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ぷろどおむ

Author:ぷろどおむ
元サッカー少年。今はしがない化学屋です。

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続・ラウリル硫酸ナトリウムはどのくらい怖いのか

続きです。


ネットをぐるぐる回ってラウリル硫酸ナトリウム(SLSと略します。)の話を調べていると,いろんなところで「アメリカン大学毒物学部が出したレポートによると」という表記が見られますが,これについての話が英語版のWikipediaに掲載されています。


http://en.wikipedia.org/wiki/Sodium_laureth_sulfate


該当箇所をざっと訳してみると,


「インターネット上でSLSあるいはSLESが発ガン性を持つという噂が流れている。これはチェーンメールにより広がった噂でJournal of the American College of Toxicologyに投稿されたものであるとされている。しかし,これにが事実だとする証拠はなく,CTFA(国際化粧品機構)やアメリカ癌学会は『都市伝説レベル』の噂に過ぎないとしている」


また,このサイト(http://www.healthyhome.net/1harmfulfacts.htm)で紹介されている研究の一つであるKeith Green博士はアメリカ癌学会のサイトに,このようなコメントを出しております。
http://www.cancer.org/docroot/NWS/content/NWS_2_1x_Bubble_Bubble_Toil_and_Trouble.asp


「確かに兎の目にSLS(ラウリル硫酸ナトリウム)を滴下し,その後心臓や脳,肝臓から検出されたのは事実である。しかし,第一に,検出されたのは極めて微量であった。第二に(SLS溶液は滴下後)96時間たってから洗い流された(時のデータでしかない)。」


これはどういう意味かと言いますと,つまり目の中にSLSを滴下して96時間もそのまま放置するなんて言う現実的ではない条件で行った実験をして,やっと極微量のSLSを検出することができたと言うことです。


また,ここに書かれている「SLS & SLES can damage the immune system; causing separation of skin layers and inflammation of skin. -Journal of the American College of Toxicology; Vol. 2, No. 7, 1983」がそもそもの元ネタなのかと思ったのですが,こちらは「アメリカ毒物単科大学」とでも訳すのが適当かと思われる大学の紀要のようで,残念ながら元の文章を読むこともできませんでした。
#現在は「International Journal of Toxicology」に改称しているようですが。


その他のものも当たってみたのですが,試験管内の細胞に直接溶液をたらしたときの影響を見ているなど,人体に対する影響を考えるには不適当な研究しか見あたりません。


受精卵が死亡するなどという話もあるようですが,受精卵のように細胞膜が安定していない状態の細胞に界面活性剤などを添加すれば壊れるのも当たり前で,これはSLSに限らず石鹸でも同じ現象が起こるでしょう。


その他,皮膚や眼球への刺激に関する研究もあるようですが,正直この辺はアルカリ性という性質を持っている以上いかんともしがたい部分がありますし,こういう部分に関しては熟成が不十分な手作り石鹸の方が危険の度合いは大きいです。


ちなみにご存じとは思いますが,熟成が不十分=鹸化反応が十分進んでいない=残留苛性ソーダが存在していると言う状態です。工業製品であれば,ほぼ完全に反応が終わるまで攪拌し続けることで迅速に鹸化反応を終わらせていますので,アルカリ成分が残存している可能性はほとんどありません。しかし一般的な手作り石鹸レシピでは,ある程度保温した状態で放置して自然に反応が終了するのを待っているだけです。熟成が不十分な石鹸を使ったときに「肌がぴりぴりする」というのは,残存している苛性ソーダなどのアルカリが原因です。お気をつけください。


というわけで,私自身は今のところSLSが石鹸以上に危険なものであるという証拠を見いだせておりません。


前に書いたBSEがらみの話や,SLSの話や携帯の電磁波なんかでもよく出てくるのですが,なぜかこういうものに反対している方々の中には,必ず「大企業と政府の陰謀で真実が覆い隠されている」と主張される方がいらっしゃいます。


世の中陰謀論で考えると,よくわからないことがすっきり説明できるような気がしたり,誰も知らない真実にふれたような気がしてわくわくしてしまったりしますが,そんな時には「少数の人たちの陰謀でどうにかなるほど単純な作りをしていない」というとても分かり切った事実をもう一度思い出してみるのも良いのではないでしょうか。


世の中には賢い人たちが山のように隠れていますので,私たちみたいな素人が思いつくような疑問とか問題点なんて,実はとっくの昔に解決されていることがほとんどだったりします。


せっかくの情報社会,単純に情報を鵜呑みにするのではなく,ちゃんと自分の力で調べてみることをお勧めします。



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テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

気になる化学リスク | 18:20:50 | Trackback(0) | Comments(8)

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