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ぷろどおむ

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元サッカー少年。今はしがない化学屋です。

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疫学:定義と研究デザイン
さて,お約束の疫学の話です。

最初に断っておきますが,疫学は私の専門ではありません。ですので,どちらかというと皆さんと一緒に疫学を勉強していこうというスタンスでしばらく続けていこうかと思います。このような状況ですので,あいまいな記述や不正確な記述があるかと思います。識者の方からのご指摘を歓迎いたします。

では,まず疫学の定義から。

Wikipediaの記述によりますと,その定義には諸説あるようですが,まぁ一番妥当かな?と思われる国際疫学学会の定義を見ますと「特定の集団における健康に関連する状況あるいは事象の、分布あるいは規定因子に関する研究。また、健康問題を制御するために疫学を応用すること。」なんだそうです。ややこしいですね(^^;

簡単に言うと,ある特定の地域とか集団で流行病などの病気が発生した時,その病気が発生した原因とか感染経路なんかを探り出すこと。そして,その探り出した原因や経路を利用して,さらなる感染を防いだり治療を行ったりするための学問を「疫学」と呼ぶと言うことです。

もちろん疫学は科学の一分野ですから,その研究手法も科学的な手順に乗っ取って行われています。つまり「観察」「仮説立案」「検証」です。この三点,特に「検証」の部分をどのように行うかという大まかな道筋を「研究デザイン」などと呼びますが,疫学の場合大まかに「記述研究」と「実験研究」の二つに分けられます。そして,それぞれ以下のような研究デザインが使われる場合が一般的です。

記述研究
横断研究デザイン:ある集団に対して(1)対象としている因子(電磁波とか)に暴露した経験があるかどうか,(2)対象としている事例(健康被害など)を経験したかどうか,を同時にインタビューして調査します。この手法は,研究対象者にも研究者にも負担が非常に少ないのですが,その反面対象者の曖昧な記憶に頼る必要があること,因果関係や交絡バイアスを立証することが原理的に不可能であること,さらに罹患者ー有病者バイアス(早期に死亡した人や,暴露した証拠のない人が除かれやすい)が起こりやすいなどの様々な問題を抱えています。また,結果的に各群のサンプル数が大きく異なる可能性が高く,その場合統計の有効性が下がってしまいます。

生態学的研究デザイン:地域的な格差などを人口統計データなどを元に調査します。そのため,対象群の中にある変数に対応する人がどのくらいいるのか,ということに対する詳細なデータを得ることができますが,それぞれの変数に対応する人がどのくらいかぶっているのかという個人のデータが得にくく,調査対象としている各変数間の関連性を掴むことが非常に難しくなります。

コホート研究デザイン:「分析研究」と分類される場合もあります。対象としている要因に暴露している群(暴露群)としていない群(非暴露群)をわけ,それぞれの群の中で,対象としている事例が起きたかどうかを調査します。特に現時点で分けた各群を追跡調査することを「前向きコホート研究」,過去のある時点で分けた各群を現在に向かって調査することを「後向きコホート研究」と呼び,一般的にこの「前向きコホート研究」がもっとも信頼性が高いとされています。しかし,未知の交絡バイアスの存在が否定できるわけでもありませんし,対象者と評価者の間でいわゆる盲検化を達成するのも難しいです。また,最大の問題として調査にコストと時間がたくさんかかるため,早急に結果を出すことが難しく,すべての調査にこの手法を用いることは困難です。

症例対照研究デザイン;コホート研究デザインと同様に「分析研究」と分類される場合もあります。ある事例を経験した群と経験していない群に分けたのち,後ろ向きに暴露と非暴露を調査します。コホート研究デザインと比較すると,かなり容易に行うことが可能ですが横断研究デザインの場合と同様に暴露経験の有無を対象者の曖昧な記憶に頼る必要があることや交絡バイアスが存在する可能性が高いことを否定できません。また,この研究の最大の問題点として想起バイアスの存在があります。これはその暴露が自分の経験した事例の原因であるという仮説を調査対象者が知っていた場合,記憶がねじ曲げられる可能性があると言うことです。これは,調査結果に対して大きなずれを生じさせる原因となります。

実験研究
無作為化比較試験デザイン:集団を無作為にある処置(もしくは暴露)を与えた群と与えない群にわけ,その後の経過を追跡調査します。交絡バイアスも起こりにくく,統計調査もしやすいですがコストや時間がかかるのはもちろんのこと,倫理的な問題が生じやすい(有効な治療を受けられない群,もしくは危険な処置を受けなければならない群が発生する可能性が高い)という問題があります。

クロスオーバー研究デザイン:集団を無作為に二群に分け,ある一定期間をおいて処置群と非処置群を入れ替えます。これにより,集団全体が少なくとも一定期間の間有効な処置を受けることができる上に,各個人それぞれが対照群となりますので,データの信頼性が高まります。しかし,与えた処置が恒久的な影響を与えてしまうような場合(教育だとか,外科的な切除手術とか)にはこの手法は使えません。また,せっかく良好な反応を示していた患者などに対しても,その処置を中止しなければいけなくなります。

以上,疫学研究というものがどういう風に行われているかを見てみました。なお,どうしても必要だったので,「○○バイアス」などという言葉を説明無しに使っています。これらの「○○バイアス」の正体とは,いや,そもそも「バイアスって何だ?」という辺りは次回説明します。実は,このバイアスこそが,我々が疫学研究の成果を理解する鍵です。

なるべく早く書こうとは思っていますので,もう少々お待ちください(^^;


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テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

雑学 | 13:04:54 | Trackback(1) | Comments(0)

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