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ぷろどおむ

Author:ぷろどおむ
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「植物性合成界面活性剤」とは

またご質問をいただきました。



最近 エコ雑誌などで見かける「エコベール」という洗剤ですが「主成分をはじめ補助剤、香料までもが植物とミネラルだけでできている」というふれこみで雑誌の[素材:成分原料]というところには「ヤシ油、パーム種子油、サトウキビ、牛乳、キンセンカ、カモミール、レモン、かんきつ類、海水」と書いてありました。 「ラウリル硫酸ナトリウムが危険!」という情報を聞きかじったばかりの私はおーこれだ!と思って早速 雑誌の通販で申し込んでしまったのです。 そうしたら 今日立ち寄ったクリーニング店のパンフレットにエコベールが載っていて成分の欄に思いっきり「ラウリル硫酸ナトリウム」と書いてあったのを見て びっくり!!!です。 植物性合成界面活性剤とも書いてありました。 もうなにがなんだか 化学にさっぱりの私には何も分かりません。 どうか助けてくださいませ。



私不勉強でエコベールという製品を知りませんでした。なので,早速調べてみたところ,製品そのもののホームページからは詳しい成分表を見つけることができなかったのですが,「ラウリル硫酸ナトリウム エコベール」で検索して出てきたこちらのブログを拝見すると,確かにラウリル硫酸ナトリウムが成分中に含まれている製品があるようです。


これはどういうことかちょっと解説します。基本的に洗剤の原料となっている界面活性剤というものは油によく似た構造を持つ疎水性部分と,水によく溶ける構造を持った親水性部分を併せ持った構造を持っています。これは,いわゆる合成洗剤も石鹸も全く一緒です。


その中でも,枝分かれがしていない(直鎖)構造の炭素鎖を疎水基に持ち,カルボン酸を親水基として持つ高級脂肪酸とナトリウムやカリウムが結びついた「高級脂肪酸塩」と呼ばれる界面活性剤を特別に「石鹸」と呼び,その他の疎水基や親水基からなる界面活性剤と区別して呼んでいるという理解で間違っていないと思います。


石鹸は動物性の油脂を水酸化ナトリウムなどと反応させることにより容易に作り出すことができるため,かなり昔から使われてきたものです。そういう歴史的な事情により,他の界面活性剤と区別されています。これに対し,いわゆる「合成界面活性剤」と呼ばれるものは,疎水基や親水基に工夫を加え,硬水では使えないなどの石鹸の持つ欠点を克服することで,高い洗浄力や様々な機能を持たせていることを特徴としています。


合成界面活性剤の多くは安価な石油を原料として合成されていますが,今回話題になっている「植物性合成界面活性剤」と呼ばれるものは,その原料にパーム油などの植物から取れる油脂を用いているところに特徴があります。しかし,結局のところ原料が違うだけで合成の結果得られる洗浄成分が全く同じラウリル硫酸ナトリウムであるとすれば,


原料が石油由来でも植物由来でもラウリル硫酸ナトリウムの性質は全く同じ


ものです。


こんなことをいちいち書かれなくてもわかっているという方も多いかとは思いますが,もし石油由来のラウリル硫酸ナトリウムが経皮毒だとすれば,植物油脂由来のラウリル硫酸ナトリウムも経皮毒です。同様に,もし植物油脂由来のラウリル硫酸ナトリウムの生分解性が100%であれば,石油由来のラウリル硫酸ナトリウムの生分解性も100%です


化学物質の性質は,その化学物質そのものが持つ固有の性質であり,何を原料に合成されたかなどという氏素性には全く関係ありません。どうもこの辺に異論のある方が世の中多いみたいなんですが,これは厳然たる事実であり,厳密な物理法則に支配された世界での出来事です。なので,個人の感情や思想が入り込む余地は全くありません。


このような事情から,エコベールのような植物性合成界面活性剤を批判するサイトも存在します。このページの主張する石鹸の持つ優位性や合成界面活性剤の毒性などの部分にはいささか疑問の余地が残るのですが,植物性合成界面活性剤も有効成分が同じなのであれば,石油由来の合成界面活性剤と本質的には同一である,と言う見解には同意いたします。


もちろん,天然に存在する油脂が原料となっていると言うことで,たとえば二本鎖アルキル基のような生分解性の低い構造の界面活性剤は含まれていないとは思います。なので,一番のうたい文句となっている生分解性の高さについては正しいと思います(もちろん生分解性の高さ=環境負荷の低さ かどうかについては,議論の分かれるところではあります)ので,その辺りを気にして購入される分には良いのではないかと思います。また,ビルダーと呼ばれる洗浄助剤の成分についても同様に生分解性の高い成分のみを選んで使っている可能性も高そうです。しかし,今回のように「ラウリル硫酸ナトリウムを避けたい」という目的には,あまりあわない可能性が高いです。


以上のようなもので説明になりましたでしょうか?


というわけで,引き続きご質問などあればお待ちしております。



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気になる化学リスク | 15:58:11 | Trackback(0) | Comments(4)
コメントへのお返事

いくつかのエントリについてご質問をいただいたので,まとめてお答えします。まずは,このエントリ誤解なのか,ミスリードなのか その2 ~農作物中の放射性物質について)にいただいたコメントから。



安全派の主張はいつも政府の基準を持ち出すけど、そもそもその政府の基準自体が十分信頼に値するかという問題がありますよ。 



わりとこうおっしゃる方々が多いのですが,信頼に値しないという根拠は何なのでしょうか?まさか「政府が決めているから」と言うことではないと思いますが,おそらく



放射能には閾値はなく、浴びる量が少し増えればそれだけ危険が増すという話を聞きました。



という話から,「ちょっとの量の放射線でも危険である」という認識に一足飛びに行かれてしまったのではないかと類推しています。


確かに低線量放射線の人体に対する影響というのは十分に研究が進んでいない分野ではありますが,なぜ研究が進んでいないかというと,低線量放射線の影響だけを抜き出すのが極めて難しいという一点に収束していくのではないかと考えています。低線量放射線が影響すると言われている癌や白血病などには,原子力関連施設から排出される放射性物質の影響よりもさらに大きな影響を持つ様々な要因が世の中にあふれています。その中の一つは,もちろん自然放射線の影響です。


今までのエントリでも散々書いてきたとおり,我々はすでにある一定以上の放射線に被曝しつづけています。日本では,年間約1mSv,世界平均だと約2,4mSvほど自然放射線による被曝をしています。また,世界には年間10mSvの被曝をしている地域もありますが,疫学的に有意差のある健康被害が出ていると言う報告はありません。おまけに,現代日本における医療行為による被曝線量は1mSvを軽く超えています(CTスキャンを一回やったら7mSv程度被曝します)し,年間の平均変動幅も±0.35mSv程度あるわけです。


おそらく一番誤解されている原因がここなのかもしれませんが,一般人に対する線量限度1mSvという値は何の根拠も無しに設定されたのではなく,放射線防護の国際的基準を勧告することを目的として設立された国際委員会(非政府機関)であるICRP(国際放射線防護委員会)が,「自然放射線からの実効線量は非常に変動しやすいラドンによる被ばくを除き約1 mSv/年であり,海抜の高い場所や一部の地域では少なくともこの2倍であるということなどを考慮して1年間の実効線量限度を1 mSvと勧告している」という事実を元にして設定している値です。


決して「ここまでなら浴びても大丈夫」という話を元にして設定されている値ではありません。そのようにして決定されているのは,放射線技術者に対する線量限度(5年間で100mSv)の方だと考えていただいてかまわないと思います。


これ以外にも,タバコやPAH,一部の農薬などの発ガン性を疑われている物質の影響など様々な要因があります。実験室レベルのマウスであれば,それらの要因を意図的にある程度シャットアウトして実験を行うことができますが,実際に生活している我々人間でそのようなことをするのは不可能です。


もし,これらの値を明確に否定する根拠,他の様々な要因を除いても,明確に何らかのリスクが日常生活において発生していると言えるようなものがあるというのであれば,どうやってそれを証明したのか非常に興味があります。ぜひその方法を教えていただきたいと思います。



チェルノブイリ事故の際にも事故の影響で日本人が3人余計に癌で死亡するという統計的予測がありました。 つまり微量だからといって無害とは限りません。もっともこれはほかの物質による大気汚染にも言えることかもしれませんが。 また、ヨーロッパでは現に原子力関係施設の近辺や海流の下流で統計的に有意に癌が増えているという調査結果があります。 安全説を主張されるなら、以上2点についても解説してほしいですね。



この部分については,その統計はどういう条件の予測だったのでしょうか?3人余計に死亡するというのは事故後何年間分の死亡者数ですか?ちなみに他の要因に基づく発ガンリスクの数値はご存じですか?などといろいろ質問したいことが多いです。


ちなみに,様々な死亡要因についてそのリスクを計算された結果がこちら市民のための環境学ガイド)にあります。リスクに関する解説もありますので,ぜひ参考にしていただきたいと思います。


なお,大変申し訳ありませんが,ヨーロッパの状況についてはどの程度の放射性物質が環境中に放出され,その結果どのような統計が得られたのかという情報無しに判断することはできませんので,コメントすることができません。ですので,その統計資料の基になった論文なんかを教えていただけるとありがたいです。


しかし,少なくとも六ヶ所の再処理工場はヨーロッパにおける稼働実績の反省を元に様々な設計や,環境影響に対する試算が行われているのも事実です。過去にセラフィールドなどがどのくらいのレベルのどういう種類の放射能を垂れ流してきたのか。それにくらべて,六ヶ所の基準はどうなっているのか。という辺りを調べられると,面白いかと思います。


次はこちらのエントリ「食べたら死ぬ」ほどの放射能とはどのくらいなのか)にいただいたコメントです。



一般人の年間線量限度 これって外部から被爆する場合では?汚染食品を摂取して内部から被爆が続けばより危険だと思いますが。 チェルノブイリなどで汚染された食品による健康被害が出ていると報道されていますが、あれは嘘なのですか?



いいえ,年間線量限度は外部被曝と内部被曝の和として設定されています(参考)。そして,私が行った計算のほとんどは内部被曝をしたと考えて実行線量を計算しています。ただし,私が行った計算の場合「意図的に半減期を無視」して手抜きの計算をしていますので,実際にはもう少しだけ小さな値になります


もちろん長期的な影響を考えた場合には内部被曝による被害の方が深刻です。チェルノブイリでも,放射能を帯びてしまった食品による被害は深刻な影響を与えました。だから,あえてより実行線量が大きいと考えられる内部被曝の影響のみを考慮して計算しています。その他のパラメータに関しても,できる限り大きな値になるように変更して計算しています。しかし,それでも通常稼働をしている限りにおいては,この程度の値にしかならないのです。


次はこちらのエントリ誤解なのかミスリードなのか その3~セラフィールドの反省は生かされているのか)へのコメント。



数十分の1に減ってもそれが安全を意味するとは限りません。 閾値がないという性質を考えれば、癌や白血病が多少は増える可能性が否定できないと思います。 内部被爆の危険性を考えると、安易に安全と判断するのは危険ではないでしょうか。



これに関しては前述したとおりです。確かに完全なゼロリスクを達成することは不可能かもしれませんが,他のリスク要因と比較して十分に小さなリスクであれば,リスクマネジメント的にはそれ以上のリスク軽減への努力は徒労に終わる部分が大きくなっていきます。


国や原燃の研究者や技術者の人たちが必死の努力を重ねて原発や再処理工場から排出される放射線を限りなくゼロに近づけても,飛行機で海外に一回旅行してしまえばそこにかけた何百億,何千億というコストは水の泡です。


海外に行かなくても,隣のおじさんが吸ったタバコの副流煙を吸ってしまったら,体調不良を感じてCTスキャンによる検査を受けたら,定期健康診断でレントゲン検査を受けたら,ラドン温泉にのんびり入ってきたら,もうそれだけで何の意味もなくなってしまうわけです。


しかし,CTスキャンによる検査は他の様々な病気の要因や軽微な兆候を探し出し,我々の健康に対するリスクを軽減してくれます。レントゲン検査も同様です。海外への飛行機への移動も様々なベネフィットを提供してくれます。我々日本人にとって,温泉浴によるストレス軽減効果は非常に魅力的でしょう。喫煙者の方にとっては,タバコも同様の効果をもたらしてくれるのかもしれません(が,個人的にはタバコに関しては得られるベネフィットに対するリスクは大きすぎると思っています。)。


同様に現在の状況では,原子力発電所から得られる大量のエネルギーは,我々の健康や快適な生活に対して大きなベネフィットを与えてくれています。柏崎原発を失った東電が,17年ぶりに送電規制を行わざるを得なかったというのは,記憶に新しいところです。


我々が真に恐れ,避けなくてはならないのは原子力施設の「大規模な事故」によるハザードです。我々が持っている非常に少ないリソースは,この「極めて甚大な規模を持つハザード」を防止することと,このようなハザードを持たずに同様のベネフィットをもたらしてくれる新技術の開発に振り分けられるべきであって,流言飛語のたぐいを解消するために割かれるコストは無駄以外の何者でもないというのが,私の主張です。


日本の技術者たちのたゆまぬ努力と誠実さにより,柏崎原発は想定の二倍以上という大きな地震災害を耐え抜きました。その頑健さはIAEAの専門家たちを持ってしても「予想の範囲外」と言わしめるほど,その影響を軽微な被害で抑えることに成功しました。これは素直に賞賛されるべきことだと思います。


しかし,IAEAによる視察が入ることが決まった時の大騒ぎに比べて,彼らが「現時点での問題はなし。」とコメントした部分はほとんど注目されず,「将来的にも安全かどうかはわからないから引き続き細かく検査をするように」というコメント部分だけが強調されて報道されていたように感じたのは気のせいでしょうか?同じ技術系の人間として,「より高い安全レベルを求めて検査や監視を続けるのは当然のことであり,ことさら強調すべきことではない」という思いがあるだけに,非常に複雑です。


話が完全にそれました。


私が伝えたいことは,




  1. 現時点で健康被害が発生するような汚染の事実はない



  2. 現時点で通常稼働時の安全性を否定する明確な根拠はない



という二点です。もちろん現在安全だからと言って,未来永劫安全であるという根拠は何もありません。ですが,何度も繰り返し言いますが


現在の安全と未来への不安は別の次元で議論すべきもの


です。


未来の安全に不安を持っている方でも,現在の安全に安心感を持つことはできると思うのですが,頑なにそれを拒否したがる人が多いのはどうしてなのでしょうか?非常に疑問でなりません。



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気になる化学リスク | 17:31:34 | Trackback(1) | Comments(5)
「経皮毒」とは??

拍手コメントの方に,こんなご質問をいただきました。



Q. 私は今経皮毒について調べています!企業が起こした経皮毒の事件についてご存知ではありませんか??


A. 少なくともそういう事例として確定しているものはないと思います。というか,そもそも「経皮毒」という言葉自体が一般的に認められた用語ではありません(^^;



Googleなどで検索するとたくさん出てくるようなんですが,実はこの「経皮毒」というのは,学術用語ではありません。確かに,様々な物質の毒性を評価する際に「経皮毒性」というものについての評価を行いますが,毒の分類上「経皮毒」という分類はないのです。


Googleで出てきたサイトなんかを見てみると,ラウリル硫酸ナトリウムはもちろんのこと,安息香酸ナトリウムやエタノールまで経皮毒扱いされているのには,正直びっくりしました。まぁ,水酸化ナトリウムなんかは毒かどうかはともかく,皮膚によろしくないのは当然だとは思いますが,要するに皮膚に刺激を与えるものは何でもかんでも「経皮毒」に分類されてしまうのかな?と言う印象です。


確かに,皮膚に付着することで炎症を起こすような物質はたくさんあります。しかし,それが体内に取り込まれて健康被害を引き起こすような化学物質がそんなにたくさんあるのか?と言えばかなり眉唾です。サイトによっては,皮膚から吸収されると代謝されにくいので健康に害を起こしやすいなどと書かれているわけですが,経口投与(口からその物質を体の中に入れること)すれば代謝される化合物が皮膚からの吸収だと代謝されない,と言うことは逆に言えば体の中の代謝系に入りにくい=体の中に広がりにくいと言うことです。


この理屈わかってもらえますでしょうか?


人間の体内には肝臓を代表格とする解毒システムが備わっています。また,経口投与だろうがなんだろうが,体内に吸収され体中に運ばれるためには血流に乗って運ばれる必要があります。そして,一度血流に乗って肝臓に運ばれればその物質が経口投与されたものだろうが,皮膚から吸収されたものだろうが,同じように処理されます。つまり,皮膚から吸収されると体外に排出されないと言うことが本当にあるのだとすれば,その物質は血流に乗って付着した皮膚近傍から体内に流通することなくその場にとどまっているのだと言うことになります。


だとすれば,そんな物質が体中で悪さができるわけがありません。できても,せいぜい付着した部分の皮膚に炎症を起こしたりする程度です。


さらに言えば,皮膚から吸収させると体外に排出されにくいという部分についても,どうやってその排出量を測定したのかという点が気になりますし,そもそもどうやって吸収量を確定したのかと言う点にものすごく疑問が残ります。


排出量は尿や血中に含まれる物質や代謝によって分解された物質の濃度を時間を追って測定し続けたりすればわかります。経口投与や静脈注射などの場合は体内に投入した量=吸収量と考えることができますが,皮膚に塗布した場合は皮膚上に残留した分を測定したりしても,体内にどの程度吸収したかは確定しにくいのではないでしょうか?物理的にはがれ落ちた分と,体内に吸収された分をどう区別しますか?体内に吸収された分の中でも,塗布した皮膚表面近傍に残留している分と,血流に乗ってよそに運ばれた分をどう区別しますか?


この手の研究についての論文を読んだことがないのでわかりませんが,たとえば「経口投与した場合には90%程度の量に相当する代謝物が尿中に検出されたが,皮膚に塗布した場合には10%程度しか検出されなかった。」というような表現があった場合に,本来であればこれは「差し引き80%以上が吸収されなかった」と考えても良いはずなのに「皮膚から吸収されると体内で80%も分解されずに残る」と誤解した,と言われても全く驚きません。もちろんこの辺は根拠となる実験データを見ないとどうにもなりません。でも,ざっと経皮毒に対して注意を喚起しているサイトを見たのですが,学術的な根拠を示しているサイトを見つけることができませんでした。もしその辺りの情報をお持ちの方がいらっしゃれば教えていただけると助かります。


市販のシャンプーや石鹸,ボディーソープなどが体に合わないという方はたくさんいらっしゃると思います。実は私もその一人です。


そういう話をすると,「手作り石鹸をぜひ」と勧められたりもするのですが,私の場合手作りだろうが市販品だろうがそもそもアルカリ性の刺激が一番悪いらしく固形石鹸はことごとくダメでした。いろいろ渡り歩いたあげく,低刺激を売り物にしている某大手メーカーのシリーズでシャンプー・リンス・ボディソープをそろえて10数年愛用しています。体に合わなかった時の苦しみを考えると,もうこれ以外のものを使う根性はありません。


ですが,それ以前の部分でそもそも使用量が多すぎたり,すすぎが不十分だったり,そもそも使う場面や使い方を間違っているために皮膚が荒れたりする例の方が圧倒的に多いのも事実です。


昭和30年代や40年代の社会的な意識が低かった時代ならいざ知らず,今どき安全や環境への意識の低い状態のままで存続できる大企業なんてありません。昔からよく名前を聞くような大企業が安全性試験にかけているコストや,そのために日夜働いている企業研究者の奮闘ぶりを知れば皆さん大いに驚かれることと思います。私としては,そういう努力を続けている大企業の製品と「安全な製品には動物実験も必要ありません」などと何を根拠に安全だと豪語しているのかわからないようなことを堂々と言ってのける企業のどちらを信用すると問われれば,迷うことなく前者を信用します。


ところで,幸いにも最近こうやって拍手コメントをいただくことが多くなってきたのですが,これって書いてる私は読めるんですけど,見に来ていただいている方々は読めないんですよね?というわけで,もしコメントをいただける方がいらっしゃいましたら,差し支えなければ一般のコメント欄の方にコメントをいただけると助かります。(特に今回みたいな質問などは)


あ,もちろんそれとは別に拍手をいただけるのは非常に励みになりますので,ぜひそちらの方も一つよろしくお願いします(ぉ


次回こそ,低線量放射線の話をしようと思います。



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気になる化学リスク | 16:55:39 | Trackback(0) | Comments(10)
どのくらいまで流せるのか

コメントをいただいたので返事を書いていたら,いつものように長くなったのでエントリに昇格(ぉ



Q. ところで、大量の海水で薄まることを前提とすれば、再処理工場は、人体に影響を与えない程度の放射性物質を、どれくらいの量を海へ流すことができるのですか?



現在の法律(http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/k20001023001/k20001023001.html)に従うと,放出できるヨウ素129の濃度はヨウ化メチル以外の形では9E-03Bq/cm3と言うことになっています。こちら(http://www.jca.apc.org/mihama/reprocess/tritium_jul-aug.htm)のページのデータによると,現在は6.9E-04Bq/cm3程度の濃度で放出されているようなので,法律に準拠することを考えると,許容幅はあと10倍程度しかありません。


しかし,ご質問の「人体への影響」ということになると,今回計算した元の「年間許容量」自体が「この程度までなら大丈夫」という値ですので,もっと高い濃度(1000万倍以上)でも明確な健康被害は現れない可能性が高いです。


急性放射線障害を考えますと,Svオーダーの放射線を浴びなければ起こりませんので,先日の計算結果からすると最大限高い条件で予想したヨウ素129濃度が7.7E-10 mSv/cm3ですから,10の9乗倍,つまり10億倍以上の濃度のヨウ素129溶液を1リットル摂取する必要があることになります。


ただ,慢性放射性障害という話になりますと,またちょっと話は違ってきます。海水から直接得られる影響と言うことだけ考えれば,確かに「130万倍」という数字になりますが,よりクリティカルに考えれば,やはり生体濃縮を考慮に入れる必要があるでしょう。


こちらのページによりますと,日本一昆布を消費する富山県で年間1kg,全国平均で年間500g程度消費するようです。ということで,やはり前に計算した結果と全国平均の値を参考にし,年間の許容線量1 mSvと比較すると,



7 μBq/cm3 x 1000 cm3 x 12000 x 0.5 kg = 42 Bq
42 Bq x 1.1E-04 Bq/mSv = 0.00462 mSv
1 mSv / 0.00462 mSv = 216.5 倍



までが許容できる範囲内ということになります。


ただ,元の計算結果が原燃が採用している濃縮係数を6倍して用いた値です。なので,原燃の濃縮倍率を採用するとこの6倍となり約1,300倍までが許容範囲内と言うことになります。


ただ,この慢性放射性障害に対する許容量という部分については,専門家の間でも激しく議論の分かれる部分でもあります。そして,こういう「低線量放射線に対する健康影響」という問題をどう考えるかが,原子力関連施設を巡る論争の中で一番大きな問題になっているように思われます。


ということで,次回はこの辺の話をしてみたいと思います。


って,農薬や化学肥料の是非とかについての話をしてみようかとも思っていたんですが,結局放射線の話に戻っちゃいましたね(^^; 検索キーワードでは「ラウリル硫酸ナトリウム」が一番人気だったりしますので,その辺についてももう少し踏み込んで話をしてみようかとも思っていたりしたんですが,とりあえずもう少しおつきあいください。



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気になる化学リスク | 18:00:09 | Trackback(0) | Comments(12)
石鹸関連のまとめ

手作り石鹸に関連する話題のまとめです。



  1. 苛性ソーダを水に溶かす時は…

  2. 苛性ソーダは毒???

  3. 苛性ソーダが手につくとぬるぬるするのは??

  4. 苛性ソーダはガラスを溶かす?

  5. 苛性ソーダを扱う容器の材質は?

  6. ラウリル硫酸ナトリウムはどのくらい怖いのか

  7. 続・ラウリル硫酸ナトリウムはどのくらい怖いのか

  8. 続々・ラウリル硫酸ナトリウムはどのくらい怖いのか


 



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手作り石鹸 | 19:43:13 | Trackback(0) | Comments(0)
その他のリスクについてのまとめ

放射線以外のリスクマネジメントなどについて書いたもののまとめです。



  1. リスクとハザード

  2. リスクマネジメント

  3. BSEはどのくらい怖いのか

  4. 化学物質によりガンは増えている?

  5. 隣は何をする人ぞ……

  6. 続・化学物質によりガンは増えている?

  7. 食の安全はどう守られているか

  8. 基準値の○倍!:食品安全基準の決め方


ラウリル硫酸ナトリウムの話は,石鹸の方に分類しました。



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気になる化学リスク | 19:34:34 | Trackback(0) | Comments(0)
放射線についてのまとめ

リクエストがありましたので,今まで書き連ねてきた内容についてリンクを張ってまとめてみたいと思います。まずは放射線関連です。



  1. 放射線に関する数字を読む~その強さをどう表すか

  2. 柏崎刈羽原発放射能漏れ事故について

  3. 青森県産品は本当に放射能で汚染されているのか~風評被害を無くすために

  4. 私たちの周りの放射能

  5. 続・私たちの周りの放射能

  6. デマその1:再処理工場は一年間に47,000人分の致死量の放射能を海に排出する

  7. 続・デマその1:再処理工場廃液の生体濃縮について

  8. 誤解なのか,ミスリードなのか~大気中に排出される放射性物質について

  9. 誤解なのか,ミスリードなのか その2 ~農作物中の放射性物質について

  10. 「食べたら死ぬ」ほどの放射能とはどのくらいなのか

  11. 誤解なのかミスリードなのか その3~セラフィールドの反省は生かされているのか

  12. わたしたちにできること


 



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気になる化学リスク | 19:13:47 | Trackback(0) | Comments(0)
私たちにできること

これまで散々書いてきましたが,現在反六ヶ所再処理工場を声高に叫んでいる方々が好んで使っている数字には,大きな認識の誤りが多数含まれています。少なくとも,原燃側が提示している数字に従って順調に稼働し続けている場合,間違いなく再処理工場が六ヶ所近辺の環境に与える影響は自然変動レベル以下です。


つまり,我々が注目していかなければならない問題は,再処理工場を稼働させるにしても,彼らが最初に提示した要件を確実に遵守してくれるのかどうか。定期的あるいは今回の地震のような臨時のタイミングで,安全基準の見直しが的確に行われ,対応もなされているのかどうか,という部分についての監視です。そして,そもそも再処理工場や原子力発電所への依存度をこれ以上高めていくという方向に進むのかどうか,その辺についての議論が必要となってくるわけです。


何度でも繰り返しますが,原燃などが主張している通りに滞りなく操業が行われていさえすれば,周辺環境にはほとんど影響を与えないというのは間違いなく事実です。


しかし,いわゆる原子力反対派と呼ばれる方々の中には,これまで私がブログの中で述べてきたような「想定通りの稼働をしていれば安全である」という事実にすら目を背けたがる人がたくさんいます。なぜそんな子供みたいなことをするのか?。おそらく,安易に「原発は存在自体が危険である」という主張ばかりをし続けてきたために,「(通常稼働時の)原発(再処理工場)が安全である」という事実を認めると,これまで自分たちが続けてきた主張が崩壊してしまうので,それを畏れているのではないか,と想像しています。


しかし,「現在安全に稼働している」ことと,「将来的にも安全なのか」とか,「許容できるリスクなのか」という議論は共存できるものです。現在安全に稼働しているからと言って,無条件に推進してかまわないわけではありませんし,もちろん将来的な不安があるからといって,即時に停止を求めるというのも無茶な話です。


今現在操業している原子力発電所や再処理工場は「できる限り安全でなくては困る」ものです。そして,すごく当然のこと何ですが,全ての事象について「ゼロリスクはあり得ない」ものですから,「リスク」はどうしても存在してしまいます。何度でも言います。ゼロリスクはあり得ません。そこは絶対条件として認めなければなりません。


原子力関連施設に万が一のことが起きた場合の「ハザード」は,皆さんご承知の通り極めて甚大なものになりうる可能性があります。もちろん現在の技術と関連した様々な方々のたゆまぬ努力により,その発生確率は極限まで抑えられ,結果的に全体としての「リスク」も十分低いものとなっており,「現在のリスクは許容範囲ではないか?」とも私は考えています。


ですが,その「発生確率を抑えるためのコストが高すぎる」という点が,私がどうしてもこれ以上の原子力関連事業推進に賛成できない最大の理由です。


その最たるものが核廃棄物処理問題です。現在最終処分法として地層処分が検討されているわけですが,その安全性確保のためにかかるコストはやはり膨大なものです。研究施設を新たに設け,より詳細なデータを取ろうとしていますが,一朝一夕で結果が出るわけではありませんし,話のスケールが何千,何万年間というレベルですから,本当に予想通りうまくいくのかどうか誰も確かめられません。


それに,最終処分場となる場所の問題があります。なにしろ処分場として調査をするだけでも周辺住民への理解を求めるのが困難であるというある意味嘆かわしい現状を考えると,本当に建設することができるのだろうかという懸念がぬぐい去れません。


また,再処理工場を稼働させたりプルサーマルを稼働させたりすることにより,高レベル放射性核種を再利用したり,高レベル廃棄物の体積を減少させたりという工夫もなされようとしていますが,これも実際稼働させようとすれば様々な問題が発生するとともに,各方面で反対運動や妨害などが起きるでしょう。


そして,燃料となるウランの暴騰がオイルショック並みのエネルギー問題を引き起こさないとも限りませんし,核施設を標的としたテロなどへの対策など,許容可能な程度までリスクを下げるために必要なコストは極めて膨大であり,解決しなければいけない問題も非常に広範囲です。それはすべて「ハザードが極めて大きい」ことに由来してると思います。


もちろん原子力関連施設のもたらすベネフィットも確かに存在しています。現実的に考えて,現時点で原子力発電所の稼働を即時停止などとてもできるわけがありません。それに,現在我々が享受している生活レベルを放棄して,30年とか40年前の生活に戻るなどと言うこともあり得ません。もし,そのようなことをすれば,エネルギー問題は解決するかもしれませんが,これまでに解決してきた別の様々な問題が我々の安全を脅かすことになってしまうと思います。特に,医療や金融・経済面や流通・サービス分野では,我々の安全を脅かすほど大きな悪影響が発生するのではないかと危惧しています。


しかし,これ以上原子力発電にエネルギー供給の依存度を上げず,最終的にクローズの方向に持って行くという意志決定だけは現時点でできるはずですし,よりハザードとリスク軽減のためのコストが小さいエネルギー供給法にシフトしていくために必要な体制作りも現時点から始めることが可能だ思います。


もちろんより省エネルギーで効率よく安全や快適を獲得できるようなシステムや社会作りも並行して行っていかなければならない問題です。


やらなければいけないことはたくさん残っています。妄言やノリだけで非効率な行動をして,自己満足に浸っている暇や余裕はありません。すでに我々には「とりあえず考える」とか,「考える前に動く」という低いレベルの活動ではなく,「考えながら効率的に動く」という一段高いステージの行動が求められていると思います。


「考える」ということは,身体能力的に他の動物たちよりも遙かに劣った
ヒトという生物が持っている最大の武器です。


ぜひ有効に活用していきましょう。



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気になる化学リスク | 19:49:03 | Trackback(0) | Comments(0)

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