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ぷろどおむ

Author:ぷろどおむ
元サッカー少年。今はしがない化学屋です。

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「アポロ&ポセイドン計画」について
なかなか論文をちゃんと読む時間が取れないので,mixiに書いた日記を一部変更して転載。

mixiニュースで取り上げられていた「君は「アポロ&ポセイドン計画」を知っているか」というコラム。一見すばらしい夢の計画のように見えますが,どうなんでしょう。

確かにこれだけのエネルギーが確保できるのはすばらしいことかもしれませんし,ぱっと見実現の可能性もそれなりにありそうに見えます。でも,あまりに夢物語過ぎますし,どの程度深く検討されているのか,不安に思う部分もいくつかあります。

不安要素の一つ目は,そもそも大量にホンダワラを養殖することによって生態系にどのような影響を与えるのかと言うことがどのくらい検討されているのか?という点です。

畑や雑木林(いわゆる里森)のように,一度人間が手をかけた環境は永遠に人間が手をかけ続けなければ,その環境を維持することは出来ません。人間の介入が極めて重要なファクターとして働くことにより,既存の生態系を変化させてしまったのですから,当然です。

人間が一切手を出さないことが自然保護であると誤解している人が多いのですが,その論理が通用するのは有史以来人の手が入ることの無かった原生林のような環境だけです。いったん人の手が入ることにより,生態系が変化させられた環境は,人間の介入無しにその生態系を維持することは不可能です。 何百年,何千年というスケールを経ることにより,新たな原生林として新しい生態系が構築される可能性もゼロではありませんが,生態系のバランスが崩れきって崩壊してしまう可能性の方が高いというのが実情です。

現実問題として,今の日本では林業関連の人材不足や,無知な環境保護団体の横やりにより間伐材を利用した割り箸生産などの産業が崩壊してしまったため,伐採を初めとした手入れが不足しています。そのため,手入れ不足を原因とする森林生態系の異常が日本各地で起こっています。より制御しやすい陸上においてもこうなのですから,作業や観察が難しい海中に対し,今後人間が介入し続けられるのかどうか,そしてその覚悟があるのかどうか非常に不安です。

不安要素の第二としては,この計画の基本部分の計算がかなり微妙な点です。

養殖棚を使って養殖するんでしょうが,我々がもっとも日常的に利用している海藻であるワカメですら,平成17年度の養殖生産量は64,000トンです(参考)。それに対しこの記事ではホンダワラの生産量を「6500万トン」と語っているわけですから,どれだけばかげた量かはおわかりかと思います。

がんばってワカメと同程度の生産をすれば,年間2万キロリットルのバイオエタノールと国内の原発で使用する量の4%に当たる1950kgのウランが得られるかもしれませんが,この量はコスト的にペイできる範囲のものなのでしょうか?また,前述したように生態系を大きく変動させたコストに見合うベネフィットと言えるのでしょうか?

さらに,すっかり忘れているか,あるいは想像もしなかった人が多いと思いますが,「海が海藻に与えてくれる栄養は有限」です。近年海洋栄養塩が減少したことによるワカメの品質・生産量低下が問題視されています(参考)。このような現状があるにもかかわらず,さらに生産量を倍どころか,1000倍に増やすという。そんな負担を海にかけることが可能なのでしょうか?

栄養塩の減少は,当然魚類の餌となるプランクトンの減少を招きます。分散の少ない土壌であれば,人工的に栄養分を補填することによる作物の連続育成がコスト的にも充分可能ですが,多少栄養塩を補填してもすぐに拡散してしまう海洋で同様のことが可能でしょうか?非常に疑問です。というか,不可能だと思います。

地球温暖化による生態系への影響を防ぐために,もっと激しく生態系をいじるのは本末転倒というか,ただの愚行としか思えません。

環境問題は切実だから!と拙速を尊ぶ人が世の中多いようですが,私はどうしてもその様な考え方には賛同できません。真の意味での環境保護は,目先の問題に囚われない,もっと長期的で考え抜かれたプランこそが必要なのだと思います。


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テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

気になる化学リスク | 12:12:15 | Trackback(0) | Comments(0)

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