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ぷろどおむ

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元サッカー少年。今はしがない化学屋です。

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基準値の○倍!:食品安全基準の決め方
お約束通り,ポジティブリスト制における安全基準の決め方を説明しようと思ったのですが,ちょうどタイムリーなことにこんなニュースが出てきていたのでご紹介。 



残留農薬:輸入食品の違反8倍 新制度導入から1年(毎日新聞)



(前略)厚生労働省の統計によると、新制度導入の翌月の06年6月から今年5月までの間、輸入食品の検査で、残留農薬検出による食品衛生法違反で廃棄などの措置が取られたのは761件。前年同期の91件から670件増えた。生産国は26カ国・地域に上り、うち中国が250件で最多。ベトナム(143件)▽エクアドル(93件)▽ガーナ(77件)▽台湾(47件)と続く。(後略)




今朝の朝刊の見出しでは「中国・ベトナム産多く」とか書かれていましたが,ほぼダブルスコアの大差がついているにもかかわらず同列に置かれたベトナムがちょっと気の毒です。でも,輸入される絶対量を考えれば,ちょっと頻度が高そうなベトナム産にも注意が必要かもしれません。


また,このようなニュースもありました。




 


中国産ウナギ:米での抗菌剤検出で丑の日前に販売減(毎日新聞)



禁止されている抗菌剤が検出されたとして米食品医薬品局(FDA)が中国産のウナギなどを輸入規制した影響が、日本市場にも広がっている。一部のスーパーでは先月28日のFDAの発表後、国産も含めたウナギの販売が減少。土用の丑(うし)の日(今月30日)を前に日本鰻輸入組合は危機感を強めており、「日本に輸入される中国産ウナギは安全」と訴える緊急記者会見を10日午後に開く。(後略) 




この記事中でも「今回米国で検出され問題となったのは抗菌剤のマラカイトグリーン。日本では05年に検出されたため既に中国産ウナギの全貨物を検査対象にしている。06年5月には残留農薬の規制も強化された(ポジティブリスト制度)。」と書かれているポジティブリスト制ですが,前回のエントリでもご紹介したとおり,この制度のおかげで,私たちはこのマラカイトグリーンのようなよく知られた禁止薬物だけではなく,国内での使用基準が制定されていないようなマイナーな薬物などによる危険からも防がれておりいます。


しかし,この制度もやはり万能というわけではなく時々市場に出てきた商品からも禁止薬物が検出され「規制基準の○倍量が検出された」などと,ショッキングな見出しが出てくることがあります。先日も「給食に使うキクラゲから基準値の2倍量の農薬が検出された」という報道が出たばかりです。このような報道が出たとき,我々はどう反応すべきでしょうか。


基準値の2倍」というキーワードをどう理解すべきか,ポイントはそこにあります。


そのためには,まずこの「基準値」がどのように設定されているかを理解しなければいけません。


現在ポジティブリスト制における基準値は,国際的に集められた研究データを元に算出された一日の許容暴露量(ADI)を基準に定められており,だいたいADIの80%以下となる値に設定されているようです。(参考資料:食品に残留する農薬等に関するポジティブリスト制度における暫定基準の設定について


このADIという値は,「一生涯摂取し続けても健康被害をもたらさない量」として設定されています。(参考資料:ADIの考え方)つまり,この値以下の量を含む食品を毎日摂取し続けても健康には問題ないということになります。ですから,この基準をたかだか数倍程度オーバーしたものを,数回食べた程度では健康に影響はないわけです。


もちろん,だからといって日常的にこの基準値をオーバーするような食品の流通を認めてしまえば健康被害に繋がるおそれが大きくなります。ですから,基準値が守られているかどうか厳しく検査し,各関連業者にも基準値を守るように指導しているわけです。


我々の健康を守るために,様々なものについて「基準値」というものが設定されており,その基準値を超えたものに対しては,罰則を与えるなどの指導が行われています。しかし,この基準値というものは普通はかなり安全側に振った値が設定されていますので,極端な話,違反が即座に発見されて指導されていることを前提とすれば,基準値の数百倍とか数千倍を超えるような違反でもない限り直接的に健康被害に繋がることはありません。ですから,実は


基準値を数倍超えた程度なら怖がる必要はない


のです。でも,重ねて言いますが,「怖がらなくても良い」のと,「違反をしても良い」「違反を見逃しても良い」というのはイコールではないことは忘れてはいけません。基準を守らないことと,基準値を超えたものを怖がらないことは違うことなのです。


しかし,我々が報道などを目にした際に「基準値の○倍」あるいは「通常の○倍」などと言われると,やはりドキッとしてしまいます。そして,困ったことにこの「ドキッ」としてしまうことを利用した悪質なプロパガンダが日常的に行われているのも事実であり,それによる風評被害が後を絶たないのも悲しい事実だったりします。


次回は,その辺についてお話をしようかと思います。



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テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

気になる化学リスク | 18:17:12 | Trackback(1) | Comments(0)

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