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ぷろどおむ

Author:ぷろどおむ
元サッカー少年。今はしがない化学屋です。

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続・日本の安全基準は本当に緩いのか?
たろうさんからコメントをいただきました。
様々な情報をいただきどうもありがとうございました。

コメント欄でお返事しようと思ったのですが,いつものように長くなりすぎましたのでエントリとさせていただきます。ご容赦下さい。

> > 過去一年以内に原子力事故が起きていない場合の基準値,
> (1)これは本当ですか?ソースを提示願います。

前回のコメントでもご紹介した「WHO飲料水品質ガイドライン」中のP.202に「事故直後の1年間は、BSS(IAEA, 1996)並びにその他のWHOおよびIAEAの関連刊行物(WHO, 1988; IAEA, 1997, 1999)に記載されているように、食材に関しての一般的アクションレベルが適用される。」という記述がありますので,このようにご紹介させていただきました。

> 原発事故が起きて1年以内等の緊急事態に限定した場合の閾値が100bq/Lではないんですか?
> (WHO Radiation Emergency Guidelines P13 Table 4.)

ご呈示いただいた「WHO Radiation Emergency Guidelines」は,恥ずかしながらまだチェックしておりませんでしたので是非読ませていただこうと思ったのですが,WHOのサイトからはリンク切れで読めませんでした。

そこで,こちらのwikiの記述を元に,「Table 4. Generic action levels for foodstuff」をキーワードとして探して見つけられたそれらしいものが,同じくWHOが出している「Environmental health in emergencies and disasters: a practical guide」という文書です。これの「ANNEX 5 Selected information from the International Basic Safety Standards for Protection against Ionizing Radiation and for the Safety of Radiation Sources」P.249に同じく「Table 4. Generic action levels for foodstuff」があり,その中で確かに飲料水などのI-131のアクションレベルとして「100」という数字があります。しかし,これの単位が「kBq/kg」になっているんですよね。これはすなわち100,000 Bq/kgですから日本の基準より300倍以上大きい値となってしまい,いただいた情報との整合性が取れません。もちろん単位の読み間違いによる誤解というのは良くある話ではあるのですが,なんとなくこの量をアクションレベルに設定するのはちょっと基準が緩すぎないだろうかという気もしますので,私が何か誤解をしているような気もします。ただ,リンクが切れる前に「WHO Radiation Emergency Guidelines」(たぶん提供いただいた文書と同じものだと思うのですが…)を訳されていた方がいらっしゃるのですが,その方の記述を見るとやっぱり単位は「kBq/kg」なんですよね(^^;;; ということで,正直どの情報が正しいのか判定しかねております。

その他関連しそうな文書をあたってみると,IAEAがチェルノブイリの後に出した「The use of Prussian Blue to reduce radiocaesium contamination of milk and meat produced on territories affected by the Chernobyl accident」という文書がありました。この中のP.9 「TABLE III. GUIDELINE LEVELS FOR RADIONUCLIDES IN FOODS FOLLOWING ACCIDENTAL NUCLEAR CONTAMINATION FOR USE IN INTERNATIONAL TRADE」において食料品などの輸出中に関する基準値として,「MILK AND INFANT FOODS(ミルクと幼児食)」中のI-131で100 Bq/kgと設定されているのを見つけることができました。ただし,同じ表中の「FOODS DESTINED FOR GENERAL CONSUMPTION」が1,000 Bq/kgとなっておりますし,見ずに関する記述も省かれていますので,これはただの牛乳と言うよりは,乳幼児向けの飲食物の場合と考える必要があるのかな?と思います。ただ,そうなるとやはりこちらもご呈示いただいた情報とは整合性がとれなくなり非常に悩ましいことになります。

というわけで,大変申し訳ありませんが私の力不足でせっかくご教示いただいた資料を見つけることができませんでした。大変申し訳ありませんが,どこかこの情報を得られる一次情報へのリンクをご呈示いただけませんでしょうか?どうかよろしくお願いいたします。

> > 「この値を下回れば乳幼児、子供、妊婦を含め、誰が飲んでも安全である」
> (2)OIL-6の意味を理解していますか?
> 「もう飲んではいけない限界の値」のことなんですが・・・。

本文中でもご紹介したIAEAの「Criteria for Use in Preparedness and Response for a Nuclear or Radiological Emergency」のP.52 11.36に「Below OIL6: Locally produced food, milk and water have been screened, and all members of the public, including infants, children and pregnant women, can safely drink the milk and water and eat the food during the emergency phase.」という記述がありましたので,このようにご紹介いたしました。ただ「during the emergency phase」という部分はもっと強調すべきだったかもしれません。申し訳ありませんでした。

> (3)ちなみに貴殿は、300bq/Lの飲料水指標が年間総被ばく量換算でどれくらいのレベルを想定しているか、ご存知ですか?

確か1 mSv/y程度であったと記憶していますが,間違っていたらご教示いただければと思います。

> > 世の中には放射線以上に健康を阻害するリスク要因があふれているからです。
> (4)これも本当ですか?
> 例えばBEIR VII 報告等は有名ですが、貴殿はこの報告についてどのような見解をお持ちですか?
> 閾値なしの直線モデルを考えれば、ある閾値をもって安全だとは言えませんが、これについては如何でしょう?

LNT仮説についての考察は,本文中でもご紹介させていただいた以前のエントリでも行っておりますのでご参照いただければと思います。その際,別要因からのリスクなどについても簡単に触れております。現在のところ,この時書いた内容と私自身の考え方はあまり変わっておりません。ご呈示いただいたBEIR VII 報告は,さすがに全文読み通すところまではしておりませんが,確かにLNT仮説に関する従来の議論に一石を投じたものと認識しています。しかし,ほぼ同時期にフランスでは閾値の存在を肯定するような報告も出ているなど,まだまだこれから議論を深める必要がある分野だと考えています。もちろんLNT仮説を念頭に置いた予防対策を立てることについては異存ありませんが,LNT仮説を用いてリスクを計算することそのものについては,私自身はまだ懐疑的です。ただ,実はちょうど次のエントリ用にICRPの文書群を再チェックしており,量が膨大なためなかなか十分な検討ができているとは言い難いのですが,当然その中にはBEIR VII 報告などを加味したLNT仮説についての検証などについての文書もありますので,調べた結果については近々まとめてご報告させていただきたいと思っています。

たださきほど紹介させていただいた以前のエントリ中でご紹介した放射線による発がんリスク0.05 /SvをLNT仮説に適用すると,喫煙以上のリスクが生じる可能性がある地域が出てきているのは確かです。100 mSv/yの被曝で約17年分の喫煙と同程度,20 mSv/yでも3年分以上の喫煙と同程度のリスクが生じる可能性が考えられます。また,ICRPも3/27に出した声明で,公衆の安全を守るために20~100 mSVの間にリファレンスレベルを設定するように勧告しています。私も,このような事態が予想される地域については十分な警戒と対応が必要だと思いますし,昨日国から発表された年間20 mSv以上の被曝が予想される地域への計画的な避難勧告は,この勧告にも準じたものであると思います。

しかし,東京はもちろんのこと,福島県内や隣県の茨城県でも十分に離れた距離にあり,現時点では年間の被曝量十分低いと予想されている地域については,まだ動揺する必要はないだろうというのは以前から訴えているところです。

と,ここまで書いて気がつきましたが,確かに以前の私の文章を読むと原発近傍を含めた全ての地域で安全であるようにも読めてしまいますね。これは私のミスです。大変申し訳ありませんでした。私がお伝えしたかったことは,正確にはこの直前に書いたような内容です。誤解を与えるような稚拙な文章を掲載してしまい,大変申し訳ありませんでした。深くお詫び申し上げます。元のエントリには,こちらへのリンクを張り両方読んでいただけるようにしたいと思います。ご指摘ありがとうございました。

ということで,ご回答になりましたでしょうか?おそらくまだまだ不十分なところがあるかと思いますので,ご指摘いただければと思います。どうかよろしくお願いいたします。

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テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

気になる化学リスク | 18:36:42 | Trackback(0) | Comments(8)

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