに対し,遺伝子組換え作物の場合では,狙った機能(たとえば病気)に関わる遺伝子だけを操作しますので,他の部分に影響を与える可能性は,非常に低くなります。ですから,最初の例で行きますとデンプンをたくさん作る遺伝子は残しつつ,病気に強い遺伝子を組み込むなんて言う離れ業が簡単にできてしまうわけです。この部分についてよく考えていくと,「未知の毒を作り出す遺伝子ができてくる可能性」と言うものに関して言えば,実際には遺伝子組換え作物の方が低い事が期待される,ということがわかります。なぜなら,遺伝子組換えでは特定の機能を持つ遺伝子だけが変化しているからです。交配による育種の場合は,一度に多数の遺伝子が変化してしまうため,予期せぬところでそれまで発現していなかった(=機能していなかった)遺伝子が突然働き出す可能性(いわゆる劣性遺伝の発現)はそれほど低くないのです。さらに言えば,耐病性を強化した遺伝子組換え作物は,非遺伝子組換え作物よりも農薬使用量を大幅に抑えることが可能となりますので,より安全性の高い作物を得ることすら可能なのです。

というわけで,遺伝子組換え作物由来の加工品(デンプンや植物油など)はもちろんのこと,遺伝子組換え作物そのものについても敬遠する理由はありません。すでに世界では遺伝子組換え作物の持つ低農薬性や耕作の簡便性が高く評価され,非組換え作物は日本向けに特別に育てられているような状態にあります。お金が潤沢にある方々が,高いお金を払って非遺伝子組換え作物のみをご購入されるのを止める理由はありませんが,個人的にはもっと安く買えるはずの遺伝子組換え作物を使った製品がもっと流通してくれればよいと願っております。
スポンサーサイト


テーマ:環境・資源・エネルギー - ジャンル:政治・経済

気になる化学リスク | 15:35:36 | Trackback(0) | Comments(0)
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。