■プロフィール

ぷろどおむ

Author:ぷろどおむ
元サッカー少年。今はしがない化学屋です。

■最近の記事
■最近のコメント
■最近のトラックバック
■月別アーカイブ
■カテゴリー
■FC2カウンター

■ブロとも申請フォーム
■ブログ内検索

■RSSフィード
■リンク
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


スポンサー広告 | --:--:--
私たちの周りの放射能

解説を始める前に,まず知っておいていただかなくてはならない一番大切なことを説明するのを忘れていました。それは,


私たちは,常に一定レベル以上の放射線にさらされ続けている


ということです。


よく「どんなに微量の放射線でもさらされたくない」と訴える人たちがいますが,我々自身がすでに放射能を持っている(40カリウム由来などにより,約7,000Bqと言われています)という現実の前には,(気持ちはわかりますが)どう考えても無理な話です。


また,我々は太陽というこのあたり(一番近い恒星でも4.4光年離れている)では最大級の放射線発生源のごく近傍に居住せざるを得ませんので,太陽由来の放射線を大量に浴び続けています。その他にも,地殻内部に存在する放射性物質由来のものや,日常的に周りに存在するもの,あるいは食品などに含まれる放射性物質由来の放射線などを含めると,日本では年間で平均2.4mSvの放射線を浴びざるを得ません。世界では平均して年間2.4mSv,日本の場合平均0.99mSvの放射線を浴びざるを得ません(参考:全国の自然放射線量)。


もちろん太陽や地中に含まれるラドンなどの放射性物質から発生している放射線を浴びても,遺伝子が破壊されたり,突然変異といった形で子孫に変化が現れる可能性があります。これは,原発やその関連施設で発生する放射線と何の違いもありません。  


ただし,我々の体の中では放射線以外の影響でも日々遺伝子は破壊されていますので,ちょっとやそっとの細胞の遺伝子が破壊されたからと言って,そう簡単に影響が出ないような修復システムがあります。それに太陽によるエネルギー供給がなければ地球に生命は誕生しませんでしたし,突然変異がなければ進化もどのような形になっていたかわかりません。ですので,太陽からの自然放射線は,我々が地球上で生きていくために甘んじて受けざるを得ないリスクなのです。


また,この自然放射線は常に変化し続けています。


たとえば,日本の各県それぞれの自然放射線の平均値についてその最大値と最低値の差を見ると,その変動量は六カ所にある再処理施設から排出されるとされている放射線量0.022mSvより高い年間0.4mSvという値になっています(参考:全国の自然放射線量)。ですから,岐阜県の人は神奈川県の人よりも,六ヶ所村で再処理施設が稼働した場合の増分0.022mSvより20倍以上も強い放射線を浴びていることになりますが,神奈川県の人に比べ岐阜県の人たちに癌や白血病が発生する割合が極めて高い,などという話を聞いたことがありますでしょうか?つまり,このくらいの増減はその程度の影響しか与えないと言うことになのです。


次に年間の変動幅についても考えてみます。調べてみたのですが,ダイレクトに値を出しているようなところが見つけられませんでしたので,今回は静岡県浜岡原発の近くにある静岡県環境放射線監視センターのデータを元に計算してみました。


こちらでは過去十年間の実測値を元に,自然放射線の変動幅を表示しています。原発の近くではあることに難色を示される方もいるとは思いますが,いくら探してもこういう場所以外でまじめに環境放射線を測定している場所を見つけられませんでした。原発を運用している国や電力会社が放射線データを隠蔽している,という意見を仰る方が多いわりに,このような基礎データ集種活動を怠っている状況であると言うことは,大いなる反省点として今後検討すべき課題だと思います。


今求めたいのは年間の変動幅ですが,念のため浜岡原発からもっとも離れている大東支所の値を参考にします。こちらによると,だいたい80nGy/h(ナノグレイ毎時)という変動幅が観測されていることがわかります。 ですので,年間値に直してみると,80nGy/h x 24h x 365d = 0.70mGy/year ということになります。


グレイ(Gy)をシーベルト(Sv)に換算するには,放射線荷重係数と呼ばれる値をかけます。この値は放射線の種類により異なり,γ線やβ線は1,α線は20です。先ほどの場所での年間変動幅はγ線換算で0.7mSv,α線換算で14mSvとなりますので,±にするとそれぞれ±0.35mSvと±7mSvということになります。α線は空気中ではほとんど前に進めない貫通力の弱い放射線ですので,自然放射線の年間変動量を考える場合にはγ線由来の±0.35mSvとなります。これは先ほど示した日本全国の平均値の差(最大値 岐阜県と最低値 神奈川県の差 0.4mSv)とほぼ同じ値です。このことから,年間の通常変動幅だけでも,再処理工場から排出される予定の放射線量に対して15倍以上の値ですので,今年に比べて来年は再処理工場や原発の有無にかかわらずそのくらい余計に放射線を浴びなければいけない可能性があると言うことです。


このように我々は好むと好まざるとに関わらず,ある一定レベル以上の放射線にさらされ続けています。そして,地球上で普通に生活する以上これを避けることは事実上不可能です。


放射線と私たちの生活をきちんと考えるためには,この部分は確実に理解しなければいけません。


というわけで,次回こそ例の主張がデマだという理由について解説したいと思います。


*コメント欄にてご指摘を受けましたので,一部の値や表現について訂正・追記を行いました。(07/07/18 16:35)

スポンサーサイト


テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

気になる化学リスク | 15:47:58 | Trackback(0) | Comments(3)
コメント
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2007-07-18 水 16:26:56 | | [編集]
恐縮ですがしつもんにこたえていただけたらさいわいです。
当方茨城にすんでいましていま茨城が1038nGy/h
なのですが、これはミリシーヴェルトに直すといくつになるのでしょうか?
また、その値は危険値ですか?

おねがいします
2011-03-16 水 02:39:03 | URL | 科学くん [編集]
Re: タイトルなし
この記事でも換算方法について説明してありますが,今回関係すると思われるγ線で換算すると1.038μSv/h=0.001038 mSV/hとなり,全く問題のない値です。

確かに,昨日報道された400 mSv/hという観測値は非常に大きなものではありましたので心配される方が多いのはわかりますが,これはあくまでも原発近傍での値です。それに,ごく短時間だけの値で今はそのような値にはなっていないようですので(まだ続いているようであれば,原子炉近傍で作業が続けられているわけがありません)全く心配していません。個人的には20km圏外で常時数十mGy/h(=10,000,000 nGy/h=10 mSv/h)レベルの放射線量が観測されるようになってから対策を考え初める位で大丈夫だろうと考えています。

さらに言えば,今新聞やテレビなどで報道されている値のほとんどは一時間当たりの値ですので,報道されている値が観測された場所にいたときに受けた放射線の影響は(そこにいた秒数)×(報道された値)÷3,600となりますので,実はもう少し小さくなります。ですから,たとえ400 mSv/hが観測された地点だとしても,30秒しかそこにいなければ受ける線量当量は

30 × 400 mSv/h ÷ 3,600 = 3.33 mSv 

と確かに高い値ではありますが,急激に健康被害が与えられるような値ではなくなるわけです。

テレビの方はだいぶ落ち着いた論調を示すところも出てきたようですが,新聞によってはまだまだ不必要な不安感を煽るような見出しを大きく載せているところもあるようです。被災地はまだまだ大変な状況です。茨城県も県北部は大変だったようですし,首都圏の方々も停電などで大変なようですが,そういう状況であるからこそ,ぜひ冷静な判断と対応をこころがけ,今一番大変な人たちへの負荷を減らせるようにご協力を御願いいたします。
2011-03-16 水 10:34:52 | URL | ぷろどおむ [編集]
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。