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ぷろどおむ

Author:ぷろどおむ
元サッカー少年。今はしがない化学屋です。

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訂正:続ベクレルとシーベルト
まったく穴があったら入りたいと言うのはこの事ですね。昨日のエントリ「続・ベクレルとシーベルト」はさっくり消して無かったことにしたい気分です。が,自戒のために残しておきます。元ネタにさせていただいたブログの方にも申し訳なさで一杯であります。

昨日のエントリ中で235Uと238Uの実効線量係数について,以下のように書きました。

235U 二酸化ウラン、八酸化三ウラン等の不溶性の化合物 6.1E-3 mSv/Bq
238U 二酸化ウラン、八酸化三ウラン等の不溶性の化合物 5.7E-6 mSv/Bq



が,これが間違っておりました。mobanamaさんにも指摘されたんですが,238Uだけ吸入摂取時の実効線量係数だけがなぜ3桁も低いのか。ここに注目してよく考えるべきだったんです。しかし,最初に見た時の「こんなに低いんだー」という衝撃と「やっぱりシーベルトで考えなければ」という思いこみが確認を怠らせることになりました。本当に申し訳ありません。

正しい値は以下の通りです。

235U 二酸化ウラン、八酸化三ウラン等の不溶性の化合物 6.1E-3 mSv/Bq
238U 二酸化ウラン、八酸化三ウラン等の不溶性の化合物 5.7E-3 mSv/Bq



桁のところだけ間違っているところを見ると,あの表が作成される時にミスタイプでもしたのでしょうか。他にも間違っているところがないのかどうか心配になります。が,一つの情報源だけで済ませてしまい,疑問を持つべききっかけはあったはずなのに確認しなかった私のミスです。本当に申し訳ありません。

というわけで,正しい値を用いて計算すると,それぞれの核種1 molを吸入摂取した場合の実効線量は

235U:1.88E7 Bq x 6.1E-3 mSv/Bq = 115 Sv
238U:2.96E6 Bq x 5.7E-3 mSv/Bq = 16.9 Sv

となります。ということで,濃縮ウランと劣化ウラン1 molを吸入摂取した時,それぞれの場合における実効線量は

濃縮ウラン:16.9 Sv x 0.97 + 115 Sv x 0.03 = 19.8 Sv
劣化ウラン:16.9 Sv x 0.997 + 115 Sv x 0.003 = 17.2 Sv


つまり実際劣化ウランと濃縮ウランから発生する放射線の影響の違いは10 %程度ということになります。(ちなみにさつきさんが計算された濃縮ウランと劣化ウランの放射能の差は約6 %

ただ,生体への内部被曝を考える場合(特に吸入摂取)にはトリウムやプロトアクチニウムなどのβ核種が,実効線量に対してほとんど影響を持たないのは同様の話になります。また,水溶性の化合物である場合比較的速やかに代謝されて体外に排出されるので,実効線量係数は235Uも238Uも3桁下がります。こうなるとβ核種の影響も考慮する必要が出てくるとはおもいますが,今問題になっている劣化ウラン弾の話とはだいぶ離れてくるかと思います。

で,こうなるとやはり劣化ウランは濃縮ウラン並に危険なのかどうかという話になってくる訳なのですが,そうなってくるとあとは量的な関係になってきます。

イラク戦争では数トン単位で劣化ウラン弾がばらまかれたという話もありますが,この重量が純粋な劣化ウラン分だとするとすごく大変なことになりそうに思います。しかし,その全量が人体に「吸入」されているわけではないでしょう。

また,外部被曝を考慮する場合α核種を考慮する必要はほとんどありませんし,経口摂取した場合は体外に排出されやすいので,実効線量係数もβ核種並に低くなります。そうなると実効線量も3桁下になってくるので,1 mol(この場合230 g以上)摂取した場合でも17 mSv以下。通常は1 g以上の劣化ウランを一度に飲み込むとは考えにくいので,0.07 mSv(=1 g経口摂取した場合の値)以下の影響であると考えられます。

ただ同様に1 g吸入摂取した場合は73 mSvとなり,とても無視することは出来ないような値になってしまいますので,やはりこの辺のデータが必要になってくるかと思います。まぁ,粉塵として1 gも吸い込めるのかどうかと言うと,その辺はよくわからないのですが(^^;

ただ,今回の計算結果でも235Uの持つ実効線量は(吸入摂取時ですが),238Uよりも一桁多いのは事実です。また,今回計算した濃縮ウランは濃縮率3 %と,濃縮ウランとしては最低レベルのものを題材にしています。軽水炉では最大5 %程度の濃縮率を持つ濃縮ウランが使われており,この場合に同様の計算をするとその実効線量は21.8 Sv,原子力潜水艦などで使われる濃縮率20 %の高濃縮ウランでは36.5 Sv,原子爆弾で使われる濃縮率70 %の高濃縮ウランでは85.6 Svとなり,放射線のことだけを考えても充分危険なものになります(ちなみに天然ウランだと17.6 Sv)。

確かに劣化ウランから発生する放射線が与える影響は,私が昨日のエントリで書いたものよりも強く,考慮に値するものであるかもしれません。が,それでも濃縮ウランと同等であるというレトリックには(タイトルで「原発用」と書かれてはいますが)やはり違和感を感じます。mobanamaさんもはてなブックマークで「濃縮ウランも含めてたいした放射能じゃないという言及として読んじゃった」とコメントされていますが,私は濃縮ウランをそこまで侮ってよいものであるとは思いません。また,そもそも取り扱われる量や方法の異なる両者を比較することは,「劣化ウランは危険である」というイメージを持たせ易いかもしれませんが,不要な誤解を招く可能性も極めて高くなると思います。

いろんな思いこみで間違いをしてしまいましたが,それでもやはり「ベクレルベースでの議論は誤解を生みやすい」と思いますし,「人体への影響はシーベルトベースで議論すべきだ」と思います。
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テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

気になる化学リスク | 12:44:28 | Trackback(0) | Comments(0)
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