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ぷろどおむ

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元サッカー少年。今はしがない化学屋です。

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毎日新聞・遠藤記者は骨の髄から遺伝子組換え作物が嫌いらしい
正直ここまで来ると感心します。たてつづけに署名記事として,これほど偏った上に誤った認識を主張し続ける内容の記事を書き続けるということは,そうそう出来るものでは無いと思います。同僚の小島記者は,どういう思いでこの記事を読んでいるのでしょう。

質問なるほドリ:遺伝子組み換え作物って、安全なの?=回答・遠藤和行(毎日新聞)
 ◆遺伝子組み換え作物って、安全なの?
 ◇「健康被害」の懸念、根強く 農作物99品種のみ流通認可


最初のタイトルからいきなり恣意的です。読み始めた人にマイナスイメージを持たせようという意図がひしひしと感じられます。実際審査基準には安全性以外にもカルタヘナ法に基づく環境への対応も含まれていますし,これだけの情報では99品種というのは多いのか少ないのか判断も出来ません。にもかかわらず「99種のみ」と書くことで,遺伝子組換え作物の大部分が危険であるかのような印象を持たせています。さすがプロの物書きは違う,と感服してしまいます。

なるほドリ スーパーで買った納豆に「遺伝子組み換え大豆は使っていません」って書いてあったけど、何のこと?

 記者 他の生物から取り出した遺伝子を組み入れて品種改良した大豆のことですね。同じ種どうしを交配させる改良は時間がかかり、失敗も多くありました。それが技術の進歩で異なる種の遺伝子を利用できるようになり、約13年前から登場しました。

 Q どんな作物があるの?

 A 例えば害虫に強いトウモロコシは、土壌中の細菌から取り出した遺伝子の一部を細胞の核に入れて生まれました。組み込まれた遺伝子によってできるたんぱく質を害虫が食べると、消化機能が働かず餓死します。強い品種の登場で農作物の収穫量が増えれば、深刻化が予想される食料問題の解決につながるとの期待もあります。

 Q 虫が食べて死ぬ作物を食べるなんて不安だなあ。

 A 動物実験では、組み換え作物を食べて健康障害が出たとの結果がある一方で、安全性を確認した研究も数多くあります。日本の厚生労働省も「害虫だけに働きかけるもので、人間には影響ない」との考えです。それでも、自然界にない特性を持たせた食物のため「現在の科学では分からない健康被害が生じるのでは」「栽培すると周辺環境に影響が出ないか」といった声が根強いことなどから、国内では生産されていません。



最初の質問への回答が,なんだかわかったようなわからないようなよくわからない中身のない文章であるのに対し,二つ目の質問から先は,まるで別人のような怒濤の攻撃が展開されます。

中でも「どんな作物があるの?」という質問に対し,様々な種類のある遺伝子組換え作物の中から,一番誤解を招きやすく,叩きやすいBtトウモロコシについてだけ解説をしているのがさすがです。もしかして,他の遺伝子組換え作物を知らないのではないか?と思わされるほどの偏向ぶりです。

そして安全性についての根拠を,実際には明確な科学的根拠があるにもかかわらず,「「害虫だけに働きかけるもので、人間には影響ない」との考えです。」と,あたかも官僚が何の裏付けもなく「企業が大丈夫と言っているから大丈夫」程度の説明しかしてないような印象を与えることにも成功しています。

実際,Btトウモロコシが殺虫効果を発揮させることができる原因であるBt殺虫蛋白質がどういうしくみで昆虫に対する毒性を生じさせているのか,という機構について説明すれば,人間を含むほ乳類では「毒性が発揮されることはあり得ない」ことがわかるはずなのですが,そんな努力をする気配はまるでありません。

しかたがないので,ここで軽く解説します。昆虫が Bt 蛋白質を食べると,昆虫類の特徴であるアルカリ性の消化管内でBt蛋白質は殺虫効果を持つ形に活性化されます。ここが第一の関門です。ご存じの通り,人間などのほ乳類の消化器内は酸性の消化液で満たされているので,昆虫の消化管内で起きるのとは全く違う反応が起こり,ほ乳類の消化器官内のBt蛋白質は消化酵素により単なるアミノ酸やペプチドに分解されてしまいます

また,第二の関門としてBt蛋白質受容体の問題があります。Bt蛋白質が殺虫効果を示すには,消化管に存在する受容体と結合して消化管の細胞を破壊する必要があります。これによりBt蛋白質を摂取した駆除対象の昆虫は栄養を吸収することが出来なくなり,結果として餓死してしまいます。

また,実はあんまり知られていないのではないかという気がしてきましたが,Bt蛋白質と呼ばれる蛋白質には様々な種類があります。そして,Bt蛋白質に対する受容体の形は昆虫の種類によって異なっているため,殺虫効果を持つBt蛋白質は,その昆虫の種類によって違うのです。そのため,そのBt蛋白質に対する受容体を持たない種類の昆虫が食べたとしても,何の作用も示しません。ですから,その作物に害をなす種類に対応したBt蛋白質を選択することにより,狙った害虫だけを選択的に排除することが可能になるわけです。たとえ活性化型の構造に変化したとしても,その変化した形に対する受容体を持っていない種類では,消化管内の細胞を壊されることはなく,飢餓状態になることはないからです。

当然,人間が食べた場合にも,消化管に受容体がないので毒性を示すことはできません

また,この蛋白質が自然界に元々存在していたことや,先ほども説明したとおり,この蛋白質の殺虫効果は非常に選択性が高く,昆虫の種類によって殺虫効果を示すことの出来るBt蛋白質の種類も異なっている事を知れば,もう少し消費者も安心できるはずです。また,このBt蛋白質の作用を利用して作られた農薬が1960年代から広く利用されてきていたこと(参考URL:BT剤とは?Q&A(グリーンジャパン))を知れば,さらに安心する人は増えるでしょう。しかし,当然そんなことをするつもりはこれっぽっちもないようです。

Q なのに加工品には使われているんだね。

 A 米国など穀物の主要生産国では、農作業の効率化を進めるため組み換え作物が増え、そうでない作物は価格が上がっています。その結果、原材料費を抑えたい国内メーカーが輸入の組み換え作物に頼る動きが出ています。国内で流通が認められている組み換え作物は、厚労省が安全性を確認した7種類99品種です。

 Q 原材料表示を見れば、使われているって分かるのかな。

 A 納豆のように加工しても遺伝子が残る食品には、組み換え作物を使用していると表示することが法律で義務づけられていますが、加工過程で遺伝子がなくなる大豆油などは対象外。国が安全性を保証しているとはいえ、心配な人がいる以上、もっと表示すべきでしょう。(生活報道部)



ここでも意識的な誘導が行われています。遺伝子組換え作物への切り替えが進んでいる理由を,「米国など穀物の主要生産国では、農作業の効率化を進めるため組み換え作物が増え、そうでない作物は価格が上がっています。」と,効率面でしか説明しておらず,使用する農薬の量を減らせることや,収量が増大すると同時に耕作可能面積の増大なども期待できることなどが全く説明されていないのは,片手落ちどころの話ではないでしょう。

また,以前のエントリでも書きましたが,このような不安感を消費者が持つことになった理由に根拠があるのかどうかなどと言うことは少しも触れず,ただひたすらに不安感を増大させる方向に煽ることに終始しています。これは明らかに典型的なマッチポンプと言えるでしょう。このような言動は,散々放火しまくった放火魔自身が,消防署が悪い,警察が悪い,国は無償で防火壁などを支給すべきだ,と叫んでいるに等しい行為です。

遺伝子はもちろんのこと,その遺伝子により直接生産された生産物である蛋白質も残っておらず,しかも十分に精製されて化学的構造が揃えられた植物油や異性化糖の状態で,遺伝子組換え作物由来と非遺伝子組換え作物由来のもので違いがあるというのであれば,その証拠を示して欲しいものです。無意味に不安感を煽ることで,無意味に高額なコストをかけさせられている一般消費者や,生産者に何の得があると言うのでしょう。先ほどの放火魔の例では,防火壁を製造している会社は儲けられそうでしたが,この場合は誰が儲けを得るのでしょう。非遺伝子組換え作物にこだわってきた生協は,そろそろ辛くなってきたようですが,昔はそれなりに儲けていたのでしょうね。また,遠藤記者の様に,この手の論法で本を書けば結構稼げそうです。もちろん,どちらの場合もその原資は一般消費者ですね。

今後も毎日新聞・遠藤記者の行動には注目していきたいと思います。

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テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

気になる化学リスク | 10:07:12 | Trackback(0) | Comments(2)

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