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ぷろどおむ

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元サッカー少年。今はしがない化学屋です。

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タミフルと異常行動の関連性
先日タバコ枠組み条約の話を書いたところ,興味を持ってくださった方が非常にたくさんいらっしゃったようで本当にありがとうございます。一応気をつけてはいるつもりですが,何か間違ったことを書いているようでしたら,遠慮無くご指摘いただければと思います。

さて,本日は今日報道されたこのニュースから。

タミフル:服用「異常行動出ず」…臨床試験の結果報告(毎日新聞)
(前略)心電図試験は20~51歳の健康な男性11人を対象に分析。タミフルと偽薬を服用した後の夜間心電図を比較したが、タミフルの影響は認められなかった。

 睡眠に関する試験は、服用後の異常行動が睡眠障害に似ているとの指摘を受けて実施。20~24歳の男性31人を対象に睡眠時の脳波などを調べたが、タミフル服用後の脳波の異常などは認められず、睡眠中の異常行動もなかったという。(後略)


もっとも,この試験を行ったのが中外製薬自身と言うことで,「こんな試験には意味がない」と叫ぶ人多数なんだろうな,と容易に想像できるところが非常に残念だったりします。

ですが,そもそもこのタミフル騒動自体が,科学的には本当に存在するのかどうかもわからない事象であることを,我々は知っておくべきだと思います。この問題は,現在のところ疫学的に有意であるのかどうか,そもそも問題が存在しているのかどうかすらまだ定まっていない話です。にも関わらず,いつものようにマスコミがセンセーショナルに騒いでいる,という一面があることにも我々は注意をする必要があります。

さらにいえば,タミフルは間違いなくインフルエンザに良く効く薬である」という揺るがしがたい事実をどう捉えるべきか,と言う問題があるわけです。

その辺りを考える上で参考となる資料に,過去十年間におけるインフルエンザ感染者数の統計というものがあります。

このグラフを見てみますと(微妙に見にくいのであれなんですが),いくつか興味深いポイントがあります。

タミフルによる異常行動の疑いが最初に大きく報道されたのは,2005年11月(元記事は検索できなかったので引用されているところをご紹介)のようですが,被害者の会結成が2006年7月,本格的に話題になったのが2006年の年末から2007年初頭にかけてで,厚生労働省が10代へのタミフル投与を見合わせるように指導したのが2007年の3月です。

実際には,厚労省の指導前からタミフルバッシングと言わんばかりの報道合戦が繰り広げられ,自発的にタミフルの投与を中止する医師や,拒否する親などがいたわけです。

そういう経緯を思い出してから先ほどのグラフを見ると,2007年分のグラフの形が他の年と比較すると非常に異なっている点が気になります。例年であれば1月から2月に来るはずのピークが,なぜか3月の終わり頃に来ており,タミフルの投与を見合わせる人たちの増加に伴っているのでは?と類推したくなってきます。また年末の感染者数増加の立ち上がりが,例年とは比較にならないくらい早くなっているのも2007年の特徴です。2007-2008シーズンの感染者数が結果的にそれほど増加しなかったことと合わせると,ちょっと興味深い動きです。

もっとも感染者数自体を見れば,タミフルが積極的に投与されていた2003年から2006年と比較しても比較的少ない方であったので,一概にタミフル非投与による悪影響という判断はしかねるわけですし,そもそもたった一年だけを見てどうこう言うのはあまりに無茶すぎる話なわけです。ですが,やはり気になる動きであるのも確かです。

個人的には,インフルエンザの感染力,インフルエンザ脳症に対するリスク,あるいは鳥インフルエンザ対策への影響などを考えると「ここでタミフルを悪役にしてどうするんだ!」と思ってしまいます。なので,この議論をする上では中立性を欠いている気がしないでもないのですが,そもそもまだはっきりとわかっていないインフルエンザ脳症の発症システムにも関連している話でもあります。ですから,単純にタミフルを悪者にすれば良いという話ではないことを十分理解した上で,議論すべき問題だと思います。

実際,この話で一番気になるのは「今シーズンは,インフルエンザ発症後異常行動を起こした子供はどのくらいいたのだろう」という点なのですが,どうだったのでしょうか。今年1月に書かれたこちらの記事によりますと

インフルエンザにかかった子供が突然不可解な言動を起こすことがある。こうした「異常行動」を起こす時間が数分以内と短く、これまで重視されてこなかった。

 しかし、2005年にインフルエンザ治療薬タミフルの副作用で生じる疑いが指摘され、注目が集まった。厚生労働省研究班が先月公表した患者約1万人の調査で、うわごとなど軽い異常行動まで含めると、インフルエンザと診断された子供の6~7人に1人の割合で起きていた。


とのことですが,今シーズン(2007-2008)はどうだったのでしょう?

もちろんタミフルだけが悪いのであれば,タミフルを禁止するだけで話は済むわけですが,タミフルだけを悪役にしてしまうことで別の原因が見過ごされ,「飲んでないから大丈夫」という油断を産んでしまうのでは意味がありません。また,ただの風邪とインフルエンザを同一視して「ちょっと酷い風邪と一緒だから薬なんか飲まなくてもいいんだ」などとしてしまっては,本末転倒も甚だしいわけです。

インフルエンザそのものと,異常行動による犠牲者が少しでも減らせるように,一日も早い詳細解明と,冷静な対応・判断が行われることを願っております。

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テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

気になる化学リスク | 17:33:38 | Trackback(0) | Comments(0)

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