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ぷろどおむ

Author:ぷろどおむ
元サッカー少年。今はしがない化学屋です。

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バトルを挑まれてしまいました(^^;
え~と,だいぶ前に書いたエントリ「苛性ソーダが手につくとぬるぬるするのは??」に疑問を持たれた方がいらっしゃったようなので軽くフォローを。

>皮膚の表面はタンパク質はないと思う。皮膚細胞の表面に、酵素であるタンパク質がむき出しになっているわけがない。

まず最初にタンパク質は酵素だけじゃないです(^^; 理科の先生か何かをされているようなのでもしかするとご経験があると思いますが,皮膚に硝酸がついて黄色くなったことはありませんか?あれが有名な「キサント・プロテイン反応」という奴です。このとき硝酸は何と反応してるかというと,主に皮膚の角質層に存在するケラチンなんかと反応しているわけです。苛性ソーダが反応しているのもその辺ですね。

>じゃあなにかい?美人の湯と言われる熊野龍神温泉とか、あのアルカリ温泉のぬるぬる感は、皮膚細胞が溶けているってか?
>そんな人間を溶かすような温泉にだれがありがたがって入るんだよ!ええ!?


えっと,皮膚細胞というのがどの部分を指しているのかわかりませんが,通常最初に溶かされるのは表皮細胞と呼ばれる部分です。この辺は前述したケラチンを主体とした角質層がメインとなりますし,アルカリ泉程度ではその奥にある真皮細胞まで到達することはまず無いと思います。しかし,本来真皮構造を守ってくれる表皮細胞を何層かはぎ取る形になりますので,あがった直後はおっしゃる通りぬるぬるしてますし,泉質(pH)によってはあがった後に真水でしっかり流さないと後からひりひりしてくるんですね。pHが高めの温泉では,この辺についての注意書きがされている所も多いんじゃないか(少なくとも私が前に行ったところでは注意書きがありました)と思います。なお,この手の温泉が美人の湯と呼ばれるのは,アルカリ性の性質によりごわごわした角質層(そのものずばりケラチンのことですね)が溶かされて柔らかくなる=お肌がなめらかになるためです。つまり,アルカリが皮膚のタンパク質を溶かしてくれているからこそみんなありがたがっているんですね。

ただ,これはpHが9前後とかの弱いアルカリ性だからこの程度で済んでいるんであって,そもそもの話題である手作り石鹸で使っているような苛性ソーダ溶液の場合,処置を誤れば真皮細胞まで浸食されてしまう可能性が非常に高いです。さらに角質層で守られている皮膚でもその状態なわけですから,そこまで頑強に守られていない口内などの粘膜や眼球などについたら非常に危険ですので,苛性ソーダを扱う場合には眼鏡やマスクをつけましょう,と言うことを繰り返し提案させていただいているわけです。

>おめえ、化学屋って言ってる割には鹸化って現象、知らねえんじゃないのか?

えっと,このエントリ。そのものずばり鹸化を利用した「手作り石鹸」の話なので,一応それなりには知ってるつもりです(^^; まぁ,本当の専門ではないので本職の人たちには余裕で負けますし,きっと穴もたくさんあると思いますが(^^;;;;;;

>石鹸てのは、脂肪を水酸化ナトリウムが加水分解させて、3本の脂肪酸のカルボキシル基にナトリウムがつき、それが石鹸。副産物にできるのがあのぬるぬるの正体、グリセリン。

え~と………,これは細胞膜を構成する脂質二重膜が分解されてぬるぬるの原因になっているって言う話でしょうか??それとも皮膚表面にわずかに存在する皮脂が分解されてという話でしょうか?

でも前述しました通り弱い真皮細胞の細胞膜が直接外部からの刺激にやられないように,表皮はケラチンなどで角質層を作り内部を守ってているわけです。なので,アルカリにやられるとしたら,やっぱり角質層(=ケラチン)などが先ですね。そうでなくては困ります。もちろん皮脂は角質層の上に分泌されていますので,当然のようにアルカリ成分によって分解されていると思いますが,量が全然違います。だからこそ洗剤との相性によって「皮脂が奪われすぎて乾燥する」という悩みが生じるわけですね。特に苛性ソーダみたいな強いアルカリが直接皮膚についた場合なんて,皮脂成分はあっという間に分解され尽くしてしまいます。

確かに問題になってるエントリでは皮脂分の存在を無視した記述になっていたのは事実ではありますが,苛性ソーダが手についた時のぬるぬるは皮膚のタンパク質が溶けているから,ってのは本当です。どうぞご確認ください。また,まだ納得できないことがおありでしたら,私がわかる範囲で答えさせていただきたいと思いますので,遠慮無くご質問いただければと思います。


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テーマ:手作り石けん&手作りコスメ - ジャンル:趣味・実用

手作り石鹸 | 21:47:45 | Trackback(0) | Comments(7)
低線量放射線によるリスクについて
以前から書く書くと言いつつ書いていなかった低線量放射線によるリスクの話ですが,実は一回書いたけどブラウザが落ちて消えてしまったというのが真相でして(^^; 結構長文を書いていたにも関わらず全て消えてしまったのがショックですっかり更新をさぼってしまっておりました。


ところが先日週刊ダイヤモンドなる雑誌で『一般ゴミ同然の扱いで放出される原子力発電「放射性廃棄物」の恐怖』という記事が出たらしく,mixiでも話題になっていたので,いい機会なのでもう一度がんばって書き始めたわけです。なんですが,以前から拍手コメントなどを戴いていたmobanamaさんが,すでに詳細なエントリを上げていて,ぶっちゃけこの記事に関しては私がごちゃごちゃ書かなくてもいいかな?くらいの状態になってしまいました(^^;


ということで,クライアンスレベルというかくだんの記事についての話はmobanamaさんのブログを読んでいただくということで,それ以外についての低線量放射線によるリスクの話を少し。


低線量放射線によるリスクについて懸念を抱いている人たちがよく使っているのが,LNT(しきい値無し直線)仮説と呼ばれるものです。この仮説は,「放射線の被ばく線量と影響の間には、しきい値がなく直線的な関係が成り立つ」という考え方のことで,放射線の安全基準などを決める際に用いられる概念です。現在各種の線量限度等を勧告する国際団体である国際放射線防護委員会(ICRP)において改訂が勧められているICRP勧告最終改定案でもこの考え方が採用され,LNT仮説の元に様々な安全基準が定められています。しかし,この概念は現在のところ科学的・疫学的に実証されたものではなく,ICRPも「この仮説は放射線管理の目的のためにのみ用いるべきであり、すでに起こったわずかな線量の被曝についてのリスクを評価するために用いるのは適切ではない」としているものです。また,LNT仮説を元に安全基準を考えることにすら否定的な意見も出ています。ですから,あくまでも「仮説」でしかありえないものであり,取り扱いには適用できる範囲について十分な考慮を行うなどの注意が必要です。


しかし,現状はどうかと言うと,このLNT仮説を使って求めた微量放射線についてのリスクを金科玉条のように掲げ,鬼の首でも取ったかのように声高らかに叫ぶ例が後を絶ちません。私自身は,放射線の安全基準を考える上でLNT仮説を用い,より安全側に振った基準を設定するという考えには基本的に賛成いたします。しかし,LNT仮説を用いた上ですら十分に無視できると考えられる程度のリスクに対し,完全なるゼロリスクを求め続けるなどと言う意見には賛同しかねます。


なぜなら,元々低線量放射線によるリスクはLNT仮説を用いた場合ですら十分に低く,リスクマネジメント的な概念から言ってこれ以上のコストをかける必要性を感じられないからです。


たとえばLNT仮説が対象とする放射線被曝が人体に与える「確率的影響」の代表格であるガンによる死亡リスク係数は,低線量被曝の場合0.05/Svと見積もられています。つまり,クリアランスレベルである0.01mSv/年により増えるガン死亡リスク係数は0.05x0.01E-03=0.0000005,六ヶ所再処理工場の影響による増加分0.022mSv/年ですと0.0000011です。ちなみに一年間喫煙した場合増加する死亡リスク係数は0.0003,自動車事故による死亡リスク係数は0.0001と見積もられています。


また,一般的にこれらのリスク係数と一般市民の感覚の反応の対応表みたいなものがありまして,リスクマネジメントをする際に十分小さなリスクに抑えられているかどうかを評価するのに用いられていたりします。


個人の死亡リスク

社会全体の対応
0.001 積極的にリスクを下げようとする
0.0001リスクを下げようとする動きが生じる
0.00001通常はほとんど関心を示さない
 0.000001全く無条件でそのリスクを受け入れる


この表からすると,放射線関連のリスクがいかに過剰な反応を受けているかがよくわかると思います。


mixiで話題になった遺伝的疾病リスクについても,こちらのを見ていただければわかるとおり,世代あたり0.01Gy浴びたとしても増加するリスクは0.001%。自然発生的に存在する遺伝子疾病リスクと比較しても最大1/100程度の影響しか与えない小さな値です。また,ここで使われている0.01Gyという放射線量はシーベルトに換算するとβ線換算で10ミリシーベルト(内部被曝で問題になるα線換算だと200ミリシーベルトにあたります)です。日本人の平均寿命はだいたい80歳前後ですので,年間0.13ミリシーベルト(α線による内部被曝と考えれば年間2.5ミリシーベルト)浴び続けた場合に該当します。これはクリアランスレベルの年間0.01ミリシーベルト,六ヶ所の0.022ミリシーベルトよりも一桁高い値です。つまり,LNT仮説に当てはめてもクリアランスレベルから受けるリスク増加分は0.000077%六ヶ所の影響によるリスク増加分は0.00017%にしかなりません。しかも,現在までに行われた疫学調査や実験室での研究によれば,実際に生じるリスクはLNT仮説よりも低いことがほとんどのようですので,これよりさらに小さな値になるでしょう。


原爆というとんでもない大線量の放射線を浴びたケースでも,現在までのところ疫学的に有意な遺伝子障害の影響は明らかになっておりません。というか,現代社会では残念ながら低線量放射線よりもはるかに高いリスクを持つ要因が多すぎてわからないというのが実情です。食品中の残留農薬や大気汚染などがその代表格ですが,先ほども上げた喫煙によるリスクは低線量放射線によるリスクよりも非常に大きなものです。このような悲しい現状の中では,低線量放射線によるリスクなんて本当に小さなものです。逆に低線量放射線によるリスクが本当の意味で重要視されるような世の中になったら良いのにな,とさえ思います。


ちなみにLNT仮説の対極に位置すると思われる考え方が「放射線ホルミシス仮説」と呼ばれるものです。元々のホルミシス効果という概念は1978年に当時ミズーリ大学のトーマス・D・ラッキー生化学教授が著書の中で提唱したもので、「生物に対して通常有害な作用を示すものが、微量であれば逆に良い作用を示す生理的刺激作用」を指します。そして,このホルミシス効果が低線量放射線においても成立するとするのが「放射線ホルミシス仮説」と呼ばれるものです。


これに関しては電力中央研究所の原子力技術研究所放射線安全研究センターなどが積極的に研究を進めており,数多くの研究成果を公表しています。(参考:電中研ニュース401号「解明すすむ微量放射線の影響」(PDF書類))


もちろん,特に反対派と呼ばれる人たちがこのような成果を見たとしても「こんな電力会社の下部組織が出したデータなんか捏造だらけだから信用できるわけがない」と言う反応が大多数でしょう。私自身もこのような批判に対応するという意味以前の問題として,このようにたくさんの成果を上げているのに,一般に公表しているのはその概要だけで,詳細を知るためには論文誌を購入しないといけないというのは非常に不満です。一般の論文誌に掲載しているのであれば著作権などの問題で致し方ありませんが,内部の紀要に発表している分くらいは全文無料で公開すべきです。そうでなければ,一般の審査を通っているわけでもないわけですから,その信憑性を疑われても全く反論できません。例えば低線量放射線照射によりマウスの寿命が延びたと言っても,いったい何匹のマウスに実験をしてどのような統計処理を行ったのかなどがわからなければ,この研究所から得られたデータの信憑性を判断することができません。これでは,せっかくきれいなWebページをいくら作ったとしても,広報的にも何の意味もありません。本当に低線量放射線による健康影響は非常に少ない,もしくは健康に良い,などと主張したいのであれば,こういう部分から改善することが必要だと思います。


以上,低線量放射線によるリスクについてつらつらと書いてきました。前回書いた記事とは似ても似つかないようなものになってしまった気がするんですが,すでに詳細を覚えてないので比較のしようがありません(^^;<ぉぃ


しかし,基本的な考え方として必要以上に低リスクを望んでもコストがかかるだけでメリットがありません。コストをかけるのであればかけるなりのベネフィットが得られる,もしくは全体的にリスクが減少するようでなければ,コストをどぶに捨てるようなものです。どんなものでもコストはかけようと思えば,いくらでもかけられるものです。そのようなブラックホールにしないようにするためには,きちんとしたリスクマネジメントが必要なのです。


週刊ダイヤモンドの記事中で「クリアランスレベルを採用したのは,原発解体のコストを削減するためでけしからん(意訳)」などと書かれておりましたが,コスト削減の何がいけないのでしょうか??コストの増加は必然的に,我々の税金や電気料が無駄に使われることに繋がります。そして,それは確実に我々が得られるはずのベネフィットも減少させます。必要十分なリスク削減を図った上でのコスト削減は歓迎こそすれ,批判されるような問題ではないでしょう。


特にこの記事中ではさらっと流されていますが,放射性廃棄物が東海原発で1/3程度削減されるというのは非常に大きな意味があります。この辺の問題に関しては,こちらのコメントの方でも少し書いたとおり,そろそろ無視できない問題になりつつあるように思います。というわけで,次はこの話題で。



テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

気になる化学リスク | 14:40:50 | Trackback(1) | Comments(0)

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