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ぷろどおむ

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元サッカー少年。今はしがない化学屋です。

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ラウリル硫酸ナトリウムはドイツで使用禁止にされている?
というような情報をこばんさんという方からコメントでいただきましたので調べてみました。

素人が読んだらラウリル硫酸ナトリウム、プロピレングリコール、エデト酸塩などは安全と思うかもしれませんね。
残念な事ですが確かに日本では安全基準を満たしているので、問題無い成分として許可されていますが、環境に厳しいドイツでは、使用禁止成分とされています。


とりあえずGoogleで「ラウリル硫酸ナトリウム ドイツ 禁止」として検索してみましたところ,確かに同様の情報を書いているページが多数引っかかってきます。でも,少なくともプロピレングリコールはドイツでも禁止されていないと主張しているページもちらほら見られます。

ただ残念ながら,どのページも一次情報が全く示されていないので埒があきません。ということで,一次情報に近づけるようにがんばってみました。

まずヨーロッパにおける化学物質の管理といえば,最近話題のREACH(化学物質の登録、評価、認可及び制限に関する規則)があります(概要(社)OECC:海外環境協力センター提供PDF)。ですが,こちらの肝となる高懸念物質(SVHC)のリストはまだ確定されたものではなく,現在議論が行われている最中です。というわけで,たぶんこの話とは直接関係ないでしょう。

次にドイツの状況を調べてみると,どうやらドイツでの化学物質関連を扱う法律としては「化学品禁止規則および危険物質規則」というものがあるようです。日本語訳も販売されているようですが,一般価格が一冊2万円ということでちょっと手を出しにくいです(^^;

で,この法律の名称はドイツ語だと「Chemikalienverbotsverordnung 略称:ChemVerbotsV」と言う事が何とかわかりました。この法律はEUにおける化学品関連の法規を国内法化する(要するに,今後はREACHコンパチになる)だけでなく,それよりもきびしいドイツ独自の規制を含むものらしいので,たぶんこれでしょう。

というわけで,これで検索してみると,どうやら一次情報に近そうなサイトにたどり着く事ができました。

ただ,当然のようにドイツ語なのでちょっと厳しいですが,がんばって読んでみると,どうやらこのAnhang(附則?)と言う部分に具体的な物質名などが上がっているようです。しかし,ここにはこばんさんがあげていた三種の化合物名は直接出てきておりませんでした。

おそらく該当するとすれば「ChemVerbotsV Abschnitt 20: Krebserzeugende, erbgutverändernde und fortpflanzungsgefährdende Stoff(発癌性,変異性,有害物質(?)」の項だと思われますが,ここにあげられている具体的な化合物リストの中にもこの三種は含まれていません。

仕方がないので,IARC(国際がん研究機関)の発癌性物質リストも調べてみましたが,やはり該当しておりません。

そこで,一度初心に戻って日本の化学安全情報をまとめている(社)日本化学物質安全・情報センター(JETOC)のホームページを辿ってみたところ,OECD:高生産量物質スクリーニング用データセットのための初期評価プロファイルと言うページを見つけ,やっと欧州ベースの該当三物質に関するデータを得る事ができました。

厳密に言うと,OECD(経済協力開発機構)は欧州だけの団体というわけではありませんが,ヨーロッパが主体となっている団体であることは間違いないので,この辺で勘弁してください。それぞれのデータはPDFで提供されているのですが,一部を抜粋して紹介します。

プロピレングリコール(CAS: 57-55-6)
プロピレングリコール(PG)は急性毒性を持たない。経口LD50の最低値は5種類の生物で18~23.9g/kgであり、皮膚LD50は20.8g/kgと報告されている。PGは皮膚に対して基本的に刺激性を持たず、眼に対しては軽度の刺激性を持つ。多くの研究がPGは皮膚感作物質でないことを裏付けている。(中略)
1組のin vivo試験(小核、優性致死、染色体異常)とin vitro試験(細菌、哺乳動物細胞、培養)により明らかにされたところによれば、PGは遺伝子毒性物質ではなかった。PGをラットの飼料に添加して投与したとき(2.5g/kg体重/日で2年間)、または雌ラット(100%PG;総投与量は報告されていない;14ヶ月)またはマウス(マウスへの用量は約2g/kg体重/週と推定された;生涯)の皮膚に塗布したとき、検査したすべての組織で腫瘍の増加は認められなかった。これらのデータはPGに発がん性が無いことを裏付ける。 (後略)

ということで,プロピレングリコールに毒性があるという指摘は全くありません。

次はEDTAです。

エデト酸(EDTA) (CAS: 60-00-4)
EDTAは強力なキレート剤であり,その毒性学的プロファイルは主にこの特性に基づいている。腸からの吸収は少なく(5%)、主に錯体の性質に依存している。皮膚吸収は非常に少ない(0.001%)。(中略)
EDTAの生理学的活性は金属代謝の障害による。亜鉛やマグネシウムのような二価の金属イオンが生体から排出される。
動物データから,急性経口毒性は低いことが示される急性皮膚毒性に関するデータは入手できなかった。急性吸入毒性に関するデータをリスク特徴解析に使用するには適切ではない。皮膚刺激は弱いが、眼に対する刺激作用が見られた。(中略)
EDTAの発がん性については懸念が無い。(中略)EDTAとそのナトリウム塩の遺伝毒性の結果は矛盾しており,したがって遺伝毒性を確実に評価することができない。(中略)
欧州連合ではH4EDTA当量にして53,900トン/年のEDTAが製造されている。

ということで,EDTAについては,OECDは今後「Ca-EDTAの魚類による長期試験」とヒトの健康に関するリスクアセスメントを実施するために「Magnusson Kligmanテスト」や 「in vivo小核試験」などをすることを勧告していますが,とりあえず発癌性については否定されているようですし,欧州でも大量に生産されている化学物質のようです。また,ESIS(European chemical Substances Indormation System)から検索できるリスクアセスメントの報告書では,ドイツの研究機関がリスク上問題がないという報告を出しているようです。

最後にラウリル硫酸ナトリウムです。

ラウリル硫酸ナトリウム(=ドデシル硫酸ナトリウム,SDS)(CAS: 151-21-3)
SIDSに報告された影響およびばく露データの初期評価に基づくと,本物質のヒトと環境に対するリスクの可能性は低いと考えることができる。
SDSの生産量はドイツで約10,000トン/年であるSDSは洗剤,分散剤,化粧品,洗面用化粧品に界面活性剤として使用される。SDSは「容易に生分解される」,「生物蓄積が少ない」と分類される。(後略)

え~と,ドイツで大量に生産されて使用されているみたいなんですが(^^;;;;;;;;

ということで,結構がんばってみたんですが,私にはこの三種類の化合物がドイツで禁止されているという事実,およびその根拠となる法令などを見つける事ができませんでした。

というわけで,どこかにドイツで禁止されているという話の根拠になるような一次情報をご存じの方がいらっしゃいましたら,御連絡いただければと思います。

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テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

気になる化学リスク | 12:12:54 | Trackback(0) | Comments(4)

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