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ぷろどおむ

Author:ぷろどおむ
元サッカー少年。今はしがない化学屋です。

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賞味期限切れの油を使った石鹸

ご質問をいただきましたので,予定を変更して久々に手作り石鹸系の話題を


>去年くらいに買い貯めた オイルが、賞味期限切れのがあるのが
>分かりました。これは、未使用の為 酸化臭もしませんが
>こういったものを石鹸に使うことは 科学的にいかがなんでしょうか。


あっさり回答すると,「賞味期限切れくらいでは問題ない」と思います。


一般的に「賞味期限」は「食品として利用した際にその風味まで保証する期間」,「消費期限」は「利用した際に健康に問題がないことを保証する期間」と考えればよいと思います。特に未開封で酸化臭もないということですので,石鹸の材料として使うのであれば問題ないと思います。


と,これだけだとちょっとあれなので,油の酸化とかについてもう少しだけ。


油が酸化するシステムにはいくつかありますが,通常家庭で利用している食用油の場合,そのほとんどは空気中の酸素と結びつくことによって起きたものです。この反応は油の中にある「不飽和結合」と呼ばれる部分と,空気中の酸素が反応することでおこります。なので,油の中にどのくらい不飽和結合があるかを表す「不飽和度が高い油」が酸化しやすいと言うことになります。


不飽和脂肪酸の代表的なものはオレイン酸とリノール酸です。特にリノール酸の方が不飽和度が高いので,リノール酸含有量が高い油は酸化に対する注意が必要だと思います。また,不飽和度の高い代表的な油としては,大豆油,コーン油,綿実油,サフラワ油などがあり,逆に不飽和度の低い油としてはパーム油やパーム核油,カカオ油やヤシ油,それにラードなどです。この辺は,石鹸作りに関わらず,覚えておいた方がよい豆知識かもしれません。


では,不飽和脂肪酸をなるべく含まない石鹸がよい石鹸なのかというとそう言うわけではありません。


飽和脂肪酸は,融点が高く固体になりやすい性質を持っています。つまりそれはどういうことかというと,脂肪酸に含まれる炭素の数が増えると,急速に水に溶けにくくなります。しかし,炭素の数は石鹸の洗浄力の源(特に対油汚れ)の一つですので,これが少ないと洗浄力があまり期待できなくなります。結果として,十分な洗浄力が期待できる炭素鎖の大きい飽和脂肪酸ナトリウム(石鹸)は,酸化には強いですが,固く,低い温度の水に溶けにくく使いにくい石鹸になってしまいます。


これに対し,不飽和脂肪酸ナトリウムは同じ炭素数の飽和脂肪酸ナトリウムと比べると水に溶けやすく,柔らかい性質を持っています。そのため,十分な洗浄力と使いやすさの両方を得るためには,ある程度不飽和脂肪酸を含んでいることが重要です。なので,一般的に使われている石鹸の材料となる油はすべて不飽和脂肪酸を含んでいます。
#まぁ,それ以前に飽和脂肪酸だけを含む油脂は常温で固体なんですけどね(^^;


ちなみに化学的に泡立ちや使い勝手(水への溶けやすさ,耐硬水性),洗浄力などのバランスが非常に高い脂肪酸にオレイン酸というものがあります。そして,これを非常に多く含む油の代表格が実は「オリーブ油」なんです。なので,オリーブ油から作った手作り石鹸は非常に良質のものになるんですね。


こんなもんで回答になりましたでしょうか?説明の足りない部分などがあれば,どうぞお気軽に。ちなみに一緒にいただいた「廃油を使って作った石鹸はお肌にいいのかどうか」については,まだ調査中ですので,もう少々お待ちください。


 

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テーマ:手作り石けん&手作りコスメ - ジャンル:趣味・実用

手作り石鹸 | 14:01:20 | Trackback(0) | Comments(3)
コメント
ありがとうございました。
ほっと、安心して 使う事が出来ます。
私は、やっかいなリノール酸の高含有の石鹸が肌に合うみたいなので、好んでよく使います。
とくに、ひまわり油のハイリノールが 大好きです。(オリーブも最初のうちは良く作りました。)
最近は米油を利用して、ハイリノールの弱点を補ってるつもりです^^;ラードも、パーム油も
重宝してまぁす^^!

お手数お掛けしますm^^m

2007-06-28 木 09:38:12 | URL | かっちゃん [編集]
こんにちは。小鳥遊と申します。
昔は化学青年でしたが今はしがないIT土方であります。orz

不飽和脂肪酸が低温で酸化する場合、2重結合が切れてラジカルとなり、空気中の酸素と結合して過酸になる→過酸自体も不安定なので身体にはよろしくない という事になります。

そういった意味では揚げ物に使った後の廃油(高温劣化)のほうが使用温度が高かった分、不安定な過酸ではなく、クラックして短鎖脂肪酸になるので、まだいいのではないかと思います。
# とはいえ、程度問題で、高温劣化油でもいくらかは過酸も残るでしょう。

また、これらの油を石鹸にする場合、未劣化の油に比べて「酸」の部分が増えるために中和に必要なアルカリも増えます。
このため、いわゆる鹸化価の算出値が難しくなってくるので注意が必要です。

こういう油の場合、過剰のアルカリで十分鹸化した後で塩析して石鹸成分を取り出すのがいいのですが、手作り石鹸でここまでやるのは機材の準備を含めてかなり手間ではないかと思いますねえ。
2007-07-13 金 21:35:42 | URL | 鷹梨憂 [編集]
はじめまして^^!小鳥遊さん、教えていただいてたのに 遅くなってすいません。

高温劣化油は、短鎖脂肪酸になるとか 鹸化価の算出値が 変わるとか 知らない事ばかりでした。こういう、知識が備わってる方って 本当にうらやましいです。また、よかったら いろいろ 教えてくださいませぇm(^^)m 
有難うございました。
2007-07-18 水 09:30:17 | URL | かっちゃん [編集]
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