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ぷろどおむ

Author:ぷろどおむ
元サッカー少年。今はしがない化学屋です。

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「経皮毒」とは??

拍手コメントの方に,こんなご質問をいただきました。



Q. 私は今経皮毒について調べています!企業が起こした経皮毒の事件についてご存知ではありませんか??


A. 少なくともそういう事例として確定しているものはないと思います。というか,そもそも「経皮毒」という言葉自体が一般的に認められた用語ではありません(^^;



Googleなどで検索するとたくさん出てくるようなんですが,実はこの「経皮毒」というのは,学術用語ではありません。確かに,様々な物質の毒性を評価する際に「経皮毒性」というものについての評価を行いますが,毒の分類上「経皮毒」という分類はないのです。


Googleで出てきたサイトなんかを見てみると,ラウリル硫酸ナトリウムはもちろんのこと,安息香酸ナトリウムやエタノールまで経皮毒扱いされているのには,正直びっくりしました。まぁ,水酸化ナトリウムなんかは毒かどうかはともかく,皮膚によろしくないのは当然だとは思いますが,要するに皮膚に刺激を与えるものは何でもかんでも「経皮毒」に分類されてしまうのかな?と言う印象です。


確かに,皮膚に付着することで炎症を起こすような物質はたくさんあります。しかし,それが体内に取り込まれて健康被害を引き起こすような化学物質がそんなにたくさんあるのか?と言えばかなり眉唾です。サイトによっては,皮膚から吸収されると代謝されにくいので健康に害を起こしやすいなどと書かれているわけですが,経口投与(口からその物質を体の中に入れること)すれば代謝される化合物が皮膚からの吸収だと代謝されない,と言うことは逆に言えば体の中の代謝系に入りにくい=体の中に広がりにくいと言うことです。


この理屈わかってもらえますでしょうか?


人間の体内には肝臓を代表格とする解毒システムが備わっています。また,経口投与だろうがなんだろうが,体内に吸収され体中に運ばれるためには血流に乗って運ばれる必要があります。そして,一度血流に乗って肝臓に運ばれればその物質が経口投与されたものだろうが,皮膚から吸収されたものだろうが,同じように処理されます。つまり,皮膚から吸収されると体外に排出されないと言うことが本当にあるのだとすれば,その物質は血流に乗って付着した皮膚近傍から体内に流通することなくその場にとどまっているのだと言うことになります。


だとすれば,そんな物質が体中で悪さができるわけがありません。できても,せいぜい付着した部分の皮膚に炎症を起こしたりする程度です。


さらに言えば,皮膚から吸収させると体外に排出されにくいという部分についても,どうやってその排出量を測定したのかという点が気になりますし,そもそもどうやって吸収量を確定したのかと言う点にものすごく疑問が残ります。


排出量は尿や血中に含まれる物質や代謝によって分解された物質の濃度を時間を追って測定し続けたりすればわかります。経口投与や静脈注射などの場合は体内に投入した量=吸収量と考えることができますが,皮膚に塗布した場合は皮膚上に残留した分を測定したりしても,体内にどの程度吸収したかは確定しにくいのではないでしょうか?物理的にはがれ落ちた分と,体内に吸収された分をどう区別しますか?体内に吸収された分の中でも,塗布した皮膚表面近傍に残留している分と,血流に乗ってよそに運ばれた分をどう区別しますか?


この手の研究についての論文を読んだことがないのでわかりませんが,たとえば「経口投与した場合には90%程度の量に相当する代謝物が尿中に検出されたが,皮膚に塗布した場合には10%程度しか検出されなかった。」というような表現があった場合に,本来であればこれは「差し引き80%以上が吸収されなかった」と考えても良いはずなのに「皮膚から吸収されると体内で80%も分解されずに残る」と誤解した,と言われても全く驚きません。もちろんこの辺は根拠となる実験データを見ないとどうにもなりません。でも,ざっと経皮毒に対して注意を喚起しているサイトを見たのですが,学術的な根拠を示しているサイトを見つけることができませんでした。もしその辺りの情報をお持ちの方がいらっしゃれば教えていただけると助かります。


市販のシャンプーや石鹸,ボディーソープなどが体に合わないという方はたくさんいらっしゃると思います。実は私もその一人です。


そういう話をすると,「手作り石鹸をぜひ」と勧められたりもするのですが,私の場合手作りだろうが市販品だろうがそもそもアルカリ性の刺激が一番悪いらしく固形石鹸はことごとくダメでした。いろいろ渡り歩いたあげく,低刺激を売り物にしている某大手メーカーのシリーズでシャンプー・リンス・ボディソープをそろえて10数年愛用しています。体に合わなかった時の苦しみを考えると,もうこれ以外のものを使う根性はありません。


ですが,それ以前の部分でそもそも使用量が多すぎたり,すすぎが不十分だったり,そもそも使う場面や使い方を間違っているために皮膚が荒れたりする例の方が圧倒的に多いのも事実です。


昭和30年代や40年代の社会的な意識が低かった時代ならいざ知らず,今どき安全や環境への意識の低い状態のままで存続できる大企業なんてありません。昔からよく名前を聞くような大企業が安全性試験にかけているコストや,そのために日夜働いている企業研究者の奮闘ぶりを知れば皆さん大いに驚かれることと思います。私としては,そういう努力を続けている大企業の製品と「安全な製品には動物実験も必要ありません」などと何を根拠に安全だと豪語しているのかわからないようなことを堂々と言ってのける企業のどちらを信用すると問われれば,迷うことなく前者を信用します。


ところで,幸いにも最近こうやって拍手コメントをいただくことが多くなってきたのですが,これって書いてる私は読めるんですけど,見に来ていただいている方々は読めないんですよね?というわけで,もしコメントをいただける方がいらっしゃいましたら,差し支えなければ一般のコメント欄の方にコメントをいただけると助かります。(特に今回みたいな質問などは)


あ,もちろんそれとは別に拍手をいただけるのは非常に励みになりますので,ぜひそちらの方も一つよろしくお願いします(ぉ


次回こそ,低線量放射線の話をしようと思います。



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テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

気になる化学リスク | 16:55:39 | Trackback(0) | Comments(10)

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