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ぷろどおむ

Author:ぷろどおむ
元サッカー少年。今はしがない化学屋です。

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ラウリル硫酸ナトリウムはどのくらい怖いのか

ラウリル硫酸ナトリウムと言えば,合成界面活性剤の代表格でいわゆる「石鹸派」と呼ばれる方々からは蛇蝎のごとく忌み嫌われている存在であります。


その筋の有名なサイトには,こちら(http://www.ne.jp/asahi/dz/dai/gouseikaimen.htm)などがありまして,非常にショッキングな内容が書き連ねられています。


でも,いろいろと突っ込みどころがたくさんあります。


>合成界面活性剤は、非常に有害であるにもかかわらず、前述のような日用品のほとんどに使用されています。その理由としては、(1) 製品の原価を極めて安くすることができること、および (2) たとえ有害でも現行の国の基準では合法的に製品化できることなどが挙げられます。

合成界面活性剤が広く使用されている第一の理由は,コスト面よりも使用する水の性質を選ばない点にあります。いわゆる純石鹸は硬水中ではとてもじゃないですが使えません。温泉に備え付けられているのが,石鹸ではなくてボディシャンプーの場合が多いのにはちゃんとした理由があるわけです。


>合成界面活性剤には「たんぱく変性作用」と呼ばれる性質があり、

合成界面活性剤に限らず,たんぱく変成作用は石鹸をはじめとするイオン性界面活性剤一般の性質です。この辺を気にするのであれば,石鹸ではなく非イオン性界面活性剤を利用した洗剤を使う必要があります。また,皮脂を取り除いた状態での皮膚そのものへのダメージはラウリル硫酸ナトリウム由来の洗剤よりも,アルカリ性の液性を持つ石鹸の方が純粋に大きいです。これがカバーされているのは,石鹸そのものの皮脂除去能力(=洗浄能力)が低いことと,鹸化反応の副生成物であるグリセリンや残存する油分のおかげです。


>口と鼻以外から取り込んだ物質に対しては、吸収すべき有効な栄養素と、肝臓などで分解すべき有害な物質とを “仕分け” する機能が働かないためといわれています。

これはちょっとひどいです。口から取り込もうが何しようが,体内を移動する際には結局血液を経由する必要があります。口から入った食物の栄養や毒素を処理するのだって血液経由です。確かに腸管から吸収された様々な物質はほぼダイレクトに肝臓に運ばれるというメリットはありますが,要するに仕分けしてるのは肝臓です。もちろん,いったん血液に取り込まれればいずれ同様に処理されます。ちなみに体内に取り込まれたラウリル硫酸ナトリウムなどは,迅速に生分解され尿中に排出されることが実験的に確かめられていますので,その辺の心配は無用の様です。


また「0.53 %が血液中に侵入するという結果が出ています。」と書かれていますが,これを多いと見るか少ないと見るかでしょうか。仮に50%の界面活性剤が含まれているものを使ったとして,一回に使用するのは多くても5g程度ですか?そうすると,一回洗って吸収されるのは13mg…,思っていたより多いですね。個人的にはどっちにしろ代謝されますし,急性毒性を示すにはほど遠い数字なので気にすることはないと思っていますが,この辺は気分の問題になるのでしょうか?

ラットの写真はかなりショッキングでありますが,石鹸にしろ合成界面活性剤にしろ皮膚刺激性は避けられるわけはないので,なぜここまで差が出るのか疑問です。公平に判断するにはそれぞれどの程度の濃度で塗布したのかという情報が欲しいところです。ただ,洗剤を用いた場合には,なるべくきちんと洗い流した方がよいのは確かだと思います。

合成界面活性剤は,一般的に石鹸よりも洗浄力が高いのでごく少量で十分な洗浄効果が期待できますが,「なるべく少量で短時間のうちに洗い,よくすすぐ」というのは石鹸をはじめとする洗浄剤一般を用いるときには必須の心構えであると思います。

あと一点だけ
>合成界面活性剤との大きな違いは、石鹸はお肌に残っても皮膚がもともと持っている酸度により界面活性力が分解されるという点です。

実はこれがよくわかりません。確かに石鹸は合成界面活性剤よりも迅速に界面活性力が落ちますが,それは界面活性を持つために重要なミセルというものを形成する能力が低いためです。酸性度だけで石鹸の界面活性力を落とすためには,pH3~4以下という食酢並みの酸性度が必要になります。もちろん石鹸シャンプーなどとセットで使われる酸性リンスなんかを使えばこういう効果が得られるのですが,仮に何らかの作用によって界面活性力が落ちる=ミセルが形成されにくくなる=水に溶けにくくなるだけなので,逆に水だけでは洗い流されにくくなるんですよね。

ちなみにラウリル硫酸ナトリウムの場合は末端についているのが硫酸(石鹸の場合はカルボン酸)なので,周りのpHとはほぼ無関係に石鹸よりも低い濃度まで水に溶けやすい状態を保てます。というわけで,残存しにくいのはどちらかというとラウリル硫酸ナトリウムのような気がしていますが,どうなんでしょう?


「石鹸のアルカリが 肌に残存しても、肌から酸性物質が分泌され時間と共に中和され安全化する」という説明がされている本も存在するようなんですが,「石鹸の持つアルカリ」っていったい何?ラウリル硫酸ナトリウムが示すアルカリ性と何が違うの?もしかして「きれいなアルカリ」と「汚いアルカリ」が存在すると思っている?あるいは,「アルカリ性」の定義が化学用語で言うところの「アルカリ性」とは異なっているのでしょうか??と謎は深まるばかりです。



(追記:090204 ラウリル硫酸ナトリウム水溶液の液性はほぼ中性であるpH 6~7程度です。アルカリ水溶液になると言う記述は私の事実誤認でしたので,訂正いたしました。)

と,とりあえずだいぶ長くなりましたので,今日はこの辺で。


ラウリル硫酸ナトリウムの話はもう少し続けます。

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テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

気になる化学リスク | 17:49:04 | Trackback(1) | Comments(2)
コメント
いままで、ラウリル硫酸ナトリウムと 聞けば もう 刷り込みで だめだめ!って 思ってたけど
こうやって 反対の切り口で説いてくれると また この意見に納得したりするんですよね^^;
これって、多くの方が偏った意見にとらわれてしまう事によるもんなんでしょうね・・・これは、もっと ぷろどぉむさんの 意見もたくさんの方に見ていただきたいと 願うばかりです!
2007-06-21 木 21:37:19 | URL | かっちゃん [編集]
こんな感じ
ラウリル硫酸ナトリウムは医薬品リサーチで、皮膚につけると痒くなるという特性を生かし、新薬のトライアルの時にあらかじめ被験者にラウリル硫酸ナトリウムを使用させ皮膚を痒くさせておくのだそうです。リサーチ文献まで読んでないですが。



http://www.healthy-communications.com/slsmostdangerousirritant.html
2011-08-30 火 23:19:25 | URL | み [編集]
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界面活性剤は、親水性部分がイオン性(カチオン性・アニオン性・双性)のものと非イオン性(ノニオン性)のものに大別される。また、低分子系と高分子系に分類されることもある。アニオン性界面活性剤は、親水基としてカルボン酸、スルホン酸、あるいはリン酸構造を持つもの 2007-07-11 Wed 08:12:35 | 化学の考察

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