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ぷろどおむ

Author:ぷろどおむ
元サッカー少年。今はしがない化学屋です。

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日本のインフルエンザ対策
は,非常にすばらしい成果を出しているというお話。ぜひ数多くの人に知っておいて欲しいので,転載。

タミフルのある幸運(有機化学美術館・分館)


インフルエンザ患者に対する治療方針は、今のところ日米で大きな差があります。アメリカでは、米疾病対策センター(CDC)が「健康な人は新型インフルエンザに感染しても、タミフルやリレンザなど抗ウイルス薬による治療は原則として必要ない」とする方針を発表しています(読売新聞の記事)。供給に限りがあること、耐性ウイルスの出現の恐れなどを理由に挙げています。
 逆に日本では、感染症学会が「インフルエンザかどうかわからない疑い例であっても、積極的にタミフルを投与すべき」という方針を発表しています(感染症学会の提言はこちら)。

 その結果はどうなっているか。日本では1週間で30万人の患者が出た週などもあり、患者数は累計300万人を超えているといわれます。人口あたりの患者数は、アメリカと大差ないレベルにあると見ていいでしょう。

 ですが今のところ国内でのインフルエンザによる死者は、疑い例まで含めて32人にとどまっています。世界平均では0.1~0.5%の死亡率と見られていますから、この数字を当てはめれば日本では3000人から1万5000人の死者が出ていてもおかしくありませんとにかく死者をアメリカの30分の1、世界平均の数百分の1レベルに抑え込んでいるのは、素晴らしい成果といってよいのではと思います。


こういう話がどうして一般マスコミで報道されないのか激しく疑問です。ぜひ,こういう話は広く認知されるべきだと思います。

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気になる化学リスク | 13:52:28 | Trackback(0) | Comments(0)
トクホ廃止?
こんなニュースが流れてきました。

トクホ、廃止も含め見直しへ 福島・消費者担当相(朝日新聞)
 健康によい効果がある食品を国が審査して許可する特定保健用食品(トクホ)について、福島瑞穂・消費者担当相は「果たしている役割が適切か根本的に見直したい」と述べ、トクホ制度の廃止も含めて見直す方針を明らかにした。22日夜、朝日新聞の取材に答えた。有識者や消費者団体、業界関係者による検討会を11月にも開き、10年度に本格的な制度の見直し作業に入る。


こんな事も言ってるようですが,実質的に廃止するつもりのように見えます。

福島氏は現状の制度について、「トクホは宣伝で商品の効能が強調され、本来の目的を超えた付加価値がつきすぎているのではないか。国がお墨付きを出す必要はあるのか、ゼロから見直したい」と話した。ただし、「最初から廃止ありきで考えているわけではない」とも言い、トクホの市場規模が約6800億円に上ることも考慮し、「すでに許可を受けている商品の表示を廃止することにもなり、企業への影響が大きいので慎重に考えたい」としている。


個人的には,なぜかちょっとだけ別ページに吐き出されているこの部分への対案が確保されるのであれば文句は言いません。

トクホは、科学的根拠もなく効能をうたう健康食品を防ぐ目的で、91年に制度が始まった。


国がお墨付きを与える以外にどういう方策があるのか,個人的には非常に興味深いところですので,注意して見ていきたいと思っています。

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気になる化学リスク | 16:21:41 | Trackback(0) | Comments(0)
まずはここから始めたい
まずここを確認することが大切なんじゃないかと思いました。全然まとめられませんでしたが,最近思ったところをつらつらと書いてみます。

我々の体を構成している細胞や,その内部に存在しているDNAは,
自発的・多発的を問わず常に大量に壊されて死に続けています。


壊している原因は,自然放射線,体内に存在する活性酸素(酸素ラジカル),様々な化学物質(人工・天然問わず),それこそ数限りなく存在します。もちろんこれは人間に限らず,地球上に存在する動植物は全てそうです。

しかし,人間をはじめとする生物は,壊されるのと同等以上のスピードで細胞分裂を繰り返し,壊されるのと同等以上のスピードでDNAなどを修復することで,生き残ることに成功しました。

試験管内における分子レベルにおいて,DNAなどの生体物質はいとも簡単に壊されれています。これは細胞の中ではある程度緩和されますが,それでもどんどん壊されていきます。でも,細胞の集合体である個体はそう簡単に死にません。壊れた細胞は捨てられ,壊れるスピードよりも早く再生産されているからです。というか,壊されるのと同等以上に「壊して」捨てているのです。

今年のノーベル賞はそのような細胞を「壊すシステム」に関する研究が受賞しましたが,実は逆に「壊せなくなった」細胞とも言えるのががん細胞です。ある意味細胞やDNAが適切に「壊れる」ことは,生命にとって必要不可欠なものです。要するに健康に害を及ぼすか及ぼさないかというラインは,「壊れたかどうか」ではなく「壊れすぎていないかどうか」が重要なのです。

二つ目。

自然界には他者のために存在している存在などありません


植物は草食動物に食べられるために生きているのではありません。果実は一見動物に提供するために作られているように見えますが,どうやっても種を食われてしまう力なき植物が窮余の策として,多大なるコストをかけて果実を作り出し,大切な種が生存し自分自身の複製が拡散していく可能性を少しでも高めようとした結果に過ぎません。自分の大切な種を喰らう動物に自らが必死にかき集めたエネルギーを栄養として提供するために果実を作り出したのではありません。動物の方が,勝手に植物を自分の栄養に出来るような体を作ったのです。

自然界の生き物は,自らが生き残るために周りにあるありとあらゆるものを利用して生き残ろうとしています。そして,それぞれの持つどん欲さが非常に強かったがために,全てが利用し利用される形になり,見かけ上バランスが保たれているように見えるだけです。

自然界に体に優しいものなどありません。すべてのものは他者のために用意されたものなどではないからです。

現在の姿は,自然界にある様々なものを進化の過程で無理矢理利用できるように,生き物自身が自分の体を作り替えてきた結果にすぎません。ですから,当然利用する過程においてエラーも一定の割合で生じます。そして,そのエラーを修正するためのシステムを獲得できた種だけが,生き残っていられるのです。

今現在,生きていくためには必要不可欠な酸素を利用することですら,生命が進化の過程で獲得できた能力です。その能力を獲得する以前は,酸素は強力な毒でしかありませんでした。

酸素は非常に反応性の高い元素です。そのため非常に高いエネルギーを得ることも出来ますが,必ず発生し,エネルギーを得るためにも必要不可欠な活性酸素(酸素ラジカル)は,不必要な反応を引き起こし,生体構造そのものも破壊してしまいます。しかし,現在地球上に存在して酸素を利用している生命たちは,そのような破壊を修復するシステムを獲得しました。そして,酸素から得た膨大なエネルギーを使って,他の様々なものを自分の生存のために利用できるシステムを作り上げたのです。

無限に降り注ぐ太陽の光と,大地にはじめから存在していた無機物を利用する能力を獲得すると同時に,自らが創り出した酸素すら利用するという非常にしたたかな存在である植物は,この地球上における最初の王者でした。もちろん今でも,植物が君臨し占拠している領域は,最大のものでしょう。しかし,植物が得ることのできるエネルギーはごく微量であり,自らが生存するために使うだけで精一杯でした。

その植物を構成するセルロースを自らのエネルギー源として用いる能力を獲得できた種は,エネルギーを自ら生産するという部分にコストを割くこと無しに,植物が自分のために生産したエネルギーを奪い取ることに成功しました。これにより得た比較にならないほど大きなエネルギーは,自分自身を移動させる能力を得ることにつながり,その活動の幅を大きく広げることに成功しました。

さらに,多大なコストをかけて草食動物を始めとする他の動物を補食することで,その動物が自分のために確保したエネルギーを奪い取る能力を持った生命も誕生しました。植物が生産し,草食動物がため込み濃縮したエネルギーを全て奪い取り,自らの生存に使ったのです。

人間は力が弱く,他の動物を補食する能力に欠けていましたが,その代わりに火や道具を手に入れることが出来ました。特に火を手に入れたことにより,食料を長期にわたって保存することと穀物に含まれるデンプンを非常に効率よくエネルギー源とすることに成功しました。これは,安定的なエネルギー確保が可能となったことを意味し,常にエネルギー(食料)を探し続けなければならない他の動物たちと一線を画すことになり,「分業性」というシステムが成立する基礎を得ることが出来ました。

つまり,人間はこれまで他の動物たちが進化の結果としてしか獲得することの出来なかった新たなエネルギー源や種族としてより効率よく生き残るためのシステムを,「火を使う」という革新的な技術により獲得したのです。

もし人間が「火」を始めとする技術を手に入れていなければ,とうの昔に絶滅していたことでしょう。人間は「進化」のスピードを「技術」で超えることにより,この地上で生き残ることが出来たのです。人間が創り出した「技術」は,他の動物とは比較にならないほど広範囲のものを自らのために利用可能とすることができました。これこそが,人類が今まで生存し続けることができた最大の理由だと思います。

現在,ここまで増えることができた人類ですが,残念ながらまだ増えただけで,まだ人類は人類全てを養いきれてはいません。完全には無理かもしれませんが,貧困や病気,飢餓などから出来るだけ多くの人を救おうと思えば,究極的には道は二つ。さらに技術を発展させるか,人間自身が数を減らすかです。

私は技術の力を信じています。

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雑談 | 11:08:51 | Trackback(0) | Comments(1)
………が通れば…
花王がエコナのトクホ失効届けを提出したそうです

「エコナ」トクホ失効届を提出へ 花王
特定保健用食品の食用油「エコナクッキングオイル」に、体内で発がん性物質に変わる可能性がある成分が含まれている問題で、花王は8日、エコナ関連製品について、特定保健用食品の許可の失効届を提出した。



おそらくこういった動きに対して,企業としてのリスクを軽減させるための高度な経営判断とやらが行われたのでしょう。

エコナのトクホ許可、再審査へ 福島・消費者担当相
食用油「エコナ」 消費者委、トクホの取り消し求める



科学的な立証無しに,その時の雰囲気と勢いだけで全てが決まる。こういう世の中が,みなさんの求めるものなのでしょうか。これが消費者の勝利,になるのですか?私にはわかりません。

エコナはすでに長期発がん性試験において,元々求められていた要件に対して十分な安全性を担保していました。それでも理論的に問題がある可能性が残っていたために,様々な実験を繰り返し,問題がないレベルであることを証明しようとしてきました。そして,今回の決定も要求される安全性に最大限答えようとした結果であったのに,結果的にバッシングだけが強くなってしまったと言うことは非常に残念です。「絶対安全なので,動物実験は必要ありません」とでも言い切れば,満足してくれる消費者は増えたのでしょうか。

科学的な論証無しに,一時的な気分の盛り上がりだけで裁定が下されるのであれば,我々のような存在は必要ないなぁ。

そんな気分にさせられたニュースでした。

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雑談 | 21:41:48 | Trackback(0) | Comments(1)
公平・中立な立場とは
両方の意見を同等に尊重することではなくて,なるべくバイアスをかけずに両方の意見を吟味しようという心がけのことだと思う今日この頃。

明らかに間違っていたり誤解しているだけの意見Aを,傍証まで含めてきちんと議論されている意見Bと等価に扱うのは,意見Aに対して大きなポジティブバイアスをかけている,つまりかなりひいき目に見ているのといっしょではなかろうか,と。

公平とか平等というのは結果を等価にするのではなくて,結果にいたるまでの評価によけいなバイアスをかけずに行うことのはず。明らかに劣っている一方を,勝っているはずの他方と同等に高く評価するのは,公平でも平等でも何でもないわけです。

ところが「自分は中立です」と宣言し,そうあろうとする人ほど「結果の平等の落とし穴」にはまっている人が多い気がするのは,気のせいでしょうか。

エコナ絡みでそんなことを思ったわけですが,なんか私のブログはそういう罠と戦い続けているような気がします。

放射線絡みの話についても,様々な誤解やら偏見やら思い込みで間違ったイメージが蔓延してます。

電磁波についても騒がれ始めたきっかけは,マスコミの煽りでした。そして,エコナも似たような感じ。

ラウリル硫酸ナトリウムについての話も,一次情報がどこかでねじ曲がって宣伝に悪用されている状態。

それぞれ,何かしらの問題やハザードが存在する可能性が理論的にあるのは事実です。特に放射線絡みのハザードは非常に甚大なものが予想されます。でも,今現在放射線による汚染が広がっているのかと言えばそんなことはないわけす。三陸の海も青森の大地も今もきれいなままなわけですから,「青森県産品を食べたら死ぬ!」とか叫ぶのは,明らかにアウトなわけです。

もちろん「エコナを使っていたら,がんになる」なんて宣伝するのもアウトと認定されるでしょう。

世の中嘘をつかずに,間違ったイメージを植え付けるのに長けた人たちが非常に数多くいます。

先日の記事の著者も,嘘は言ってませんが,すべてのデータを紹介しないことでエコナが強い発がん性を持っているようなイメージを植え付けることに成功しました。

また,花王は1,3-DAGを主成分とすることで中性脂肪が合成されにくくなり,「太りにくくなる可能性がある」だけのものを,宣伝を上手に使うことで「エコナを使うとやせる」という間違ったイメージを植え付けるのに成功しました。

以前なら,この手の情報操作は操作の事実すら発覚することすらなく行われてきたわけですが,今はインターネットという非常に優れた情報検索ツールが存在します。意志と時間があれば,非常に多くの一次情報に接することが出来ます。多少の資金があれば,さらにその幅は広がります。

判断に何か迷いが生じたら,できるだけ一次情報に近い情報を探す。これだけで,ずいぶん騙されにくくなるんじゃないかと思います。

<追記>
経済の世界でも,同じようなことが起きてるんですね。と思わされたエントリ。

「弱者をダシに使って、自分がカネや権力を得る」というビジネスモデル(Zopeジャンキー日記)

このエントリで語られているのと同じ構図を理系な分野でやると,ああいう記事になるんだろうなと,すごく納得させられました。

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雑談 | 18:42:26 | Trackback(0) | Comments(6)
続・DAG(ジアシルグリセロール)はどのくらい危険なのか(続々々・エコナはどのくらい危険なのか)
いろいろあって心が折れかかったんですが,単なる娯楽のために悪者にされたのでは関係者はさぞ無念だろう,と言う思いで引き続き更新をすることにしました。

長すぎる文章ばかりで,みなさんの読む気は確実になくなるだろうとは思いつつ,自己満足だけで続けます。

今回も当然2009年9月2日に開催された「食品安全委員会新開発食品(第63回)・添加物(第76回)合同専門調査会」において提出された資料1:「高濃度にジアシルグリセロールを含む食品の安全性について」 -中間取りまとめ-(案)[PDF]の内容を解説する形で話を進めることにします。

さて,前回は「ジアシルグリセロールの発がんプロモーション作用に関する研究(試験A)」(p.15)の説明をしました。この研究と同時期に行われたのが,「ジアシルグリセロール(DAG)の大腸がん促進作用試験(試験B)」(p.18)と「DAG油の中期多臓器発がん性試験(試験C)」(p.20)です。ちなみにこの試験Cが,こちらの記事で花王が隠蔽していると主張しているDIMS医科学研究所で行われた実験だと思います。もちろん複数のイニシエーターが投与され,発がんが人為的に誘発された条件で実験されています。

ちなみに試験Bは試験B-1「DAGのアゾキシメタン(AOM)誘発ラット大腸のアベラントクリプトフォーカス(ACF)形成に対する影響」と試験B-2「DAGのApcノックアウトマウス(Minマウス)における腸ポリープ形成に対する影響」の二種類で構成されています。前者は,イニシエーターにより大腸がんを誘発されたラットを用いたDAGのプロモーター作用について調べられています。また,後者は遺伝的に加齢と共に高トリグリセリド血症を発症し,腸ポリープが自然発生するような血統のマウスを使って,DAG油が腸ポリープ発生を促進するかどうか調べています。

この結果,試験B-1においてDAGを大量に投与された群で,発がんの兆候であるACFを構成するアベラントクリプト(AC)について,ACF一個あたりのACの数が減少しているという結果が出ました。これは,DAG油の大量投与によって,発がんの兆候であるACFの増殖が抑制されたことを意味しています。これは,DAG油により血清中のトリグリセリド濃度や遊離脂肪酸濃度を減少させた結果ではないかと報告書(第1回新開発食品・添加物専門調査会合同ワーキンググループ資料2-1:ジアシルグリセロールに関する報告書その2「ジアシルグリセロール(DAG)の大腸がん促進作用試験」[PDF])には書かれています。ようするに,DAG油を摂取していた方が大腸ガンになりにくそうな結果が出ていると言うことですね。もちろん有意差は出ていないので,なんとなくそれっぽく見えたレベルです。断言なんて出来ません。誤解の無いように。

なお,試験B-2においてはDAG有りと無しでは有意差が出ませんでした。

さて,懸案の試験Cですが,確かに先ほどの第1回ワーキンググループのページでは資料が公開されていません。中間とりまとめの中でも取り扱いは非常にあっさりしたもので,大腸についてDAG油低容量群と中容量群で腫瘍性病変の発生頻度が高い傾向を示したが有意差は見られず,DAG高容量群では対照群と同程度の発症頻度しかなかったこと。そして,他の臓器ではDAG油に関連した腫瘍性病変の増加は認められなかった,とだけあります。やはり都合の悪いデータは隠蔽されているんでしょうか。

もちろんそんなことはありません。前々回のエントリでご紹介した通り,この研究の成果は論文として一般に公開(Food and Chemical Toxicology 2008; 46: 157-167)されています。理系大学の学生の方であれば,図書館で入手できると思います。自分の大学でこの雑誌を取っていなくても,数百円も出せば他の大学から取り寄せることが出来ると思います。たぶん一般の方でもその気になれば大丈夫なはずです。というわけで,無事私も入手することが出来ました。

ということで,さっそくこの論文を読んでみました。

一応最初はまじめに全文読もうかと思っていたんですが,とりあえず最初に先ほどの記事に取り上げられていた部分に目を通してみました。すると非常に面白いことがわかりました。このような衝撃を受けたのは,電磁波の話を調べた時以来でしょうか。

記事中

腎臓では、ガンの一種である腎芽細胞種で、TAG群が19匹中12匹なのに対して、DAG低用量、高用量で20匹中19匹。また膀胱の尿路にできる移行上皮ガンでもTAG群が0匹なのに対してDAG低用量で5匹、高用量6匹と有意差が出ている。


という記述があります。ここだけ読むとDAG油によりガンが明らかに増加しているように感じますね。確かになんか怖いです。こういう事実を隠蔽しようとしている花王や厚労省に憤りを感じてしまいます。

しかし,論文上で公開されているデータ(p.162-164, Table6)を良く読むと,確かに抜き書きされているデータは正しいのですが,その他にもたくさんデータはあるのです。

たとえば腎芽細胞種の場合,中性脂肪を摂取していない群で18匹,5.5%の高リノール酸TAGで17匹,高オレイン酸TAGで13匹,中鎖脂肪酸TAGで15匹が発症していると書かれています。

同様に移行上皮ガンについても,確かに5.5%TAG群の発症は0匹ですが,中性脂肪を摂取していない群でも4匹,5.5%の高リノール酸TAGで8匹,高オレイン酸TAGで6匹,中鎖脂肪酸TAGで3匹が発症しているのです。これではとてもじゃないですが,DAG油ががんの発生を促進しているなんて口が裂けても言えるわけがないですね。これらの全データが提出されたワーキンググループでも,さほど重要性を感じられることなく流されたのは当然かと思います。

それにしても,せっかく一般に公開されていないデータを入手できたのに,そんなせっかくのチャンスを持てたのにこの記事の著者である植田さんは

このような恣意的な抜き書きをして,
何をしたかったのでしょう??


せっかく真実により近づける立場にあるのに,どうしてこんな真実から人々を遠ざけるような無駄なことをわざわざしてしまっているのでしょうか。ある意味ジャーナリズムの対極とも言うべきこの態度は,非常に理解に苦しみます。

…………,嘘です。ごめんなさい。あまりに意図がわかりやすくてあきれてしまいました(--;;;;;

このことに気がついた瞬間に,これ以上論文を精読しようという気力が失せてしまったことを,勘弁していただけますでしょうか?ちなみにざっとこのTable6や他のデータを見回しては見ましたが,とても有意差が出ていると言えるような結果はありませんでした。そりゃあ,中間とりまとめの方もあれだけあっさりした要約になるはずです。

まぁ,きっと植田さんも全部のデータを眺め回したはずですし,それにも関わらずあの程度の部分を抜き書きすることでしか煽れなかったんですから,当然かもしれません。

というか,元データを見られた瞬間にすべてのロジックが崩壊してしまうんですから,専門家相手にはこんな煽りは絶対通用しません。明らかに元データにアクセスできない一般の方を狙った手口ですね。個人的には,意図的にやったとしたらかなりたちが悪いという印象を持ちました。正直軽く怒ってます。もし意図的ではなく,本気でこの程度の情報しかあのテーブルから抽出できなかったのだとしたら,こういう分野について文章を書くのは止めた方がいいです。明らかに向いていません。別の分野の記事を書くことに専念することをお勧めします。って,ひどい言いぐさですね。あまりに人間出来てないです>私。

以前のエントリで私が「花王を擁護したいだけじゃないのか」というようなコメントを下さった方がいらっしゃいましたが,このような大企業を批判して小金を稼ぎたいだけの理不尽な批難」と戦うためであれば,いくらでも擁護したい,というのが今回一連の研究を調べた上での感想です。

この後も,遺伝子組換えラットによる誤判定を防ぐために,さらに条件を精査した研究が繰り返されていますが,もう解説の必要もないでしょう。すべての結果は日常におけるDAG油の使用が,発がんを促進するようなことはないであろうという結論に向かっています。そして,これらの結果を元にして食品安全委員会はDAG油についての最終見解を出す予定になっています。

確かにグリシドール脂肪酸エステルという予期せぬ因子が突然出てきたりはしていますが,最初のエントリでも書いた通り,普通に考えればグリシドールが人体に害を及ぼすためには,数々の大きな障壁を乗り越える必要があります。ですから,きちんとした評価法さえ確立できれば,この疑いも晴れるでしょう。

誰でも名前を知っているような大企業がミスをすれば,なんとなく「ざまあみろ」という気分になるのかもしれません。国がミスをしていると思えば,溜飲が下がるのかもしれませんし,大企業や国,官僚などは非常にわかりやすい悪役になれる素質を持っているのかもしれません。

しかし,人間が常に過ちを犯さずに何の失敗もしないなんて事がないように,大企業や国が常に過ちだけを続けているわけもないのです。

つまらない煽りに惑わされることなく,冷静に判断する目を持ち続けたいものです。

というわけで,かなり長くなりましたが,エコナ絡みの話は今回で終了したいと思います。

ご意見・ご質問などありましたらお気軽にどうぞ。

さて,次は時間の話をするお約束でしたでしょうか。まぁ,誰も待っていないと思いますが(^^; 今回以上に自己満足なエントリになるのは確実ですので,このブログもまた元のように静かな状態になるかと思います。

でも,もしご興味があればどうかよろしく。

テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

気になる化学リスク | 22:27:51 | Trackback(0) | Comments(7)
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