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ぷろどおむ

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追補:「続・例の「あれ」について」へのコメントについて
 前回のエントリにいろいろとコメントをいただきました。ありがとうございます。コメントとして返答しようかと思ったのですが,相変わらず長くなったのでエントリとしていろいろと。

 まずは匿名希望さんからいただいたコメント

ラジカル増加→細胞破壊→出血だけでなく、
ラジカル増加→炎症→出血も考えられそうです。

放射性物質を含む粒子が鼻粘膜に付着した時、細胞の活性酸素産生量と消去量のバランスがどの程度崩れるものなのかを議論せねばならず、単純な計算だけでは中々難しいのかもしれません。



 炎症で弱くなって何かの衝撃で出血という可能性はあるな,と思っていましたが,炎症というのも細胞に死ぬほどでは無いにせよ何らかのダメージが与えられているということで,今回の条件でもある程度カバーできてるかな?と勝手に思ってました。細胞内の活性酸素発生量も処理量も細胞の種類によっても違ってくると思いますし,今回のケースについても非常に大きな上皮細胞と繊毛の細胞とを同一視して良いのかな?と言う疑問はありますが,そこまで行くと本物の専門家にどうにかしていただかないと無理な領域かと思います。

 次にジョン・ドゥさんからのコメント

ラジカル増加による「炎症」だと一般的な炎症の5兆候の発赤、熱感、膨張、疼痛、機能障害には合致しないわけで。本来炎症では直接の出血ではなく血液のなかの血漿やら白血球が滲んで患部を守るわけで血が出るという事になるとそれは炎症とは別の症状となってしまうわけで



 むむ,この辺になってくると私の守備範囲をかなり超えてきてしまいますね。ごめんなさい。先ほどのコメントのところでも書きましたが,単純に死ぬほどでは無いダメージを喰らったために炎症を起こして対応している状態のところに,何らかの衝撃が加わって通常ならしないはずの出血をしてしまうと言うストーリーはありえないものでしょうか?つまり,ラジカルによるダメージとして一連の流れとして炎症の延長線上に細胞の破壊があるというイメージなのですが…。

 次も匿名希望の方からです。

この計算は粘膜細胞の横の広がりは想定していますか?
鼻粘膜細胞がタテは3個としても面積方向には万単位で並んでいて吸気に含まれる放射性物質はそれぞれにほぼ均等に沈着するはずですから鼻の表面積を細胞の表出面の面積で割った分をさらに乗算する必要があるのではないかと思うのですが 1000倍程度だと15分ワンサイクルなら一日96サイクルあるので10日ほど継続的に吸いつづけてれば達する計算に…



 お察しの通り,横方向というか面積としての広がりは全く考慮していません。イメージ的には,繊毛によりベルトコンベアのように15分かけて排出されながら接している粘膜にダメージを与えていくような感じでしょうか。なので,粘膜表面に常に接しながら移動していると想定してしまっていますが,確かに上皮細胞の表面全体と言うよりは襞の最表面にある繊毛上を粘液とともに移動している方がより正しい姿のような気がします。となると,おっしゃるとおり直接ダメージを与えられる面積をある程度想定して,粘膜の襞を全部伸ばした実表面積と比較する必要があるような気がしますね。探せばきっとその辺のデータというか論文はありそうな気がしますが,もしご存知でしたら教えてください。どちらにしろ,鼻粘膜の構造をしっかりと確認する必要がありそうです。

 つぎにほっけさんからいただいたコメント。ちょっと長いので一段落ずつ。

>強引に細胞のほとんどが水であると思えば,一応繊毛部分を抜けて上皮部分をアタックすることは可能かもしれません。が,さすがに全部水というのはハンデが大きすぎる気がしますので,上皮部の厚さは100 µmであるとする,
>上皮細胞の上にはかなりの数の繊毛細胞が存在していますから,本当はそちらを先に何とかしないと上皮細胞にはたどりつけないような気がします。

いったん考慮にいれて計算した繊毛を、計算後に新しく障害として考慮に入れようとしているように読めるのですが。これは同じ障害を二重に計算していることになりませんか?



 すいません。これは書き方が悪かったですね。繊毛部分は上皮細胞への距離感としては考えましたが,137Csから出るβ線は繊毛部分を素通りして直接上皮細胞の水分にアタックしていると想定していました。なので,一応ダブルカウントにはなっていないと思っています。というか,よくよく読んでみると上皮細胞の厚みを100 µmとか言ってますが,この長さ計算に全然使ってないですね(^^; 今回は,粒子の影響を受けている部分に対して多少上皮細胞が重なっていると想定し,影響を受ける細胞が三層になっていると仮定しています。文章が紛らわしくてすいません。

>上皮細胞の周りには粘液,いわゆる鼻水がたっぷりと存在しており,それらも間違いなくβ線を遮蔽していることでしょう。

鼻水の多寡は個人差があるでしょうし、粘液繊毛クリアランスも同様でしょう。そうした個人差を考慮して、有意に増える可能性まで機序から否定できるでしょうか?



 粘液繊毛クリアランスの速度にしろ,鼻水の多寡にしろもちろん個人差はあると思いますが,健康な状態であれば2桁以上も差があるものでは無いと思います。あっても数倍程度では無いでしょうか?なので,少なくとも今回想定している作用機作による鼻血の発生可能性は十分に低いという結論は変わらないと思っています。

 ですが,この後のコメントでほっけさんが書かれているとおり,今回の話の内容から,他の要因や作用機作により鼻血発生の頻度が有意に上昇したという可能性については,当然否定できません。もちろん,前回及び前々回のエントリは,少なくとも放射線由来による活性酸素(過酸化水素)濃度上昇により出血するというメカニズムは物理学的にありえないのでは無いか?と言うのが主題ですが,震災直後から今までにおいて鼻血発生の頻度が上昇していることを含めた体調異常が生じている可能性については否定していないつもりですし,否定する必要は全くないと思っています。
 もちろん調査も必要ならば今からでもすべき部分は残っているように思います。ただ,個人的には同じ調査を行うにしても,物理的にあり得なさそうな放射線被曝を要因とした体調不良と言うよりも,避難生活や不安感によるストレスなどメンタルな面をより重視した方面から行う方がより良いのでは無いか,と思っています。

 ということで,とりあえずお答えする必要のありそうな部分にはお答えしたつもりなんですが,実はもう一件メールでの通知は来ているのに,なぜかブログ本体には反映されていないコメントもいただいているんですよね。で,その内容は私の勘違いを指摘していただいているものなんですが,今現在どこをどう勘違いしてしまったのか全く分からず悩んでいるもので,結構気になっています(^^; というわけで,コメントを投稿してくださったとおりすがりさん,もしよろしければ(本格的にあきれていらっしゃるのかもしれませんが),もう一度ご指摘いただけませんでしょうか?よろしくお願いいたします。

 ということで,引き続き皆様からのご意見・ご指摘,あと可能であれば参考になる論文や情報の提供などいただけましたら幸いです。よろしくお願いいたします。

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気になる化学リスク | 18:25:53 | Trackback(0) | Comments(2)
続・例の「あれ」について
 思わぬ反響に恐れおののいておりますが,いただいた様々なコメントを見ているうちに気になったポイントがあったので,今日も頑張ってエントリを上げてみます。えっと,しかも今回はいつも以上に専門外の領域に踏み込んでいる自覚がありますので,いつも以上にご批判・ご指摘大歓迎です。よろしくお願いいたします。

 さて,いただいたコメントの中で「鼻粘膜の局所向けの解説を」とか,「微少な組織レベルで考えないとダメ」などといったご意見をいただきました。

 正直に言いますと,「体内中で過酸化水素が発生して…」なんて話を聞かされてしまったために,ほぼ脊髄反射で作成したのが前回のエントリですので,外部被曝による人体全体のマクロな状況しか想定せずに,かなりラフな形での検討しかしておりません。ですから,より局所的な議論については,ご指摘通り前回の話を適用するのはちょっと怪しさが残ります(^^;  とは言え,あれだけ強烈に桁が違いますので,現在の状況で福島第一原発事故由来の放射性物質が原因で鼻血が出ることはやっぱりありえないという結論は揺らぐことは無いんじゃないかなぁ?とは思っていますが,想定する作用機作が異なれば話は全然違うのは当然ですので,しかたがありません。

 ということで,せっかくご指摘をいただいたので,鼻粘膜に放射性物質を含む粒子が吸着することで鼻血が出ることはあり得るのかどうか,について少し考えてみたいと思います。

 さて,とりあえず福島第一事故によって環境中にばらまかれてしまった放射性物質はどのような粒子として大気中に存在しているのか,について調べてみましょう。

 と言って出てきたのはこちらのデータです。これは,茨城県つくば市の産総研が測定したデータをまとめたものです。つくば市まで飛来した粒子ですので,福島県内で観測される粒子とはまたちょっと違う可能性もありますが,今回の測定では「2μm以下の微小粒子領域に存在し、0.2-0.3 μmと0.5-0.7 μmに極大値を持つ二峰性の特徴的な分布」を示しているようです。

 また,こちらの総説では,「131I のほとんどはガス状であるが一部は微小粒子として存在している」「放射性セシウム(134Cs と 137Cs)は数ミクロンの粒子として存在している」とされています。

 どちらもつくばでの測定結果ですので事故発生時の現波周辺地域においてはより大きな粒子が存在したかもしれませんが,事故から十分な時間が経過した現時点で存在しうる領域として考える場合には,より大気中に浮遊しやすい1 µm以下の領域の粒子として考えれば良いように思います。

 さて,次は鼻粘膜の構造です。これについてはこちらのページを参考にさせていただきました。鼻粘膜と言われる部分は多列円柱上皮と呼ばれる上皮部分の上部に繊毛が存在している構造を持つそうで,繊毛部分の長さは論文(E. Marttin et al. / Advanced Drug Delivery Reviews 29 (1998) 13–38)によると,5〜10 µm程度ということです。そして,さらにその下にある30〜100 µmほどの厚さを持つ上皮部分を破壊すると,やっと毛細血管を持つ真皮構造部分にたどり着きますので,この辺まで無事傷つけることができると,鼻血が出るというメカニズムなのでしょう。…………,あってますかね?(^^;

 さて,どんどん不安になっていますが,心を強く持って先に進みます。

 さて,肝心のβ線の飛程距離はどのくらいなのでしょう。こちらのページによりますと137Csが発生するβ線の大部分を占める514keVのβ線は水の中を58 µmほど飛ぶようです。となると,強引に細胞のほとんどが水であると思えば,一応繊毛部分を抜けて上皮部分をアタックすることは可能かもしれません。が,さすがに全部水というのはハンデが大きすぎる気がしますので,上皮部の厚さは100 µmであるとする,また鼻腔中の上皮細胞部分は多列円柱上皮構造を持っているので,3個の細胞を破壊することで真皮細胞にたどり着けるとすることでバランスを取ることにいたしましょう。

 次に鼻の中での粒子の動きを考えます。

 この辺は最近注目を浴びているPM2.5絡みで,いい感じにまとまっている資料を見つけました。こちらの第4章が「生体内沈着及び体内動態(PDF)」となり,そのものズバリです。これによりますと,先ほど想定した1 µm程度の粒子は,鼻呼吸で10〜30%沈着する(4-12,図4.5.6)ようです。

 しかしここで忘れてはならないのは「粘液繊毛クリアランス」という現象です。これは鼻粘膜の機能の一つで,鼻腔中に入り込んだ異物を除去し鼻の中から喉の方へ押し流してしまうことです。これも先ほどの論文(E. Marttin et al. / Advanced Drug Delivery Reviews 29 (1998) 13–38)に概要が記述されておりまして,それによると鼻腔内に沈着した異物は通常12〜15分で取り除かれ,喉から胃の方へ流し込まれてしまうようです。

 ということで,だいたい情報は揃いましたでしょうか。

 鼻腔中に入り込んだ放射性物質を含む粒子によって鼻血を出すためには,1) 全体の30%以下の粒子により,2) 15分以内に 3) 3個の上皮細胞を破壊して真皮部分にたどり着く。

 以上の工程をクリアすれば,あとは何かの刺激が与えられれば無事出血してくれるでしょう。

 ただ,ここで問題なのはどのくらいの線量を浴びせれば細胞は死んでくれるのかというところです。「細胞死 放射線」なんてキーワードで検索して出てくるのは,当然高レベルな放射線被曝での結果ばかりなので,単位がそもそも数Gyのオーダーです。ですが,そんなレベルの放射線を浴びてしまうと言うのは現状あり得ませんので,いろいろ悩ましいところではありますが,今回も前回に引き続き生体内で発生する活性酸素の発生量を放射線由来の活性酸素が超えることを勝利(?)条件といたしましょう。

 前回の計算結果をそのまま使いますと,137Csから発生するβ線を512keVとすると,137Cs 1個が崩壊した時に発生する放射線により発生するOHラジカルは,初期段階で28672個,最終段階では13824個となります。細胞1個あたり1日1E9個の活性酸素を発生させているとします。そうすると,1分間で3個の細胞は3 x 1E9 / 1440 = 2.08E6個の活性酸素を発生させます。なので,15分間では3.13E7 個となります。ここから計算すると,15分間でそれぞれ1092個,2264個の137Csが壊変する必要があります。で,これをBq相当に直すには15 x 60 = 900 sで割れば良いので,それぞれ1.2 Bq,2.5 Bqで縦一列分の上皮細胞を破壊し真皮細胞にたどり着くことができそうです。おっと,これは意外と少ないですね。ただしこれは30 %分がこの値と言う事になりますので,簡単に3倍して 3.6Bqと7.5 Bqとしましょう。どちらにしても十分小さい値に見えます。

 さて,ここで先ほども使った「生体内沈着及び体内動態(PDF)」に記載されているICRPによるシミュレーションモデルで使われているパラメータ(4-28, 表4.5.1)を見てみます。すると,軽い運動をしている成人男性では,1分間に20回,一回1250 mLの呼吸を行っているとしているようです。となると,1分間で25 Lの空気を取り込んでいるわけです。15分間で粒子は鼻から追い出されてしまいますので,それを1サイクルとすれば,定常状態を考えると15分間の呼吸量 15 x 25 = 375 Lの空気中に先ほどの放射能を持つ放射性物質が含まれていれば良いことになります。となると,それぞれの場合で0.0096 Bq /Lと0.02 Bq /L それぞれm^3単位に直すと 9.6 Bq/m^3 と 20 Bq/m^3となります。これはかなり小さい気がしますね。やはり福島で鼻血が出るのは当然なのでしょうか?福島の皆さんは,自分たちの健康被害を隠している,もしくは気がついていないのでしょうか? 

 では,この値がどのくらいのものなのかを実際の測定データと比較してみましょう。

 参考にしたのは最初の方でも示した「福島第一原子力発電所から放出された放射性物質の大気中の挙動」という総説です。こちらの図4(b)を見ると,事故直後のつくばですら大気中の137Cs粒子の持つ放射能は1E-5 Bq/cm^3 = 10 Bq/m^3 です。また2ヶ月後には,1E-8 〜 1E-9 Bq/cm^3 = 0.01 〜 0.001 Bq/m^3のレベルまで下がっています。また,この当時の空間線量率が0.2 µSv/hである(図4(a))ことと,今現在の福島の空間線量率を考えると,現状の福島はこの当時のつくばとほぼ同レベルと推定して良いように思います。という前提で先ほどの計算結果と比較すると,空中に浮遊する放射性セシウムを含む粒子により鼻血を出すためには,現状の福島より少なくとも1000倍から1万倍以上の放射能を持つ粒子が存在している必要があるように思います。

 ということで,前回出した値ほどの桁違いというわけではありません。しかも,事故直後のつくば市で10 Bq/m^3という観測値が出ていることを考えますと,確かに事故直後の現場周辺であれば,放射性粒子の付着により鼻血が出たと言うことはありえない話ではないのかもしれません。しかし,そもそも生体中の活性酸素発生量を超えたら細胞が死ぬという勝利条件自体がかなり緩いものだとは思いますし,上皮細胞の上にはかなりの数の繊毛細胞が存在していますから,本当はそちらを先に何とかしないと上皮細胞にはたどりつけないような気がします。また,それ以前に繊毛の周り,上皮細胞の周りには粘液,いわゆる鼻水がたっぷりと存在しており,それらも間違いなくβ線を遮蔽していることでしょう。

 ですので,実際問題としては事故直後の現場周辺地域でも放射線による影響で鼻血が出たとは少し考えにくいと思っていますし,そもそも鼻血が出る要因が事故当時も現在もストレスを含めあまりに多すぎます。ですが,少なくとも現状の福島で放射能に由来した理由で鼻血が出ることを説明するのは,かなり難しいように感じます。

 という感じで,とりあえず一応話をまとめてみたのですが,大丈夫ですかね?(^^; 正直今までの中で1,2を争う自信のなさです。ご批判・ご指摘お待ちしております。

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気になる化学リスク | 23:00:50 | Trackback(0) | Comments(6)
例の「あれ」について
 ツイッターの方でも週末に少し書いていたのですが、残念ながら流れていた画像が本物だったと言うことで,もうちょっと長く書くことにして,久々にエントリとして起こしてみました。もちろん話題は、今沸騰中の例の「あれ」です。「あれ」絡みでいろいろ聞こえてきた話についてちょっと思ったことを、思いつくがままに列挙してみます。

1)「鼻血が出たという事実を無視するのか」という批判について
 おそらく、まっとうに批判したり呆れたりしている人の中で、「鼻血が出た」という事実を不認定している人は皆無だと思います。ただ、事故前よりも「有意に高い頻度」で鼻血を出すようになった人が、福島県に「有意な割合で存在する」のかどうかという点が全く明らかになっていないというか、それ以前にそんなデータはどこにもないわけです。

 鼻血がでるという症状が高レベルの放射線を被曝した際に生じるのは事実です。ですが、鼻血なんて言うものの原因はそれこそ山のようにあるわけです。花粉症や風邪などで粘膜が弱くなっていることも原因になりますし,ストレスだって立派な原因の一つです。それを考えれば「鼻血=放射線被曝が原因」というのは、あまりに短絡的な話の展開であって,たとえ「鼻血が出た」のが事実であったとしても,その他の傍証を何も示さずに「被曝が原因」とすれば,批判の対象になるのは当然でしょう。

2)「放射線によるラジカルが原因」という説について
 放射線によってラジカルが発生し,そのラジカルが反応して過酸化水素が発生するのは事実です。そして,人間の体内に大量に水が存在しているのも事実です。しかし,生体内ラジカルの代表選手であるいわゆる「活性酸素」が,通常人体にどのくらいの量存在していて,どのくらいの頻度で発生しているのかという「量的な問題」をちょっと考えてみましょう。

 皆さんもご存知かと思いますが,生物は呼吸を行う際に,細胞内のミトコンドリア内部において自分で活性酸素を生成してしまいます。これは酸素という極めて活性の高い元素を使い,効率よくぶどう糖からエネルギーを産出する機構を作り上げた結果避けることができなくなった,いわば産業廃棄物的なものなわけです。しかし,生物はこれによる悪影響を防ぐための防御システムも獲得していますし,外部から侵入した異物を除去するためのシステム(免疫)に有効利用していたりします。生物って,本当にしたたかですね(^^) まぁ,そういうシステムを獲得できたからこそ光合成細菌による猛毒(=酸素)の大量放出という甚大な環境危機を乗り越え,生物は現在みられるような大きな発展を得ることができたのです。

 一般に,生物の細胞中では様々な原因により活性酸素(酸素ラジカル)が1細胞あたり1日10億個=1E9個程度発生すると言われています。そして,人体が持つ細胞の数は約1兆個/kgと言われておりますので,体重60kgの成人男性であれば約60兆個=6E13個の細胞を持ちます。ということは,活性酸素自体は1E9 x 6E13 = 6E22 個 つまり600垓個発生してるわけですね。

 600垓個と言えばかなり数が大きい気がしてきますが,molに直すと約0.1 molなので実は大した量じゃありません。市販のオキシドール中の過酸化水素の濃度は約3%程度ですので,mol濃度に直せば0.88 mol/kg。先ほどの活性酸素量は体重60kgを仮定してますから,体重1kgに対する濃度で表せば1.7 mmol/kg と,なんと重量あたりの濃度で考えれば500倍も薄いのです。500倍も薄めたオキシドールでは,まともに殺菌ができるかどうか心配になります。逆に言えば,これっぽっちの過酸化水素やラジカルしか処理できないかもしれない,弱っちい防御システムなんか頼りにしちゃっていいのでしょうか??

 では,次にこの量のラジカルを放射線だけで発生させようと思うと,どのくらいの数の放射線が必要かを考えましょう。

 人体の中でも活性酸素が発生し続けていると言うことは,少なくとも同レベルの量までの活性酸素なら,人体は処理してくれそうです。もし「同じ量が余計に加わると全体としては倍の量になってしまうからちょっと心配」と言う方でも1/10000以下くらいなら,少し気が楽になってもらえるかも知れません。

 では,ちょっと計算してみましょう。あいかわらず大ざっぱな仮定の下に粗い計算しかしませんので,ご指摘があればよろしくお願いします。

 さて,とりあえずとっかかりはこちらの資料にします。これを見ると,β線などの低LET放射線を水に当てたときにできるOHラジカルの収率は初期収率で5.6 個/100eV,最終収率で2.7 個/100eV となっています。過酸化水素水の最終収率が0.7個/100eVというデータも掲載されていますが,桁が一つ違います。なので,念のため一番大きな値のセットを使ってしまいましょう。それと,生体内の水に放射線が当たるかどうかや,それまでに皮膚とかで防がれるとかいろんな可能性は全部無視です。やってきた放射線は全部ダイレクトに体内の水分に命中し,ラジカルを発生すると考えます。あと当然ですが,当てられる放射線の強さによって結果として発生するラジカルの数が変わってきますので,今回は一番気になる137Csの値を使うことにします。

 137Csから発生するβ線は,512keVですので,137Cs 1個が崩壊した時に発生した放射線により発生するOHラジカルは,初期段階で28672個,最終段階では13824個となります。生体内で発生する活性酸素が1日6E22個でしたので,これと同じ数のOHラジカルを発生させるためには,初期収率から考えると2.09E18個,最終収率から考えると4.34E18個の137Csがβ崩壊する必要があります。

 次にこのレベルの放射線を出すということはどういうことかを考えますと,今考えているタイムスケールは1日ですので,24 x 60 x 60 = 86400 s で割ってあげます。すると,それぞれ1秒あたり2.42E13,5.02E13個の137Csがβ崩壊していることになります。ところで,1秒あたりに出す放射線の数って,どこかで聞いたことありますよね?そう「ベクレル(Bq)」の定義です。つまり,人体の中で発生している活性酸素と同等レベルのOHラジカルを放射線から発生させようと思ったら,2.42〜5.02 E13 Bq ,要するに数十T(テラ)Bqのオーダーの放射能を持つ137Csが必要だと言うことです。

1/10000としても,10^9 BqつまりG(ギガ)Bqのオーダーです。100 Bq/kgの放射能を持つ食品10,000トン分です。これを一日で1人が食べきるのは,どう考えてもちょっと無理でしょう。かと言って,1 GBq/kgの食品を見つけてくるのはもっと大変そうです。

 次に,いつものを使ってSvに換算しましょう。137Csの経口摂取時の実効線量係数は1.3E-5 mSv/Bqですので,1GBqの137Csの実効線量は13 Svです。めちゃくちゃ大きいですね。当然10 TBqであれば 130,000 Svです。………, とんでもない値ですね。

 この値は経口摂取時の実効線量,つまり食べた137Csが体の中から出て行くまでの間に受ける放射線の影響を示した値ですので,直接較べるのはちょっとおかしい話ではあるんですが,どのくらいの値なのかと言うことをもうちょっと実感しやすくするために,環境放射線と強引に比較してみましょう。同じ放射能を持つ環境中の137Csが出す放射線から受ける影響量は,この実効線量よりはたぶん少なくなるはずなんですが,人体への影響を多めに見積もる分には今回の目的には合致してますので気にしないことにします。というか,そんなささいなズレなんて気にならないレベルで桁がずれてる(^^;; ので,全然問題ないでしょう。

 ということで,考えているタイムスパンを1日から1時間あたりに直すと,10 TBq の137Csの場合で5410 Sv/h, 1 GBqの場合では0.5 Sv/h = 500,000 µSv/hです。執筆時点の東京都の環境放射線量は 0.03 〜 0.07 µSv/h,福島の避難区域内でも数µSv/hのオーダーですから,まるで桁が違う話だというのはご理解いただけるのでは無いでしょうか。もちろん,これが1 sとかのスパンになっても,10 TBqの放射能を持つ放射性物質では1.5 Sv/sですから,このくらいの放射能を持つ放射性物質に瞬間的に遭遇してしまっただけでも,大変な影響が出かねません。1 GBqの場合でも0.15 mSv/sになりますから,あまり長居はできませんね。
 しかも「あれ」に出てきた登場人物のように数時間(?)程度の滞在で13,000 Svなんてのはもちろんのこと13 Svの放射線を浴びようと思ったら,現状の1,000,000倍以上高い空間放射線量が必要なわけですから,どれだけ無茶な環境が必要なのかおわかりいただけるかと思います。というか,13 Svの被曝って普通に即死レベルですけどね(^^;

 ということで,放射線由来のラジカルによる健康被害を考慮することが,いかに荒唐無稽な話なのかということを理解していただけましたでしょうか?というか,放射線によるラジカル発生機構がいかに生体内での反応に較べて非効率なのか,ということにもなるかもしれません。

 さて,他にも幾つかお話しさせていただこうかと思っていたのですが,長くなったので一回切ります。あと,久々のエントリなので,以前にも増して読みにくくなってる気がします。ごめんなさい。というか,読み返してみてもあまりの桁の違いにくらくらしてますが,計算間違いとかしてませんかね?(ぉぃ というわけで,いつものようにご質問やご指摘などあれば,コメントにどうぞ。

追記(2014/5/14)昨日付で続編として「続・例の「あれ」について」を書きました。鼻粘膜に粒子が付着した状況について何となく考察してますので,ご興味があればそちらもどうぞ。

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気になる化学リスク | 14:12:06 | Trackback(0) | Comments(12)
しばしのお休みを………
みなさま,またまたご無沙汰してしまっております。

さて,今回はタイトル通りしばしのお休みをいただこうかと思い,そのご挨拶をさせていただくためのエントリを上げさせていただきました。

お休みをいただく第一の理由といたしましては,前回も少しお話しさせていただきましたとおり本業がかなり忙しくなってしまっていることがあります。

また,第二の理由といたしましては,今現在最もホットな話題は,どうしても福島第一原発由来の放射性物質についての話題になるわけなのですが,この件についてはもうこれ以上書く必要も無いかな?と思っているためです。

食品などの暫定規制値となっている500 Bq/kgという値がいかに小さい値であるかと言うこと,またこの基準値がきわめて大きな安全係数を乗じて設定されている値であることはすでに書いております。なので,今さら基準値近辺の数値が検出されたからといって何も慌てる必要はありませんし,今さら書くこともありません。

先日も柏で線量の高いポイントが発見されましたが,街全体があのレベルで汚染されていたのなら問題ではありますが,何らかの理由によりそこに放射性セシウムなどが集積されて局所的に高い値を示しているだけであれば,ある意味それはその周辺地域が除染された効果であると言えなくも無いわけですから,その汚染された土壌を取り除くだけでどうにかなる問題です。今後も様々なポイントが発見されるでしょうが,これまで発見されたポイントを見ていればわかるとおり,その付近の雨水などが集積する場所で高い線量が観測されています。ですから,そういうポイントに注意して生活すれば,あとは発見されたその時々で適宜対応するだけで(今まで発見されたものよりも2桁とか3桁強い放射能が検出されれば別ですが)特に大きな問題が生じることもないでしょう。というか,個人的には先日世田谷で見つかったラジウムのようなケースの方が心配です。幸いにも,当事者の方々に顕著な健康被害はなかったようですが,正直,大学や研究機関において忘れ去られた放射性物質が見つかるのは可能性として考えてはいましたが,一般家屋においてあのレベルの放射性物質が見つかるというのは結構ショックでした。しかし,未だにあのような事例が,しかも一般の民家において存在することがわかった以上,何らかの対応策が必要なのでは無いかと思っています。

また,柏にしろ世田谷にしろ,一般市民によるサーベイ活動があのような比較的高い放射線量を示す場所を発見するのに効果があることが明らかにはなりましたが,一般に流通している測定機器はこのようなサーベイ目的には有用ではあっても,たとえば今手元にある食品が本当に基準値以下の放射能しか持たないのかどうかを調べるような目的には使えないと言うことも再度強調しておきたいところです。とはいえ,その辺の話も,一応以前簡単に書いていますので,今さらつけたす話はありません。

低線量内部被曝の健康影響については,バイスタンダー効果やペトカウ効果などを強調する方々も多いですが,以前書いたとおりLNT仮説よりも大きな影響を人体に与えているとしても,疫学的に検出された実績のある100 mSvを超える被曝よりも大きな健康影響が与えられているという明確な根拠が見いだされていない以上,生物学的な興味としては尽きないものがありますが,社会への影響という意味では考慮する意味を見いだせません。なので,やはりこれ以上記述することもないかな,と言う思いを持っています。

そして第三の理由ですが,「参考になりました」というコメントをそれなりにいただけているのにこんな事を書くのは非常に心苦しい部分はあるのですが,ちょっといろいろありましてこのブログで書いているような文章を書き続ける事への意義を見失いかけていると言う事があります。

こんな風に思うのは,「参考になりました」とコメントしていただいたり,様々な参考情報を教えてくださっている方々には大変申し訳ないんですが,最近は私みたいな文章を書いている人間のことは「安全厨」と呼ぶんだそうですね。で,私のような文章を書く人間は人殺しをしているのに等しいそうでして………。まぁ,なんといいましょか(^^; 正直そういう内容のメールをいただいたりすると,特にこういう文章書いて報酬をもらったり何か直接的な利益を得ているわけでもありませんし,またいただいたのがこういう忙しい時期ともなりますと,心がポッキリ折れてしまいやすくなるのは,ご勘弁いただきたいところです。

個人的には間違ったことはそんなに書いてないと思っていますし,励まして下さったり,参考にして下さっている方もいらっしゃいますので今までの分を削除するつもりは無いのですが,前述したとおり今のところ伝えたいことはすでに伝え終わった気がしてしまっていることもあって,当分更新することは無さそうな気がしております。

ただ,ありがたいことに,今でも定期的にチェックをして下さっている方もいらっしゃるようですので,このままどうなってるかわからないような状態で放置するよりも,新たに書き足したいことが見つかるまでは,当分の間無期限停止と言うことにさせていただくことを宣言させていただこうかな,と思いこのエントリを書いてみました。

せっかくそれなりの数の皆さんに読んでいただけておりますので,もう少々時間が空いてやる気がそれなりに復活したらまた帰ってきたいな,と言う気持ちも多少はありますので,もしかするとまた帰ってくることがあるかもしれません。

ですが,今の段階でいつそう言う時期が来るかは,残念ながら私にもわかりません。

いつか,そう言う日が来ることを祈りつつ,しばしの間筆を置かせていただきたいと思います。

これまで読んでくださっていた皆様,今まで本当にどうもありがとうございました。

テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

気になる化学リスク | 16:52:52 | Trackback(0) | Comments(4)
0.1 mgの放射性セシウムは致死量にあたるのか
ご無沙汰しております。コメント欄にたくさん書き込んでいただいているのですが,本業が忙しすぎて全然対応できてません。ごめんなさい。ブログを書く時間もそうなんですが,そもそも書くための資料検討をする時間が全く取れません(--) だいぶ前にご紹介いただいた文献も引用されている文献を漁るどころか本文もまともに読めていない状況で,せっかくコメントを書いてくださった皆さんには大変申し訳なく思っております。

ただ,今日はちょっと一点だけ。なんか世の中では「放射性セシウムの致死量は0.1 mg」なんて話が出ているそうなので,その辺について現実逃避に計算してみました。

使う式は,このエントリでも使った半減期と物質量の関係を表す式です。

一般に,ある放射性元素の壊変定数を λ,ある時間 t における放射性元素の個数をNとした時,以下のような常微分方程式が成り立つことが知られています。ですので,tを秒で計算すればそのままベクレルになるわけです。

-(dN/dt) = λN


134CS 0.1 mgは 0.1E-3 g ÷ 134 g/mol = 0.746 μmol 137CSですと,0.730 μmolになります。非常に小さい感じで怖いですね。

では,放射能との関係を計算しましょう。

半減期t(1/2)と壊変定数λの関係は以下のようになりますので,


t(1/2) = (1/λ)ln(A/(A/2)) ≒0.693/λ



半減期2.06年=6.50 E7 sである134CSの壊変定数は1.07 E-8 s^-1。同様に半減期30.2年=9.52 E8 sである137Csの壊変定数は7.28 E-10 s^-1となります。

これを最初の式に当てはめるわけですが,忘れちゃいけないのはこの時のNは「個数」ですので,先ほど計算したモル数にアボガドロ数6.02 E23をかけなければいけません。

ということで,計算すると0.1 mgの134Csと137Csがもつ放射能はそれぞれ

134Cs: 1.07 E-8 x 0.746 μmol x 6.02 E23 = 4.81 E9 Bq = 4.81 GBq

137Cs: 7.28 E-10 x 0.730 μmol x 6.02 E23 = 3.20 E8 Bq = 0.32 GBq


これはなかなかすごい値に見えますね。実効線量も計算してみましょう。実効線量係数はいつものようにこちらの表を利用します。134Csと137Csの経口摂取した場合の実効線量係数はそれぞれ1.9 E-5 mSv/Bq,1.3×10-5 mSv/Bqですので,

134Cs: 4.81 E9 Bq x 1.9 E-5 mSv/Bq = 91390 mSv = 91.39 Sv

137Cs: 3.20 E8 Bq x 1.3 E-5 mSv/Bq = 4160 mSv = 4.16 Sv


大きいですねぇ。確かにこの線量を「一度に浴びれば」死んでしまうでしょうね。特に134Csの90 Svオーバーとか尋常じゃないです。原子炉の中くらいじゃないと,こんな線量浴びるのは難しいのではないでしょうか。

しかし,この実効線量係数は50年間でのトータルの被曝量を示してるものなので,急性被曝を考える場合には,もうちょっと工夫が必要かもしれません。とりあえず最初の1時間で何個くらいのセシウムが放射壊変するのかを計算してみましょう。

ある時点での放射能の強さA(t)はt=0の時の放射能A(0)を用いると以下のように表されることになります。

A(t) = A(0) × e^(-λt)


ベクレルは1秒間に放射壊変する放射性元素の数を表していますので,この式をt=0からt=3600まで積分すれば,何個のセシウムが放射壊変したのかがわかります。

では頑張って計算してみましょう。先ほどの式の不定積分は∫A(t) dt= -(1/λ)A(0) × e^(-λt)と表せますので,t=0から,t=3600までの定積分は(A(0)/λ) x (1-e^(-3600λ))となります。ということで,代入します。

134Cs: 4.81 E9 Bq ÷ 1.07 E-8 s^-1 x (1-e^(-3600 s x 1.07 E-8 s^-1)) = 1.73 E13 個
137Cs: 3.20 E8 Bq ÷ 7.28 E-10 s^-1 x (1-e^(-3600 s x 7.28 E-10 s^-1)) = 1.15 E12 個

結構大きな値に見えますが,元々のBq数が大きいので,このくらい壊変してもたぶん放射能自体は全然減らないと思います。

ちなみにこれらがどのくらいのエネルギーの放射線を出したかと言うことも計算してみましょう。

セシウムが崩壊した時に出す放射線のエネルギーは,こちらの資料(134Cs, 137Cs)によると,

134Cs: β線 0.497 MeV γ線: 1.51 MeV
137Cs: β線 0.551 MeV γ線: 0.662 MeV

となるんでしょうか?正直だんだん怪しくなってきてるわけ何ですが(^^;;; 1 eV = 1.60219 E-19 Jから,それぞれをJ(ジュール)に変換すると

134Cs: β線 8.05 E-14 J γ線: 2.45 E-13 J
137Cs: β線 8.93 E-14 J γ線: 1.07 E-13 J

これに先ほどの崩壊したセシウムの個数をかけると

134Cs: β線 8.05 E-14 J x 1.73 E13 = 1.39 J γ線: 2.45 E-13 J x 1.73 E13 = 4.23 J
137Cs: β線 8.93 E-14 J x 1.15 E12 = 0.102 J γ線: 1.07 E-13 J x 1.15 E12 = 0.123 J

1 kgの物質に1 Jの放射線が吸収された時が1 Gyですから,結構大きな値ですね。はっきり言って,途中の計算にはまったく自信が無いのがあれなんですが(^^; 134Csと137Csが半分ずつ入っている状態だったとしても,こんなすごい放射能を持っている食品が存在していたら,持っているだけで外部被曝により即死とまでは行かないかもしれませんが,なんらかの確定的影響が出てくるのは確かでしょう。

ちなみにすっかりなじみができてしまった線量率 Sv/hに,ごく単純に換算すると

134Cs: 91.39 Sv/50y ÷ 50 y ÷ 365 day/y ÷ 24 h/day = 0.21 mSv/h

137Cs: 4.16 Sv/50y ÷ 50 y ÷ 365 day/y ÷ 24 h/day = 9.50 μSv/h


となりますので,どちらも半減期が50年より短いために初期段階で与えられる線量がその大きな割合を占めていることが良くわかります。

ただ,これが我々の現状に何か関係があるの?と尋ねられれば,これまでにGBq/kgの放射能が検出された食品なんてありましたっけ?????と答えたいと思います。

試しに,現在問題になっている規制値レベル 500 Bq/kgの食品と比較してみましょう。規制値レベルの食品をどのくらい摂取すれば放射性セシウムを0.1 mg摂取することができるのでしょうか。

ということで,先ほど算出したベクレル量を単純に500 Bq/kgで割ってみると,134Csで9520トン,137Csで640トンの摂取が必要という計算結果になります。仮に規制値の1000倍である50万Bq/kgの食品を食べたとしても,それぞれ9520 kgと640 kgの摂取が必要となります。ちょっと非現実的な値ですよね。50万ベクレルの137Csを含む食品の場合一日約1.8 kgずつ一年間食べ続けてやっとです。

ということを考えると,現状とはかなりかけ離れた別世界の話ですね(^^; 正直現状では全く気にする必要の無い話だと思います。まぁ,えいやでやった計算なのでどっか桁を間違えていないかものすごく不安なんですが(^^;;;;; とりあえず致死量の放射性セシウムを放射性物質を直接取り扱う機会の無い我々が摂取する機会は無さそうです。というか,それ以前に

0.1 mgの放射性セシウムには近づけなさそう


です(^^;

でも,素朴な疑問として「なんで0.1 mg」だったんだろう?という疑問は残ります。正直,急性被曝による即死の値としても中途半端ですし,一応セシウムってことで反射的に食品に混入した場合の内部被曝を気にしてるのかなぁ?とか思って計算したりもしたんですが,よく考えたら前述の通り「0.1 mgの放射性セシウムを摂取する」というシチュエーション自体がナンセンスぽいので,実際の文脈では放射性核種を扱う実験とか原子炉内での作業とかそういう場面での気道吸入とかそういう話だったのかなぁ?なんて想像してしまいました。そうなると,値が結構変わってきそうでアレなんですが,今日のところはご勘弁ください(^^;

ただ個人的には,それ以前に何を持って「致死量」と定義したのかがさっぱりわからないのが気持ち悪かったりします(^^;

いわゆる化学的毒性については,半致死量が経口でラットだと2,600 mg/kg,マウスで約2,300 mg/kgというデータがあるようなので全然違うようですし,急性被曝で即死するレベルを「致死量」と言うかって言うとなんかよくわからないし(そもそも値も何か違う気がするし),確率的影響について「致死量」って言う言い方はさらに無さそうですし,いったいどの辺から出た話なんでしょう?これ(@_@) まぁ,完全に憶測なんですが,あんまりこの辺のこと良く知らない専門家じゃない人が何かを勘違いして言っちゃったのかなぁ?なんて失礼なことを考えたりしてしまいました(^^; ごめんなさい。

まぁ,ちゃんと元の文脈たどらないからわからないだけなんでしょうけど,残念ながらそういう暇が無いのでです(--;

って,あぁ,いかん。………,すでに現実逃避しすぎてます(--;;;;; 

もちろん,この話の出所とかどういう文脈で出た話なのかを調べて書くべきかな?とは思ったんですが,前述の通りその辺の時間を取るのもままならない状態で,完全に現実逃避するためだけのエントリです<ぉぃ まぁ,今回みたいに計算するだけだったら何とかなるんですが,裏付けとなる理論やそもそもの話題まで追いかけるのは,ちょっと無理そうでしてごめんなさい。だったらそもそも書くなよというご批判は甘んじて受けますが,放り出しすぎて広告ついちゃったんで,そろそろなんとかしないと(^^; とか思って書いてしまいました。元々の話題とこのエントリの文脈が無関係だったらごめんなさい。

というわけで,なるべく早く本業の方を何とかしてまた更新を再開していきたいと思いますので,その際にはまたどうかよろしくお願いいたします。

テーマ:科学・医療・心理 - ジャンル:学問・文化・芸術

気になる化学リスク | 16:41:18 | Trackback(0) | Comments(2)
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