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ぷろどおむ

Author:ぷろどおむ
元サッカー少年。今はしがない化学屋です。

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放射線に関する数字を読む~その強さをどう表すか

ちょうど今現在mixiの某コミュでも意見を書き込んでいる最中だったりする訳なんですが,様々な測定データをどう判断するかという点について,放射線がらみの話は非常に興味深い事例だったりします。


放射線がらみの数字は,どうしてこう意味を誤解されやすいのか。そして,間違った解釈ので得られた結論が一人歩きしやすいのか。問題点は様々ある訳なんですが,ざっと考えてみると以下のようなことが原因じゃないかと思います。



  1. 社会的に関心が高い割に,放射線に関する正確な知識が広がっていない

  2. 出てくるデータが,単位の種類がやたらに多くてわかりにくい

  3. 政治的・思想的な意図でデータの持つ意図をゆがめようとする勢力が多い


今ちょうど書き込んでいるトピックでも出てきた話題ですが,「青森県産(厳密には六ヶ所村近辺)の米は,再処理工場稼働の影響により,最大通常の2倍の値となる1kg辺り90ベクレル(Bq)の放射能を持つ可能性がある。」ということを青森県側が公式に公表しており,これを根拠に「青森県産の農作物は非常に危険だ」と叫んでいる人たちがたくさんいます。


しかし,実際この90 Bqと言う値は非常に小さいもので,たとえば国内で普通に栽培されているほうれん草1kgは,天然の40カリウム由来の放射能を200 Bq持ちます。また,干し昆布に至ってはやはり40カリウム由来の放射能を2000 Bqも持っています。 (参考:http://atomica.nucpal.gr.jp/atomica/pict/09/09010405/02.gif


しかし,実はそもそも汚染核種がなんなのかと言う議論なしにこんなことを言ってもなんの意味もありません。1 Bqのトリチウムと,1 Bqのプルトニウムの出す放射線が人体に与える影響は大きく違います。


ということで,とりあえず今回はこのベクレルをはじめとする放射線関係の単位の意味や,用語についてごくごく基本的な部分について解説をしようと思います。


まず,先ほどから何度か出てきたベクレル(Bq)という単位は,放射性元素が一秒間に何回放射壊変を起こすかを表す時に使う単位です。「放射能が強い」とか「弱い」というのは,その放射性物質が放射線を単位時間あたりにどのくらい放出するかということを表しますので,そのような議論をするときにのみBqは意味を持ちます。

しかし,放射壊変と呼ばれる物理現象によって発生する放射線は放射性元素の種類によって持っているエネルギーが違います。放射改変によって発生する放射線にはα線とβ線,γ線などがありますが,実は同じγ線やβ線でも発生源となる放射性元素の種類によって持っているエネルギーが違います。当然,そのエネルギーの量によって人体などに与える影響は大きく異なってきます。

もちろんこのような放射線の持つエネルギーの量を表す単位も当然あります。


放射線が物質に当たったとき,どのくらいのエネルギー(線量)がその物質に与えられたかを表す単位がグレイ(Gy)と呼ばれる単位です。これは1kgの物質にどのくらいのエネルギーを与えたかということを示す単位です。なので,たとえばトリチウムの場合,半減期が短く短時間に激しく放射壊変を行うのでBqとしては大きい値を持ちますが,出てくるγ線は皮膚すら通過できないような極めて微弱なものなので,Gyとして評価すると非常に小さいものになります。

これとは逆に,半減期が長く放射壞変がそれほど頻繁に行われなくてもエネルギーの高い放射線を放出するような放射性元素の場合には,Bqの値が小さくてもGyとして大きな値を持つ場合があります。なので,本来人体への影響を考える場合に気にしなければいけないのは,このようなタイプの放射性元素の方です。

もちろん一般的にエネルギーが強い方が人体に対するダメージが強くなります。また,人体の内部に取り込まれた放射性元素による内部被曝の影響などを考えると,貫通力は弱いがエネルギーの強いα線と貫通力は強いがエネルギーはそれほど強くないγ線では人体に与える影響の仕方が全く異なります。そのため,人体への影響を考えるためには,その辺も考慮しなくてはなりません。


そこで,「人間に与えるダメージを数値的に表現する」ためだけに作られたのがシーベルト(Sv)という単位です。SvはGyに放射線の種類により異なる放射線荷重係数と呼ばれるものをかけて算出されます。

ちなみにこの放射線荷重係数は,内部被曝をした場合にのみ必要な係数なので,外部被曝の場合にはこの係数はすべて「1」となります。しかし,通常Svで値が出されている場合にはだいたい放射線荷重係数がかけられた内部被爆時の値が用いられるのが一般的な使い方のようです。

放射線を表す単位はいろいろあるので混乱しやすく,目的に適した値を使って考えないといらぬ誤解をしてしまうことになります。

ですから,人体に対する影響を考えるために放射線の強さを評価する時には,できる限り「シーベルト」で考え,比較することが大切だと思います。


次回は,冒頭で話題にした「米1 kgが90 Bqの放射能を持つ可能性がある」ということが,実際人間の体にどのような影響を与えるのかについて,ちょっとした計算例を示しながらお話ししようと思います。

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テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

気になる化学リスク | 17:40:52 | Trackback(1) | Comments(0)
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ベクレルとシーベルト
こんな場末のたいしたことのないブログなんですが,なぜかWikipediaで参照されておりまして,今でも時々そちら経由でおいでいただいているお客... 2009-05-07 Thu 11:49:06 | ぷろどおむ えあらいん

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