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ぷろどおむ

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元サッカー少年。今はしがない化学屋です。

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続・私たちの周りの放射能

自然放射線の話で忘れてはいけない国際線飛行機に搭乗した場合の話を忘れていました。


航空機に搭乗した場合,当然ですが日常生活では考えられないほど高いところにある一定時間滞在することになります。


宇宙から地球にやってくる宇宙線は,大気によって吸収されたり散乱されたりして地上に到達しておりますので,当然ながら高度がより高ければ高いほど「あまり弱められていない宇宙線」の影響にさらされることになります。こちらのページによれば1万メートル以上の高度では、地上(海面)の約150倍の宇宙線が降り注ぐそうなので,特に高度の高いところを長時間飛ぶ国際線の飛行機に搭乗した場合の影響はあまり無視するわけにはいきません。


特に非常に長時間このような環境にさらされる航空機の乗務員の場合は深刻で,国際線航空機に頻繁に搭乗しなくてはならないパイロットや客室乗務員が航空機搭乗時に受ける年間の被ばく線量は、一般公衆の線量限度として示されている1mSvを超える場合が考えられます。さらに航空機乗務員における皮膚がん(黒色腫と非黒色腫)は、いずれの種類についても死亡率や罹患率が一般集団と比べて高いことが知られています。


では,実際に国際線に搭乗するとどの程度の放射線を浴びることになるのでしょうか。それを計算してくれる便利なサイトをご紹介します。


JISCARD Mobile(放射線医学総合研究所)

こちらのサイトでは,PCや携帯電話から簡単に国際線に搭乗した場合に浴びる放射線量を計算してくれます。


ちなみに,2007年の7月に成田からロサンゼルスまで往復すると96μSvの放射線を浴びることになるそうです。μSvはなじみが薄いのでmSvに直すと,0.096mSv。つまり,六ヶ所村の再処理工場から発生が予想される放射線量,年間0.022ミリシーベルトの約4.4倍に当たる放射線を一往復の間に浴びてしまう計算になります。


客室乗務員の方の健康を守るために,もうちょっと何とかして欲しいものではありますが,航空機内で浴びる放射線で最も多いのが透過性の非常に高い中性子線であるということなので,防護策を講じるのもなかなか難しいのかもしれません。


このように,実は我々が生活している中には放射線が思った以上に満ちあふれています。放射線は確かに過剰に浴びれば危険なものではありますが,その性質や特性を理解することで無駄におびえたり忌避することを防ぐことができるのも事実です。


今回の地震で,原子力発電や再処理工場の是非がさらに問い直されている今,できるだけ正しい知識と理解の元に,我々に何ができるのか,何をなすべきなのかを議論していきたいものです。



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テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

気になる化学リスク | 18:08:23 | Trackback(0) | Comments(0)
私たちの周りの放射能

解説を始める前に,まず知っておいていただかなくてはならない一番大切なことを説明するのを忘れていました。それは,


私たちは,常に一定レベル以上の放射線にさらされ続けている


ということです。


よく「どんなに微量の放射線でもさらされたくない」と訴える人たちがいますが,我々自身がすでに放射能を持っている(40カリウム由来などにより,約7,000Bqと言われています)という現実の前には,(気持ちはわかりますが)どう考えても無理な話です。


また,我々は太陽というこのあたり(一番近い恒星でも4.4光年離れている)では最大級の放射線発生源のごく近傍に居住せざるを得ませんので,太陽由来の放射線を大量に浴び続けています。その他にも,地殻内部に存在する放射性物質由来のものや,日常的に周りに存在するもの,あるいは食品などに含まれる放射性物質由来の放射線などを含めると,日本では年間で平均2.4mSvの放射線を浴びざるを得ません。世界では平均して年間2.4mSv,日本の場合平均0.99mSvの放射線を浴びざるを得ません(参考:全国の自然放射線量)。


もちろん太陽や地中に含まれるラドンなどの放射性物質から発生している放射線を浴びても,遺伝子が破壊されたり,突然変異といった形で子孫に変化が現れる可能性があります。これは,原発やその関連施設で発生する放射線と何の違いもありません。  


ただし,我々の体の中では放射線以外の影響でも日々遺伝子は破壊されていますので,ちょっとやそっとの細胞の遺伝子が破壊されたからと言って,そう簡単に影響が出ないような修復システムがあります。それに太陽によるエネルギー供給がなければ地球に生命は誕生しませんでしたし,突然変異がなければ進化もどのような形になっていたかわかりません。ですので,太陽からの自然放射線は,我々が地球上で生きていくために甘んじて受けざるを得ないリスクなのです。


また,この自然放射線は常に変化し続けています。


たとえば,日本の各県それぞれの自然放射線の平均値についてその最大値と最低値の差を見ると,その変動量は六カ所にある再処理施設から排出されるとされている放射線量0.022mSvより高い年間0.4mSvという値になっています(参考:全国の自然放射線量)。ですから,岐阜県の人は神奈川県の人よりも,六ヶ所村で再処理施設が稼働した場合の増分0.022mSvより20倍以上も強い放射線を浴びていることになりますが,神奈川県の人に比べ岐阜県の人たちに癌や白血病が発生する割合が極めて高い,などという話を聞いたことがありますでしょうか?つまり,このくらいの増減はその程度の影響しか与えないと言うことになのです。


次に年間の変動幅についても考えてみます。調べてみたのですが,ダイレクトに値を出しているようなところが見つけられませんでしたので,今回は静岡県浜岡原発の近くにある静岡県環境放射線監視センターのデータを元に計算してみました。


こちらでは過去十年間の実測値を元に,自然放射線の変動幅を表示しています。原発の近くではあることに難色を示される方もいるとは思いますが,いくら探してもこういう場所以外でまじめに環境放射線を測定している場所を見つけられませんでした。原発を運用している国や電力会社が放射線データを隠蔽している,という意見を仰る方が多いわりに,このような基礎データ集種活動を怠っている状況であると言うことは,大いなる反省点として今後検討すべき課題だと思います。


今求めたいのは年間の変動幅ですが,念のため浜岡原発からもっとも離れている大東支所の値を参考にします。こちらによると,だいたい80nGy/h(ナノグレイ毎時)という変動幅が観測されていることがわかります。 ですので,年間値に直してみると,80nGy/h x 24h x 365d = 0.70mGy/year ということになります。


グレイ(Gy)をシーベルト(Sv)に換算するには,放射線荷重係数と呼ばれる値をかけます。この値は放射線の種類により異なり,γ線やβ線は1,α線は20です。先ほどの場所での年間変動幅はγ線換算で0.7mSv,α線換算で14mSvとなりますので,±にするとそれぞれ±0.35mSvと±7mSvということになります。α線は空気中ではほとんど前に進めない貫通力の弱い放射線ですので,自然放射線の年間変動量を考える場合にはγ線由来の±0.35mSvとなります。これは先ほど示した日本全国の平均値の差(最大値 岐阜県と最低値 神奈川県の差 0.4mSv)とほぼ同じ値です。このことから,年間の通常変動幅だけでも,再処理工場から排出される予定の放射線量に対して15倍以上の値ですので,今年に比べて来年は再処理工場や原発の有無にかかわらずそのくらい余計に放射線を浴びなければいけない可能性があると言うことです。


このように我々は好むと好まざるとに関わらず,ある一定レベル以上の放射線にさらされ続けています。そして,地球上で普通に生活する以上これを避けることは事実上不可能です。


放射線と私たちの生活をきちんと考えるためには,この部分は確実に理解しなければいけません。


というわけで,次回こそ例の主張がデマだという理由について解説したいと思います。


*コメント欄にてご指摘を受けましたので,一部の値や表現について訂正・追記を行いました。(07/07/18 16:35)



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気になる化学リスク | 15:47:58 | Trackback(0) | Comments(3)

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