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ぷろどおむ

Author:ぷろどおむ
元サッカー少年。今はしがない化学屋です。

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雑学:メートルのお話
さて,相当間が開いてしまったんですが,長さの単位である「メートル」のお話をさせていただきます。

長さの単位,というか基準が世の中に必要である理由については,皆さん実感するところが大きいかと思いますが,昔々は体の一部の長さを基準とする時代がわりと長く続きました。

もちろんそんなのは個人差がありますので,そのうちその地方の権力者の体格が基準になったり,種の大きさが基準になったり,それはもうものすごい数の長さの基準(単位)が産まれ,淘汰されていきました。

体の大きさを基準にしたもので一番有名なのは,足の大きさを基準にしたフィートですが,その他にも肘から先の長さを基準にしたキュービットも有名ですね。あと,何気にインチは元々親指の太さが基準だったりします。でも,足の大きさが約30cmとか,指の太さが約2.5cmとか,日本人の感覚からすると結構大きい気がしますね(^^;

個人的に使う(私が手の指を広げた時,親指と小指の間の長さがだいたい20cmなのでよく使ってます)とか,人々の活動範囲が限られた範囲であった時代ならそれで何とかうまく行っていた訳なんですが,大航海時代の到来により世界中の様々な文化圏間で商取引が行われることがごく普通の時代となり,世界中で使える単位の必要性が徐々に高まっていきました。

そのため,1790年にフランスのタレーランが「世界中で使える単位の創設」を唱え,「メートル」という長さの単位と,それを基準とした重さや体積の単位などを作り上げました。

この時決められた定義は
「子午線上における地球の四分円周
(=北極から赤道まで)の1000万分の1」

です。

この定義から「地球の円周は4万 km」となりました。もちろん地球は完全な球というわけではないですし,この後説明する通り現在ではメートルの定義も変わっていますので,厳密に地球の円周は4万 kmであるとは言えないのですが,大ざっぱには変わっていないので「地球の円周は4万km」と覚えていて良いと思います。というか,このことはこの時代に行われた最初の測定が,非常に精確だったことでもありますので,大したものだと素直に思います。

で,実際にどうやってその「1メートル」を決めたかというと,1792年から1798年にかけてフランスのダンケルクからパリを経由し,スペインのバルセロナまで到達する子午線の距離を実際に測定し,そこから換算して「1メートル」という長さを決め,1799年に現在「アルシーブ・メートル原器」と呼ばれるものを作成しました。

その後,地球科学の発展により意外と地球の大きさというものは基準になりにくい(永遠不変のものではなく,経時的に大きさが変化している)ことがわかり,地球の長さを基準とするのではなく新たな国際原器を作成して,それを基準とすることになりました。これがいわゆる「国際メートル原器」です。1889年の第一回国際度量衡総会により,国際メートル原器が長さの基準として認められ,世界各国に複製されたメートル原器が配布されました。日本にも1890年に「日本メートル原器」が配布され,国家基準として用いられることとなりました。

メートル原器が基準となる時代はこのあと70年ほど続きますが,誰でも当然考えるように「これが壊れたり変化したらどうなるの?」という疑問が発生しました。そして,その後の測定技術の発展により,やはり微妙に長さが変化している可能性が指摘されるようになりました。

同様の問題は他の単位でも発生し,「単位の基準は永遠不変な自然現象を基準とするべきである」という考え方が広がり,長さの定義も見直されることになりました。

そこで候補に挙がってきたのが,光の波長です。1800年に行われたヤングによる光の干渉実験から,光が波の性質を持つことはすでに知られていました。また,これにより作られた干渉波が精確な周期性を持つことから,きちんとそろった波長の光で作った干渉波の数を数えることが長さを測定することに繋がることが知られていました。

現在きちんとそろった波長の光の代表格と言えばレーザー光ですが,マイクロ波領域で発生するレーザー(メーザー)が発明されたのは1953年(Townsにより開発),光の波長領域で発振するレーザーがMaimanにより発明されたのが1960年ですから,この当時はまだ用いることは出来ません。

では何が用いられたかというと,原子の発光スペクトルです。

ある原子を高エネルギー状態にすると,ある特定の光を発生することが知られています。その時発生する光の波長は原子の種類に特徴的であり,一定です。そこで様々な原子の発光スペクトルが検討され,最終的に1960年の第11回国際度量衡総会において「クリプトン86(86Kr)原子の準位2p10と5d5との間での遷移に対応する真空中における波長の1650763.73倍に等しい長さ」という定義となりました。ややこしいですね(^^; 切れのいい数字を使う(少なくとも整数)方がわかりやすいんでしょうが,十分に広く普及している子午線を元にして作った元々の「1メートル」とあまりにも違ってくると,世界中が大混乱に陥ってしまいますので,そう言うわけにも行かなかったんですね。

ですがこれにより,パリにおいてあるメートル原器に頼ることなく世界中で正しい長さを測定することが出来るようになりました。

それまでは,自国で保管してあるメートル原器が正しい状態にあるのかどうかを定期的にパリのメートル原器と比較する必要があったのですが,クリプトン86の発光スペクトルを使った干渉計さえ作ってしまえば,自国内ですべての基準が完結するのです。とっても便利ですね。

ところが,この定義はわずか23年で変更になってしまいます。

この背景には,様々な科学計測の分野の急速な発展があります。

というところで,だいぶ長くなってしまいましたので次に続きます。
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テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

雑学 | 18:53:32 | Trackback(1) | Comments(0)
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雑学:続・メートルのお話
前回の続きです。 波長測定技術の急速な向上は,それまで安定であると思われていたクリプトン86の発光スペクトルが,同じく急速に発展して... 2009-09-17 Thu 20:12:50 | ぷろどおむ えあらいん

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